週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2002年05月22日号
スロットマシン、一流ホテルはあまり出ない?!
 右の表は、5月19日付の地元有力紙 Las Vegas Review Journal で大きく報じられた各カジノにおけるスロットマシンの払戻率だ。
 上位にランクされたカジノが 「よく出るカジノ」 ということになるが、下位集団にいわゆる一流ホテルがズラリと名を連ねているところが非常に興味深い。特にワースト3 はまさにラスベガスを代表するトップ3ホテルだ。

 「払戻率」 とは、そのマシンに投じられた金額に対して払い戻される平均金額のことで、たとえば 「払戻率 93%」 といえば、1ドル投入するごとに平均で 7セント吸い上げられてしまうマシン、ということになる。
 もう少し現実に沿ったわかりやすい表現をするならば、「手持ちの 100枚のコインをそのマシンにすべて投入してプレーし終わった際、マシンの下の受け皿に平均で 93枚のコインが溜まっていることが期待されるマシン」、ということになる。
 ただ、これらはあくまでも平均値であって、短時間のプレーでは、払戻率とは関係なく 100枚が 200枚になることもあれば、50枚以下になってしまうこともあることは言うまでもない。特に標準偏差が大きいマシン (払戻枚数が小さい "小当たり" が少なく、一発大逆転の "大当たり" の枚数が大きく設定されているマシン) では、その時の運によるバラツキが大きく、払戻率とはかけ離れた結果に終わることも少なくない。
 それでもこの払戻率は、長くプレーすればするほど確実に結果となって現れてくるもので、長時間プレーする者にとってはわずかな差も死活問題となるので無視できない。
 体感的には小さく見えがちなわずか 1% の違いでも、カジノ側にとってはもちろんのこと、プレーする側にとっても、とてつもなく大きな意味を持ち、右にリストされた上位カジノと下位カジノの約7% の差は、もはや天と地ほどの差といってもよいだろう。

 それほど重要な意味を持つ数字であるがゆえに、今回の報道は地元カジノ業界に大きな波紋を投げかけている。
 「この数字を宣伝に使わない手はない」 とは、Palms のオーナー Maloof氏のコメントで、上位にランクされたカジノは早くも今回の報道に沸き上がっている。その一方で、下位にランクされたカジノからは数字の根拠などに異議を唱える動きが出るなど、しばらく業界内はこの数字に振り回されることになりそうだ。

 今回この各カジノの払戻率をはじき出したのは、カジノ研究家として知られる Michael Shackleford 氏だ。同氏は、
 「テーブルゲームやビデオポーカーはすべてルールが公開され払戻率が誰にでもわかるようになっているが、スロットマシンの払戻率は闇に包まれたまま。プレーヤーに十分なインフォメーションが与えられていないのは問題だ」 と、今回の調査に至った経緯を打ち明ける。
 また同氏は、統計の信憑性を疑問視する声に対しても、
「スロットマシンメーカーから入手したプログラムを元にカジノ現場で綿密な調査を行った。今回の調査には延べ 400時間を費やしており、精度には自信がある」 ときっぱり言い切る。

