週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2002年02月13日号
ベラージオ美術館、"四代目" はカルダー展
 先週、ベラージオホテルの美術館 "The Bellagio Gallery of Fine Art" (写真右) が展示作品を全面的に入れ替えリニューアルオープンを果たした。
 2000年の9月、そして昨年の4月にも作品が総入れ替えされており、初代から数えて今回の展示は四代目ということになる。

 ちなみに初代の展示はベラージオホテルが開業した 98年 11月に始まり、当時の同ホテルの会長 Steve Wynn 氏が所有していたゴッホ、モネ、セザンヌ、ルノアール、ゴーギャン、ピカソなど総額約 3億ドルの絵画が展示され話題を集めたが、2000年春、ベラージオホテルが MGM 社 (現 MGM Mirage 社) に買収されたことを機会に、Wynn 氏が絵画と共に同ホテルを去ってしまったため、それ以降はやや精彩を欠く展示が続いていた。

 今回始まった四代目は、アメリカが生んだ現代アートの巨匠 Alexander Calder (1898〜1976) の作品ばかりを集めた個展で、ベラージオホテルが宣伝に力を入れていることもあり、開催直後からかなり人気を集めている。

 日本での知名度は決して高いとはいえないが、Calder は、空間に浮かぶバランス芸術 "モビール" の創始者としても世界的に知られ、特にアメリカでは印象派の著名画家にも勝るとも劣らないほど知名度が高い。

 時には "子供っぽい"、"幼稚" とさえ言われることが少なくないそのユーモア感覚あふれる作品に対しては常に賛否両論あるようだが、モビールという新たなジャンルを芸術の世界に創造した功績は大きく、Calder は 76年に他界するまでアメリカ市民の幅広い層から尊敬され愛されてきた。

 モビールがあまりにも有名だが、Calder はスタビル (静止彫刻)、針金造形、絵画なども数多く手がけており、特にスタビルは世界各地の公園や広場などにも数多く展示されている。Calder の名前を知らなくてもその作品を見たことがあるという者は少なくないはずだ。

 今回の展示はモビールの他、スタビル、針金造形、絵画など約30点。
 Calder の名前を知らない者にとっては小学生の作品かと思えてしまうような簡単かつ子供っぽい作品が目立つかもしれないが、それはそれで楽しめるだろう。特に "妻の誕生日プレゼントとして作ったオブジェ"、"孫のために作ったおもちゃ" (写真右) といったほほえましいながらも意味不明で難解な作品を見ていると、「彼はなぜ有名になれたんだろう」 と不思議な好奇心に駆られ、Calder に対する興味が益々湧いてきたりする。
 ちなみに、案内してくれたスタッフに 「これら作品の市場価格はどの程度なのか?」 とたずねてみたところ、そっと小声で返ってきた 「私なら $10も払わない」 といった言葉が印象的だった。思わず同感したくなってしまったが、何万ドルも払って買う者がいることも事実のようで、そこが Calder の作品のおもしろいところなのかもしれない。

 ゴッホやピカソの作品のように 「ン億円の絵を観た!」 といったたぐいの感動は得られないものの、カジノという喧騒をしばし離れ、こういった不思議な現代アートの中に身を置くのも悪くないだろう。
 入館料は一般が $12、地元民が $6 (ネバダ州の運転免許証などの提示が必要)、子供が $6。開館時間は日曜日から木曜日が 10:00am - 6:00pm、金曜日と土曜日が 10:00am - 9:00pm。場所はベラージオホテル内のプール施設への出入口の前。



バックナンバーリストへもどる