週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2003年 04月 23日号
LV空港、機内に持ち込めるモノ、持ち込めないモノ
 「ワインや洋酒はエックス線検査でも液体爆弾と区別できないので、日本へ持ち帰れないというのは本当か?」、「化粧用のハサミやツメ切りは凶器と見なされ機内に持ち込めないのか?」、「内容検査のためスーツケースのカギが壊されることがあるというのは本当か?」

 イラク戦争も一段落し、ゴールデンウィークを前に読者から空港のセキュリティーチェックに関する問い合わせが急増している。
 今週は、ラスベガス国際空港におけるチェックインカウンターでのチェックイン荷物検査、およびキャリーオン荷物検査&ボディーチェックの現場を取材してみた。

 今回の取材に応じてくれたのは、チェックインカウンター側が航空会社の現場スタッフ、キャリーオン荷物検査側がTSA (Transportation Security Administration) のスタッフだ。どちらも匿名希望とのことなので、以下では A氏、B氏とするが、「あまり詳しい情報の公開は、テロ集団に荷担することにもなりかねないので原則禁止」 という中での取材協力に、改めてここでご両人に感謝申し上げたい。
 ちなみに TSA は、FAA(米国連邦航空局) とは別に組織された交通機関の安全保障を担当する機関で、空港のセキュリティーチェックなどを包括的に管轄している。詳しくは www.TSAtraveltips.us を参照のこと。

 以下に取材時の様子を問答形式で掲載したが、A氏いわく、「今ここで申し上げるルールは当社独自のルールも含まれている。各航空会社はその規定を、FAAやTSAが定めたルールよりも甘くすることはできないが、独自に厳しくすることはできるので、当社のルールが必ずしも他の航空会社にも当てはまるとは限らない」 とのことなので、そのへんのことはあらかじめ了解しておく必要がありそうだ。
 また、今回の取材はすべて安全保障に関するものであり、病気や害虫などの国境移動を監視したりする動植物検疫や、麻薬やポルノなどの流通を監視する税関関連の規定とはまったく別なので、それらと勘違いしないでいただきたい。

以下、 ●本誌スタッフ、 ■A氏 (航空会社)、 ■B氏 (TSA)

● スーツケースのカギが壊されることがあるというのは本当か?
■ エックス線検査などで問題があると判断された荷物は、人間の目で内部を確かめる必要があり、その際にカギがかかっていて持ち主に開けてもらうことができない場合はやむを得ずカギを壊してでも開ける場合がある。

● カギが壊されることはしばしばあるのか?
■ ほとんどないが、ハード型のスーツケースの場合は、たまにあるようだ。日本人はほとんどがハード型スーツケースなので注意した方がよいだろう (大多数の乗客はソフト型スーツケース)。一般的にソフト型スーツケースの場合のカギの使用は、2つのジッパーの穴を小型の市販のカギで結んだりすることが多く、そのような場合はチェックインの際に持ち主にその市販のカギを外してもらい、代わりに このプラスチック製のバンド で 2つのジッパーを結んでもらっている。これで輸送中に誤って開いてしまうことが防げ、また途中で内部を検査する必要があった場合はそのバンドをハサミで切ってケースを開き、検査が終わったらまた同じようにバンドで結ぶことができる。ハード型スーツケースの場合、カギがかかっていないと開いてしまいやすいので、どうしても持ち主はカギをかけたがる傾向にあり、結果的にカギを壊さざるを得ないケースが発生しやすい。

● ワインや洋酒、さらにはシャンプーなどの液体の持ち込みに関してはどうか?
■ 液体が何であるかは TSAが独自の方法で見分けているので、その種のモノが持ち込み禁止ということはない。ただ、輸送中に容器が割れたり、液体が漏れてしまうような梱包は困る。また、ほとんど存在しないが、アルコール度数が70%を超える酒類は可燃物となり預かることができない。

● 化粧用のハサミやツメ切りなどの小物はどうか?
■ それらアイテムはキャリーオン荷物で問題になることはあっても、チェックイン荷物ではなんら問題にならない。キャリーオン荷物でも先端が鋭利なものでない限り凶器にはならないので問題ないはずだが、鋭利かどうかの判断は TSAの現場スタッフの判断に任されている。