 ちなみに今回の調査は各カジノでの条件を同じにするため、Wheel of Fortune、Leopard Spots、Fortune Cookie、Austin Powers、Reel'em In の5機種の 5セントマシンを対象としており、調査期間は昨年の 10月から今年の 4月までとのこと。
 Shackleford 氏によると、スロットマシンのリールの動きを制御する RNG ( Random Number Generator、乱数発生装置)は、ネバダ州の規則により州当局によって厳しく管理されており、日本のパチンコ店がクギを調整するようなアナログ的な小細工をカジノ側が行うことは一切出来ないが、各シンボル (チェリー、オレンジ、スイカなどリールに描かれているマーク) が並んだ際の払戻枚数は各カジノがメーカー出荷時に決めることが出来、それらの設定値と、出現率(メーカーから入手したプログラムから算出) を調べることにより、各カジノがどの程度の払戻率を設定しているか読み取ることができる、としている。
 なお、右のリストには Monte Carlo や Hard Rock といった一部著名ホテルが含まれていないが、その理由は、「調査対象とした機種が少なく、十分なサンプルが得られなかったため」 とのことで、こういった部分からも、いいかげんな統計ではないことがうかがえる。大方の業界関係者も Shackleford 氏の算出方法に異論を唱えておらず、どうやらこの数字は信じるに値するものと考えてよさそうだ。
順位カジノ名払戻率 %
01 Palms93.42
02 Rampart93.13
03 Rainbow Club92.97
04 Gold Coast92.84
05 Sahara92.81
06 Imperial Palace92.63
06 Slots A Fun92.63
08 Palace Station92.61
09 Key Largo92.60
10 Circus Circus92.56
10 El Cortez92.56
10 Eldorado92.56
10 Ellis Island92.56
10 Orleans92.56
15 Fitzgerald's92.55
15 Gold Spike92.55
17 Fiesta Rancho92.53
18 Arizona Cha. East92.51
19 Barbary Coast92.50
20 Arizona Cha. West92.49
20 Terrible's92.49
22 Longhorn92.47
22 Town Hall92.47
24 California92.39
25 Riviera92.23
26 Four Queens92.18
27 Lady Luck92.10
28 Nevada Palace92.06
29 Plaza91.94
30 Luxor91.92
30 Paris91.92
32 Bally's91.89
33 Excalibur91.84
34 San Remo91.82
35 Boulder Station91.76
35 Las Vegas Club91.76
37 Texas Station91.71
38 Casino Royale91.67
39 Aladdin91.50
40 O'Sheas91.48
41 Las Vegas Hilton91.40
42 Sunset Station91.33
43 Golden Nugget91.27
44 Hyatt Regency91.14
45 Green Valley Ranch91.11
46 Horseshoe90.96
47 Sam's Town90.89
48 Santa Fe Station90.87
49 Flamingo90.86
50 Stratosphere90.80
51 Tropicana90.71
52 Golden Gate90.64
53 New York NY90.57
53 Silverton90.57
55 Main St. Station90.56
56 Westward Ho90.40
57 Castaways90.36
58 Stardust89.97
59 New Frontier89.91
60 Railroad Pass89.90
61 MGM Grand89.78
62 Fremont89.65
63 Caesars Palace89.57
64 Harrah's89.32
64 Treasure Island89.32
66 Mirage89.07
67 Rio Suites88.72
68 Mandalay Bay87.51
69 Bellagio87.42
70 Venetian86.86
Source: Las Vegas Adviser & Michale Shackleford
 統計として特に問題はない、という前提でこのデータを考察するならば、「総じて一流ホテルの方が払戻率が悪い」 ということが読み取れる。高級ホテルの方が維持費などがかかっているため、その分をカジノでまかなう必要があるからということだろうか。それとも調査対象となった 5セントマシンなどは、ビジネスとしてあまり重要視していないということか。
 ちなみに右のリスト内で一般の日本人にとって聞きなれない名称のカジノは、ダウンタウン周辺や郊外にある地元民を対象としたローカルカジノか、もしくは小規模なモーテルなどと考えてよい。
 "出るカジノ" を求めて一般観光客がわざわざそれらカジノまで足を伸ばす必要も無いだろうが、これだけ払戻率に差があるのであれば、ストリップ地区内の動ける範囲で有利なカジノを探すことは決して無駄ではないだろう。
 具体的には主要ホテルでは Sahara、地理的に遠すぎるということであれば Imperial Palace、南ストリップ地区では Luxor といったところがお勧めということになる。

 最後に重要なこととして、このリストはすでに述べた通り 5セントマシンを調査対象としており、それ以外のデノミのマシンとはまったく関係ない。25セントマシンや 1ドルマシンで調査を行えばまったく異なる結果が出る可能性もあり、5セントマシンでプレーする者以外はあまりこの統計にこだわる必要は無いだろう。



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