週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2002年01月16日号
女性向アダルトショー Thunder from Down Under
 アダルトショーといえば 「男性が女性の裸体を楽しむ場所」 というのが通り相場だったが、もはやそれは遠い昔の話。何ごとにおいても男女平等のアメリカ社会、今は女性も男性ストリップを楽しむ時代だ。
 このラスベガス大全においてもこれまで男性向けアダルトショーばかりを紹介してきたが、その不平等な編集方針に対する反省の意味も込めて、今週はニューフロンティアホテルで行われている女性向アダルトショー Thunder from Down Under (写真右) を、女性ライターの目から見たレポートとして紹介してみたい。

 時代の変化と共に女性の男性に対する嗜好も確実に変化している。顔と身長のみが取り沙汰される時代は終わり、肉体も重要な要素となりつつあるようだ。そしてその肉体への嗜好のトレンドはソフトマッチョ。脂ぎる筋肉マンが異様なポーズを取り、身体のあらゆる筋肉をピコピコ動かしてみせるようなハードマッチョはウケない。このショーに登場する役者はありがたいことに全員がソフトマッチョだ。

 オーストラリアからやって来たというこのグループ、今回のラスベガス公演では 6人 (写真左) が登場している。
 アクロバティックな踊りで肉体美を披露してくれるが、この踊りに関してあれこれ厳しい評価をするのは野暮というもの。とにかく彼ら自身も会場の雰囲気も非常に陽気で明るく、それだけでこのショーは合格だ。

 一般に男性向けのショーは暗い。唾を飲み込むのさえはばかれるような沈黙が支配する中、女性の裸体をじっくりと鑑賞する光景は健康的な雰囲気からほど遠い。その点、女性向のショーは陽気だが、日本では少し事情が異なるようだ。一時期、六本木などに外国人男性による女性向アダルトショーが出現し、物珍しさも手伝って結構評判になったことがあったが、スタッフが無理に声をからして応援しなければ盛り上がらないようなありさまで、結局それらの店は閉店に追い込まれてしまったという。アダルトショーに付きもののあの暗さ、何かイケナイ事をしているような後ろめたさは、日本においては男性特有のものではなかったということか。いずれにせよ、この種の女性向ショーはとてつもなく芸術的か、さもなければ観客も堂々と楽しめるような雰囲気でなければ成り立たないということだろう。

 そういう意味でこの Thunder from Down Under は成功している。まず観客の態度が根本的に違う。また、日本では考えられないほど観客の年齢層が幅広い。世代を超えたはしゃぎ方、陽気さはまさにアメリカならではのもので、ひたすら圧倒されるばかりだ。女子大生のようなグループから初老の女性グループまで、会場に居合わせた全員が奇声を上げたり、立ち上がって踊り出したり、とにかくここでは観客が恥ずかしがったりしないし、してはいけない。スーツ姿のエグゼクティブ風の女性も気品漂う淑女も 「Take it off !」 (お脱ぎ!) の大合唱で、Tバック姿のダンサーに熱い声援を送る。この日本では絶対に見られないノリは、まさに文化の違いといったところか。
 観客が盛り上がればダンサーも負けてはいない。狭い舞台を飛び出して、観客の膝の上にセクシーなポーズで座りキスのサービス。老いも若きも観客は大騒ぎ。

 極めつけは "オーガズムコンテスト"。客席から選ばれた 3人の女性がステージに上がり、ダンサーのポスターやカレンダーといった些細な賞品を目当てに "絶頂シーン" を演じて競う。1番目の中年女性がいきなり司会者の胸や腰を触りながら怪しげな声を発すると、2番目の女子大生風の金髪少女ももだえるような声を上げながら恍惚シーンを演じる。最後に登場したOL風の女性は自分の胸を触りながら悲鳴とも聞こえる大きな声でいつまでもうめき続け場内は大喝采。
 順位は観客の拍手の大きさで決まり、それぞれ満足そうに粗品を受け取り客席に戻るが、ふと女子大生風金髪少女が歩いていく方向に目をやると、なんと同じ席には彼女の母親と思われる人物が同席しているではないか (この劇場は映画館スタイルの座席ではなく、グループごとにすわるテーブル席)。親の前でオーガズムシーンを演じてしまうアメリカ人の陽気さに改めて感動してしまう。あまりにも演技が大胆なので、ひょっとすると 3人の演技はサクラを使ったヤラセではないかと思ったものの、取材の関係で翌日も観ることになったが、違った女性3人が登場していたのでどうやらサクラではなさそうだ。
 いずれにせよ日本人女性が司会者に指名されステージに引き上げられた際、あそこまで大胆に振舞うことができるのか。会場をしらけさせないで欲しいと思う反面、日本人女性としての恥じらいも忘れないで欲しいと思ったり、複雑な心境だ。

 約 1時間半の単純なショーだが、軽妙な司会者 (SMAPでいえば中居クン。最後は彼もパフォーマンスをする) による観客を舞台に引っ張りあげてのパフォーマンスと、熱狂的にステージを盛り上げる陽気な観客のおかげか、少しも退屈しない。これはアダルトショーというより、いやらしさとは無縁の健康的なお笑いショーといった感じだ。
 大がかりなショーもいいが、猥雑な雰囲気をどこかに残す小さなシアターでこういったステージを観ながら大笑いするのもいい思い出になるだろう (右の写真はシアター前)。女性グループにはぜひおすすめしたい。
 昨秋から始まった今回のラスベガス公演、いずれ本拠地オーストラリアへ戻らなければならないとのことだが、プロデューサーいわく、「6月頃までは続けたい」 としている。
 最後に男性の入場に関してだが、それ自体はもちろん禁止されていないものの、男性向アダルトショーにおける女性客の比率に比べはるかに希少な存在となるので雰囲気的にあまりおすすめしたくない。あの圧倒的な女性パワーに囲まれたら、通常の男性は居場所に困るに違いない。

 場所はニューフロンティアホテル (旧フロンティアホテル。ただし今でも看板のほとんどは "フロンティア" のまま) のカジノフロアにあるミニシアター。チケットは現場の窓口か、ラスベガス市内にある All State Ticketing 系列のチケット売り場で買い求めることができる。料金は $34.95。全席自由席。
 開演は金、土が 9:00pm と 11:30pm の2回、日〜水が 9:00pm の 1回だけ、木曜日休演。ショーに関する問合せは同ホテルの代表電話 702-794-8200 まで。
 なお、チケットに付いて来るドリンク交換券をカジノ内にあるバーへ持って行くとビールなどと引き換えることができる (1ドル程度のチップが必要。劇場内への持込可)。劇場内でもカクテルガールから買い求めることができるが、こちらは有料 (要チップ)。



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