● パソコンや携帯電話などの電子機器はどうか?
■ ハサミ同様、チェックイン荷物ではなんら問題はない。キャリーオン荷物でも規則に従って検査を受ければ問題はない。

● 他にトラブルになりやすいモノは何か?
■ マッチやライター、それに写真フィルムに気を付けていただきたい。ラスベガスの場合、各ホテルのマッチなどを記念に持ち帰る人が多いようだが、マッチは可燃物なのでチェックイン荷物の中に入れることができない。キャリーオン荷物でも、その人が乗り継ぎ空港などの帰路でタバコを吸う際に必要な常識的な量までしか認められていないので、何箱も持ち込めるわけではない。ちなみにライターもマッチと同様な扱いを受けることになっているので注意が必要だ。
 写真フィルムはセキュリティーとは別の意味で注意していただきたい。最近のチェックイン荷物の検査に使われているエックス線は非常に強いので ASA-100 などの低感度フィルムでも感光してしまう恐れがある。フィルムはすべてキャリーオン荷物に入れるべきだろう。なお、デジタルカメラは言うまでもなくこの問題とは関係ない。


● 特種なアイテムに関するガイドラインのようなものがあれば教えて欲しい
■ TSA が航空会社側に通達してくるガイドラインは頻繁に変更されているが、4月9日に更新された最も新しい規則では このように なっている。(拳銃や刃物など常識で判断できるものは除外)

● その他なにか注意事項はないか?
■ 「 45分カットオフ 」 というルールを日本の皆さんに伝えておいていただきたい。 荷物検査に時間がかかるため、離陸時刻の 45分前に、そのフライトの乗客のチェックインを自動的に打ち切ることになっている。これは、セキュリティー上の理由から、"搭乗者と荷物は原則として同じ飛行機に乗せる" という規則があるため、荷物だけあとのフライトで送るということができず、結果的にそのフライトへの搭乗を拒否する必要があるからだ。チェックインカウンターから搭乗ゲートが近い航空会社は 30分というところもあるようだが、当社は一番遠い Dゲートを使用しているため 45分前に打ち切っている。
 なお、この 45分という数字は、チェックインカウンターの窓口の締め切り時間であり、空港に 45分前に到着すればよいという意味ではない。したがって長い行列ができている場合などは、かなり余裕を持って空港に到着する必要がある。特に日曜日の出発カウンターは非常に混雑するので注意が必要だ。ちなみに混雑はチェックインカウンターだけではない。その後のボディーチェック&キャリーオン荷物の検査場所にも行列ができ、週末などはそこを通過するのに1時間以上かかることがある。そのような混雑時は、2時間以上前に空港に到着していても飛行機に乗り遅れることがあり得るので、空港へは十分余裕を見て来るようにしていただきたい。


<以下はキャリーオン荷物の検査場での取材>

● ここでのボディーチェックではクツまで脱がされるのか?
■ 全員にお願いしているわけではないが、そういう場合もしばしばある。クツ底のエックス線検査を行なうかどうかは、クツの形状などを見て現場スタッフが判断している。

● ミネラルウォーターなどの液体は、その場で少し飲めば持ち込めるという噂もあるが本当か?
■ そういう方法で検査している空港もあるようだが、ここではそうしていない。 ここでは、中がよく見えるペットボトル入りのミネラルウォーターでもハンドバッグなどと同様、機械にかけて検査している。もちろん缶入りドリンクなども同様だ。したがって液体がこぼれてしまう恐れのある状態のモノは受け付けていない。開いている飲みかけの缶や、あそこのスターバックスコーヒーで売っているようなコップに入った飲み物はダメだ。それらはこのゴミ箱に捨ててもらうか、ここで飲みきってもらうしかない。

● パソコンなどの持ち込みに関してはどうか?
■ エックス線検査以外に、本当にパソコンかどうか確認するために電源を入れてもらったりすることがある。さらに現在は原則として、爆発物が内部に含まれていないか薬物化学反応検査も行なっている。パソコンなどの表面を特殊な紙で拭き取り、それを検査装置にかけて調べている。

● カメラのフィルムの感光について何かアドバイスは?
■ チェックイン荷物の場合と違って、ここでは ASA-800 まで大丈夫、ということになっている。それ以上の高感度フィルムを持っている場合は現場スタッフと相談して欲しい。

● その他、何か注意事項はないか?
■ 見送りや出迎えなど、かつては搭乗者以外もエックス線検査を受ければ搭乗ゲートまで行けたが、今は事前に許可を得た者以外は原則としてここを通過できないので、出迎えの約束などをする際は、その場所などに注意する必要がある。




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