週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2002年10月16日号
"スパゲティーボウル" の次の愛称を募集中!
 日本の道路には名前がない。主要幹線道路や駅前商店街などには名前があるが、小さな生活道路に名前が付いていることは極めてまれだ。
 その代わり "○×三丁目"、"○×坂" などといった具合に大多数の交差点には名前が付いている。
 一方、日本以外のほとんどの国では、交差点に名前を付けずに道路に名前を付けている。住所表記も "1234番地 Tropicana Avenue" といった具合に道路名に番号を付けたものになっているため、どんなに小さな道路にも名前がある。
 どちらが便利かは議論の余地が無く、道路に名前がない日本のシステムは世界中からその非合理性を指摘されている。なぜ日本のシステムは不便か。
 たとえば、縦に (南北に) 10本の道路、横に(東西に) 10本の道路が存在する町があったとしよう。道路に名前を付ければ 20種類の名称を用意し、住民はその 20の道路名を覚えればよいが、日本流の場合、100ヶ所の交差点に名前を付けなければならない。住民なら覚えられるかもしれないが、地図を片手に運転する来訪者などはたまったものではない。

 問題は名前の数だけではない。道路名で住所が表記されていれば、友人宅などを探す来訪者はその道路上を一次元的に (線上を) 移動しながら探せばよいが、日本の場合、交差点名はまさに "点" であり、また、"2丁目" などの住所表記では二次元的な面の中を移動しなければならず、迷子になりやすい。
 ちなみに "1丁目" 交差点の次に "2丁目" 交差点が現れたからといって、その次の交差点が3丁目とは限らず 5丁目だったりすることがしばしばある。つまりその数字には順番としての数的な意味がなく、花丁目、雪丁目、星丁目、と表記していることと大して変りは無い。
 一方、日本以外の国の番地には数字としての意味があり、自分の現在位置からどちらに進めば数字が増えるか減るかはすぐにわかる。結果的に住所さえわかれば目的地へ簡単にたどり着くことができる。

 日本でも札幌や京都などでは道路名を基準とした生活が定着しており、その抜群の利便性は住民らから高く評価されているようだが、そのような話はまだごく一部の都市に限られたことで、大多数の都市では道路名が定着していない。
 結果的に日本では、配達人などが道に迷って失う時間やガソリンなどの経済的なロスが膨大で、毎年数百億円単位のロスが発生しているとの分析もある。道に迷えば交通事故などに遭遇するリスクも高まり、排気ガスなどの環境悪化にもつながる。もはや国家的な損失といってよいだろう。
 もっとも、そんな不便な住所表記のおかげで日本は先進諸国の中では突出してカーナビが普及しているという皮肉な経済効果もあるようだが、とにかく道路に名前がないことは不便極まりない。ちなみにそのカーナビ、画面を見ると道路名がないためか、道路の脇に "酒屋" とか "一本松" とか表示されている。酒屋がコンビニに変わったり、松が切り倒されたりしたらどうなるのか大いに気になるところだ。

 さて、今週の本題とはまったく関係ない話を長々と続けてしまったが、通常アメリカでは、交差点の位置を示す場合、つまり企業や店などが自社の位置を広告内などで表現する場合、"Central & Main" といった具合に 2つの道路名で表現する。これでなんら不便がないばかりか、道路を知る住民にとってはそれでその交差点の位置がハッキリわかり非常に便利というわけだ。地図を片手に運転する来訪者にとってもそれが一番わかりやすい。
 ところがアメリカでも交差点に名前がないと都合が悪い場合もあるらしい。それは高速道路の交差地点だ。ラジオの交通情報などで 「高速15号線と95号線がクロスしている付近で事故発生!」 などと報道する際、そのクロスしている部分に愛称がないと話が長くなってしまい不便だという。
 ちなみに現在ラスベガスでは、高速15号線と95号線の交差地点 (ダウンタウンの近く。右上の写真) は、その複雑な形状から "Spaghetti Bowl" と呼ばれており (空から見るとまるでスパゲティーが入ったボウルのように道路が複雑に入り組んでいる)、この愛称はラジオやテレビなどでもごく当たり前のように使われ、広く市民の間に定着している。参考までにこの名称は、かつて地元ラジオ局のパーソナリティー McIlvaine 氏が最初にそう呼び出したことが起源と言われているが、ハッキリしたことはわからないらしい。

 さて今回地元で話題となっているのは、そのスパゲティーボウルの 10マイルほど南の場所にある高速15号線と215号線との交差地点 (ラスベガス国際空港近く。右の写真はそれを上空から見た航空写真。地図上のこの位置はラスベガス大全の [地図] セクション内の [LV全域図] を参照のこと) に愛称がないという問題だ。
 215号線は近年完成した高速道路で、日増しにその認知度が高まり、ラジオの交通情報などに登場する機会も増えているという。これに名前がないと不便なので命名しよう、というのが今回の運動で、地元メディアや当局がアイデアを広く募集し始めた。もちろんこのラスベガス大全の読者もアイデアの提供が可能だ。

 ちなみに高速道路のクロス地点に愛称を付けるという動きは、なにもラスベガスに限ったことではなく、他の都市にもあるようだ。このたびラスベガスの有力紙 Review Journal が報じたところによると、"Spaghetti Bowl" はニュージャージー州にもあり、また、デンバーにはポーカー用語の "Full House" と呼ばれるユニークな場所もあるという。デンバーを走る高速 25号線と 225号線の番号を合わせるとフルハウスになるからだとか。

 話はラスベガスに戻って今回の話題となっている場所の愛称だが、すでにいくつか案が出ているようだ。215号線が Las Vegas Belt Way と位置付けられていることから "Belt Buckle"、"Belt Loop"、さらには安易な案として "Spaghetti Bowl 2"、ユニークなところではカジノ都市にちなんだ "Roulette Wheel" など。ただ、運輸当局のスポークスマン Bob McKenzie 氏によると、「どれも今ひとつなので広くアイデアを集めて決めたい」 とのこと。
 なお、今回の動きは漠然とした運動なので特に締め切りなどの期限はなく、ユニークなアイデアはいつでも大歓迎らしい。また、アイデアが採用されたからといって特に賞金のようなものが出るわけではないようだ。それでも日本人のアイデアが採用された、などということになればそれはそれで名誉なことなので、興味がある者はふるって応募してみてはいかがだろう。
 応募は、件名に "Nickname for Interchange I-15 & I-215" と書いて、msquires@reviewjournal.com まで。氏名、住所、電話番号を英語で記載することも忘れずに。


バックナンバーリストへもどる