週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2002年01月02日号
カウントダウン花火、ストリップの夜空に舞う

 前日まで続いていた寒波も去り、絶好の天候に恵まれた大晦日の夜、ラスベガスの中心街ストリップ大通りで新年を祝うカウントダウン花火大会が盛大に行われた。

 今回のイベントは、群集にとっても関係者にとっても格別な思い入れがあったのか、始まる前から一種独特な緊張感が漂っていたのと同時に、共通の目的から来る団結心のような異様なエネルギーが街全体に満ち溢れていた。
 共通の目的とはもちろん暗いニュースに明け暮れた 2001年に対するうっぷん晴らしと、新たな年に向かっての "強いアメリカ" の誇示だ。

 深夜 12時が近づくと、30万人 (地元メディア発表の概算) とも言われる群集は "USA ! USA !" の大合唱。
 地鳴りのような巨大な喧騒が澄み切った夜空にこだましストリップ全体を覆い尽くすといよいよカウントダウンが始まり、各ホテルの屋上から一斉に星条旗カラーを思わせる青と赤の花火が打ち上げられる。さらに次から次へと大輪の花火がストリップ大通りの上空を舞うと群集の興奮は頂点に。
 花火が終わるとすぐにベラージオホテルの噴水が夜空に高く舞い上がりアメリカをたたえる歌が次々と流れる中、再び "USA ! USA !" の大合唱。
 この様子を数キロメートル離れた場所から見守っていた者は、「数十万人が発する歓喜とおびただしい数の花火による爆音と光と煙が交錯した様子は、暗黒の砂漠に浮かぶ街ラスベガスが "激しく燃える火の玉" になったようだった」 と語っている。

 テロ事件の影響で地元観光産業が大打撃を受けたこともあり、今回のイベントに対するラスベガス市など主催者側の意気込みや期待もかなり大きかったようで、前年に比べるとはるかに盛大な花火大会だった。
 また、各ホテルも屋上を花火の打ち上げサイトとして提供するだけでなく、例年以上にたくさんのイベントグッズ (帽子、メガネ、笛など) を無料配布するなど、このイベントに対する期待の大きさがうかがえた。各ホテルではハイローラー客 (高額を賭けるカジノの上客) の呼び込みなども積極的に行われたのか、カジノゲスト用のカウントダウンパーティーなども例年よりやや多く開催されたと報告されている。

 来年以降の課題を強いてあげるならば、人の安全誘導など、年々増え続ける群集 (今年は前年度比で微減と言われているが正確な公式数字はまだ発表されていない) への対応だろう。昨年日本で発生した歩道橋上での圧死事故 (兵庫県明石市の花火大会) は記憶に新しいが、今回のイベントでもそれに近い "人口密度の超過密地帯" が数ヶ所で発生しており、以前から指摘されている危険な状態は改善されていない。
 ちなみにこのページの一番上の写真 (ベラージオホテル前のプレス席からパリスホテル方向を撮影) では大した過密には見えないが、これはピーク時をすぎた状態で撮影されたもので、今回このエリアでも超過密による負傷者が出て救急車で運ばれている。
 有料制による歩行者天国への流入制限などは誰も望むところではないだろうが、事故が起こる前に何らかの対応が必要だろう。なお、今年も昨年同様ダウンタウン地区のカウントダウン会場は有料制となったが、群衆の数は前年を大幅に下回ったと報告されている。

 あと、これも昨年から指摘されている問題だが、煙の滞留も何とか解決したい課題のひとつだ。強風や雨天など天候に恵まれないのも困るが、今回のように天候に恵まれ無風だった場合、先に打ち上げられた花火の煙で次の花火がほとんど見えなくなってしまうという問題が発生する。
 川原や海岸など広い場所で数時間かけてゆっくり打ち上げられる日本の花火大会と違い、ラスベガスではホテルの屋上という狭い範囲から 10分程度の短時間に1万発以上の花火が一気に打ち上げられるため、日本とは比べものにならないほどこの問題は深刻だ。仕方がない問題とはいえ、角度をつけて斜めに打ち上げるなど (安全上むずかしそうだが) 何らかの改善が期待される。
 ちなみに左下の真っ白な写真はフラミンゴホテル上空の様子だが、煙でほとんど何も見えない状態になっていることがわかる。

 とりあえず大きなトラブルもなく無事に終了することができ、派手な映像を世界に発信できたという意味で今回のイベントは大成功といってよいだろう。前年があまりパッとしなかっただけに関係者はホッとしているに違いない。これでラスベガスのカウントダウン花火は恒例行事として完全に定着し、広く世界に認知されたものと思われる。ラスベガスの観光業界に携わるものとしては非常にうれしい限りだ。

 参考までに、今回屋上から花火が打ち上げられたホテルは以下の通り。(物理的な理由もあり、来年以降もこの顔ぶれはあまり変らないものと思われる。)

 南から順番に、マンダレイベイ、エクスカリバー、MGMグランド、モンテカルロ、アラジン、バリーズ、フラミンゴ、ベネシアン、トレジャーアイランド、旧デザートイン、スターダスト、サーカスサーカス、サハラ、ストラトスフィア、以上14ヶ所。


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