週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2002年02月06日号
ソルトレイク、15号線は順調だが Pah Tempe は閉鎖
 いよいよ今週からオリンピック。それに伴い、こちらラスベガス大全あてにソルトレイクシティーまでの陸路での行き方やその道中についての問い合わせが急増している。今週はそれについて触れてみたい。

 ロサンゼルスほど近くないものの、ソルトレイクシティーはラスベガスにとって隣町だ (右の写真はラスベガスダウンタウン近くの高速道路の出口付近。次の町が Salt Lake City になっていることがわかる。ちなみに距離は約 700km )。
 またソルトレイクシティーにとってもラスベガスは最も近い主要都市で、サンフランシスコ、デンバー、リノ、シアトルなどよりも近い。
 そのような位置関係にあるばかりか、日本からの空路でのアクセスも決して便利とは言えないとあって、陸路でロサンゼルスなどからラスベガス経由で現地入りする者も少なくないようだ。特に機材をたくさん持つ報道関係者などは、ソルトレイクシティー向けのフライトの厳しい荷物検査や同空港周辺の厳戒警備を敬遠してか、キャラバン隊を組んでの陸路派が目立っている。

 冬季オリンピック開催都市ということから降雪や凍結などを連想する者が多いようで、問い合わせで一番多いのがソルトレイクシティーまでの道路状況についてだ。
 しかしこれに関してはあまり心配する必要はないだろう。少なくとも2月3日と4日の取材時点においては、路面に逃げ水 (蜃気楼) が出るほど日射が強く (写真左)、全線に渡って快適な高速走行が可能だった。今後情況が変わる可能性もあるが、もともとこの区間はそれほど標高が高くなく、近隣のザイオン国立公園やブライスキャニオン国立公園などに比べると降雪の可能性は低い。それでもソルトレイクシティー付近は緯度的にも降雪の可能性が常にあるため、低速走行を計算に入れたゆとりある日程で行動した方がよいだろう。

 ラスベガスからの行き方は非常に簡単で、ストリップのホテル街のすぐ西側 500メートルほどの位置にある入口から高速 15号線の北行きに乗り、あとは一本道をひたすら6時間ほど走れば自動的にソルトレイクシティーに到着する。途中ごく小さな町が点在しているものの、道中のほとんどすべてが砂漠、荒野、草原、農地なので、どんなに方向感覚が悪い者でも道なりに進んでいる限り迷いたくても迷いようがないはずだ。

 この区間は道に迷う心配よりも、むしろいかにして退屈をしのぐかの方が重要なポイントとなるだろう。地平線の彼方まで見渡す限り続く荒野は多くの日本人にとってある種の感動を覚える光景だが、感動もそう長く続くものではなく、6時間の長旅の間には何か息抜きの場所が欲しくなってくるはずだ。しかし現実には立ち寄って見学するような場所はほとんど存在せず、これといった名所を探すのはむずかしい。

 その辺の事情を知ってか知らずか、道中の唯一の注目スポットとも言える Pah Tempe 温泉に関する問い合わせが少なからず寄せられているが、実は今そこで問題が発生している。
 オリンピックとは直接関係ない話題になってしまうが、時期的に重要なことと、温泉の経営者かつデベロッパーでもある Ken Anderson 氏からの強い依頼もあったため、この問題について少し掘り下げてみたい。

 この Pah Tempe 温泉は、ラスベガスからソルトレイクシティーに向かって約3分の1ほど進んだ場所にある知る人ぞ知る本格的な天然露天温泉だが、政治的および行政的な判断ミスと物理的な工事ミスなどが重なり、なんと2週間ほど前から温泉がほぼ完全に枯渇してしまったという。現在はまったく使用不能な状態に陥っており施設は完全に閉鎖されている。(川全体に温泉が流れている左上の写真は正常だった頃のもの。左下の写真は2月4日に撮影。緑のジャンパーを着た男性が Anderson 氏、女性は地元テレビ局の記者)

 たかが温泉の事故、と言ってしまえばそれまでで、単なるローカルニュースとして聞き流すべき程度の話題かもしれないが、現場の情況や読者への迷惑情況などを Anderson 氏から聞かされると、そうも言ってはいられない。
 もともと人気の場所だったところにオリンピック需要が重なり、ここ1週間ほどは閉鎖を知らずに訪れてしまう者が急増しているという。中でも日本人と、ロサンゼルス地区に住むアジア系コミュニティーからの訪問者が非常に多く (アジア人は温泉が好きらしい)、その日本人訪問者の大半がラスベガス大全のコピーを持って来るというからこちらも責任を感じてしまう。
 たしかにこのラスベガス大全がその [観光スポット] セクション内において古くから紹介していたため (初期の CD-ROM 版ラスベガス大全でも紹介している)、訪問者がいても不思議ではないが、距離が距離だけに(ラスベガスから約 230km)、事情を知らずに現場に行ってしまった読者のことを思うと心苦しい限りだ。特にソルトレイクシティーへのついでではなく、ここの温泉のみを目的に枯渇後に訪問してしまった読者にはこの場を借りて深くお詫び申し上げたい。

 枯渇してしまった原因は、地元の水道施設を管理する公共事業会社 Washington County Water Conservancy 社が、温泉施設の数百メートル上流で始めた水道用のパイプライン敷設工事のミスとのこと。2-3ヶ月で元に戻せるという関係者もいれば、1年たっても無理とする悲観論も出ており、現在のところ復旧の時期を予測することはむずかしいようだ。いずれにせよ今後 Utah 州、Washington カウンティー、LaVerkin 市、Anderson 氏、Conservancy 社の5者を交えての裁判沙汰に発展する可能性が高いという。
 どこに原因があり誰の落ち度なのかは、まだ Conservancy 社の言い分を聞いていないためなんとも言えないが、取材時に会った同温泉がある La Verkin 市の担当者は Conservancy 社の工事の認可の取り方などに大きな問題があったとしている。

 なお、取材日 (2/4) の夜、偶然にもオリンピックの聖火リレーがロッキー山脈を越えてザイオン国立公園経由で La Verkin 市を通過したが、その際沿道では、Anderson 氏が市民に呼びかけて実現した抗議デモが行われた。思わぬ騒動に聖火ランナーやそのキャラバン隊もビックリした様子だったが、特に大きな混乱はなかった。(右の写真は、聖火を車両の後部に乗せてザイオン国立公園内をゆっくり走行する聖火キャラバン隊の車。この区域はランナーではなく車両によってのみ聖火が運ばれた。)

 いずれにせよ現在 Pah Tempe 温泉は閉鎖されているので、訪問を考えている者は直前に確認の電話をした方がよいだろう。電話 801-635-2353。こちらラスベガス大全でも情報が入り次第 [スポットニュース] のセクションに掲載する予定だ。


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