週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2002年06月12日号
Red Rock Canyon でロッククライミング
 ネオンきらめく巨大な歓楽街ラスベガスは、世界に冠たるエンターテーメント都市であると同時にロッククライミングのメッカでもある。理由はもちろん巨岩や奇岩で有名なレッドロックキャニオンに近いためだ。
 今週は、市内からわずか 30分ほどで行けるレッドロックキャニオンでのロッククライミング情報をお届けしてみたい。

 ロッククライミングと聞けば、多くの人は 「自分には到底できない危険なスポーツ」 と考えることだろう。だが決してそんなことはない。体力や技量に合わせて場所さえ正しく選べば、老若男女だれにでも楽しめる健康的なスポーツだ。また、とりわけ危険なスポーツというわけでもないので、必要以上に恐れることもない。もちろんひとたび間違えば重大な事故につながりかねないが、それは他の多くのスポーツにも言えることだろう。

 ロッククライマーたちの話によると、ヨセミテ国立公園などもその分野のメッカとして有名だが、アクセスという意味ではレッドロックキャニオンに勝るところはないという。たしかに 100万人都市の繁華街や空港からわずか 30分の場所にこれだけの大自然があるというのも珍しく、その人気の高さもうなずける。
 恵まれているのは地理的条件だけではない。レッドロックキャニオンには長さ、傾斜、難易度などがさまざまな "ルート" (岩に複数のボルトが打ちこまれた一連のクライミングコース) がなんと数百もあり、規模的にも申し分ない。登るのに順番待ちがあるほど狭くて混んでいるといわれる日本のクライミングスポットとは別世界だ。

 ルートの多くはトレイルをしばらく歩いた場所にあるため、人気の絶景ドライブコース "Scenic Loop" を通り抜けるだけの一般観光客の目に止まることはまずないが、ひとたびトレイルに足を踏み込めば、その数の多さには誰もが驚くことだろう。 (といっても、個々のボルトはわずか数センチの金属なので目を凝らして見ないと見つけにくい)
 「誰がいつこんな山奥に入ってボルトを打ち込んだのか」 と思いたくなるほど、かなり奥に入った人影がほとんどない場所にも無数のルートが作られており、それら岩やルートのすべてに名前が付けられているところも興味深い (もちろん現場に名前が表示されているわけではない)。ビジターセンターに行けば簡単なルートマップがもらえるが、ラスベガス市内のスポーツ店に行けば、各ルートの名称、完成時期、ボルト間の距離などが詳しく記載されたぶ厚いガイドブックも市販されている。

 ロッククライミングをやるのに特別な許可やライセンスは必要ない。ビジターセンターや管理事務所に入山計画書などを提出する必要もない。自由にトレイルに入って (写真右)、自由に登る。つまり事故などがあっても完全に自己責任というわけだ。

 今回取材した場所は、Scenic Loop の2ヶ所目の駐車場から北東へ伸びる Sandstone Quarry というトレイルを約 20分ほど歩いた場所にある中規模程度の岩で、難易度的には中級程度といった感じのルートが数ヶ所ある岩だ (写真左下)。
 レッドロックキャニオンにある岩はそのほとんどが砂岩のため、デコボコした岩角に指や足をかけて登る技術が要求される。つまり花こう岩が主流のヨセミテとは少々勝手が違う。ちなみに花こう岩は表面が比較的平らなため、岩の割れ目を利用して登ることになる。

 まったくの初心者にここでクライミング技術をゼロから説明することは無理があるので割愛するが、何の経験も無しにいきなり現場へ行って登るのはやはり不可能と考えた方がよいだろう。いくら老若男女にできるスポーツといえども、ある程度は事前に練習を積んでおく必要があり、また、現場に道具のレンタルなどがないため、道具も自分でそろえる必要がある。
 それでも多くの人が思っているほどロッククライミングは縁遠い存在ではないこともたしかで、まじめに練習に取り組めば、誰でも短期間で登れるようになるところがこのスポーツのおもしろいところだ。
 もしラスベガス旅行を予定している者で、レッドロックキャニオンでのクライミングを本気で考えている者は、可能な限り早めにトレーニングを開始するとよいだろう。また、必ず熟練者と一緒に行くことをお奨めする。体力よりも経験や知識がものをいうスポーツのため、熟練者のサポートは欠かせない。現場への行き方などはこのラスベガス大全の [観光スポット] セクションを参照のこと。

 (今回の取材におきましては、インストラクターであり自ら東京でロッククライミンググラブを主宰する 渋谷氏 およびそのグループの方々に多大なるお世話になりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます)


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