週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2018年 04月 18日号
早く行っておきたいアンテロープキャニオン「エックス」
キャニオンX  大自然が造った曲線美と絶妙な色の変化などで知られる神秘の洞窟 アンテロープキャニオン。それがここ10年ほどで、激変しているというから驚きだ。
 といっても、何万年、何百万年という歳月をかけて形成される大自然の景観が、たった10年程度の短期間で変化するはずもない。どうしたことか。
(このページに掲載されている写真が、どこで撮影されたものか...。それはこの記事の最後に!)

キャニオンX  実は変化しているのはアンテロープキャニオンそのものの姿や形ではない。訪問客の数の激増と、それに伴う観光状況などの変化だ。
 簡単に言ってしまえば、予約なしでは長時間待たなければ入場できなくなってしまったということ。
 仮に運よくすぐに入場できたとしても、かつてのようなゆっくり静かに景観を楽しめるような優雅な見学はとてもできない。

キャニオンX  ここ10年ほどの訪問者の激増ぶりはすさまじく、2倍とか3倍といったレベルではない。統計数字などが発表されているわけではないので、正確なことはわからないが、体感的には 10倍以上に増えているのではないか。
 激増している理由は、グランドキャニオンなどの国立公園とは違い、10年ほど前までは、ほとんどだれも知らない無名の観光スポットであったことと、ネット社会による影響、つまりインスタグラムやフェースブックなどによる伝播と考えてよいだろう。ようするに無名の場所がネットによって、あっという間に知れ渡ったというわけだ。

キャニオンX  その結果、かつてはほとんどだれもいない静寂の中で、瞑想にふけりながら、じっくりと大自然の神秘を楽しむことができたものだが、最近はまるで日本の正月の初詣のごとく、立ち止まることなど許されないほど混雑している。(冬期は比較的すいているが)
 三脚を立てての写真撮影などもってのほかで、今では三脚の持ち込みそのものが禁止されており、人の流れを交通整理するスタッフが現場に常駐しているため、こっそり持ち込んで撮影することもできない。

キャニオンX  ちなみにアンテロープキャニオンには、これまで2つの洞窟があり、それぞれが人気を集めていた。アッパー(Upper)と呼ばれる洞窟と、そのすぐ下流側にあるロウアー(Lower)だ。
 どちらのほうがいいということではなく、両者は似て非なるものということで、これまで多くの人は両方を訪れていたが(両者は互いに至近距離にある)、最近は入場に時間がかかるため、どちらか一方だけ見て帰る者も少なくない。

キャニオンX  そこで昨年あたりから急に注目され始めたのが「Canyon-X」(キャニオン・エックス)と呼ばれる第三の洞窟だ。もちろん太古の昔から存在していたもので、今になって突然出現したわけではない。
 位置的にはアッパーとロウアーがある付近から車で10分ほど東へ行った場所にあり、ここも先住民ナバホ族の領土内にある。

キャニオンX  説明が遅れたが、アッパーもロウアーも、そしてキャニオン・エックスも、いわゆる「インディアン居住区」などと呼ばれるエリア内にあり、一般のアメリカ合衆国の行政区域とは異なる治外法権的な管理下に置かれた先住民族の領土だ。
 今になってキャニオン・エックスが注目され始めたのは、これまでは、ここを観光地化する必要がなかったため(アッパーとロウアーだけで十分だったため)、ナバホ族が一般向けには開放していなかっただけの話だ。つまり、アッパーとロウアーの混雑ぶりにたまりかねて、秘密にしておいたこの場所を第三のアンテロープキャニオンとして開放するようになったと考えればよいだろう。(このたびの開放には、ナバホ族内部でもさまざまな意見や対立があったようだが)

キャニオンX  このキャニオン・エックスの特徴は、なんといってもすいているということ。まだ観光ガイドブックなどに載っていないため当然のことだが、アッパーやロウアーと比べると圧倒的に人が少ない。右の写真のように、入口には手作りの素朴な看板が立っているだけだ。
 したがって、ゆっくり見学できるという意味では断然こちらのほうがいいわけだが、ここの読者を含む一般観光客にとって気になるのは、その景観のレベルだろう。すいていたとしても、アッパーやロウアーよりも大きく見劣りしているようでは意味がないからだ。

キャニオンX  だが、その心配は無用だろう。結論は、百聞は一見にしかず。アッパーやロウアーとほぼ同じだ。
 ちなみにこのページ内に掲載されている写真はすべてキャニオン・エックスで撮影された写真だ。まったく見劣りしていないことがわかるのではないか。
(といってもアッパーとロウアーの写真はここに掲載していないので、それらを知らない人にとっては比較のしようがないが、それらの現在の様子は混雑がひどすぎ、掲載するのは忍びない)

キャニオンX  そしてなにより、キャニオン・エックスでは、その名前の由来になったとされるナバホ族伝説の「X」の文字を見ることができる。
 右の写真は、この洞窟内の秘密の場所から 10メートルほどの高さにある岩の割れ目を見上げたところだ。
 というわけで、キャニオン・エックスにはこんな特徴もあり、おすすめの観光スポットではあるが、心配がないわけではない。
 それはもちろん、一気に混雑が加速してしまう可能性があるということ。ネットによる情報の拡散のみならず、ツアーを催行している各社も、この夏の混雑時期を前に、目的地をアッパーやロウアーからこのエックスに変更しようとしているようなので、その心配は現実のものになる可能性が高い。

キャニオンX  はたしていつまでこのエックスの静寂が保たれるのか。(右の写真は、現場で車両の運転などを担当するナバホ族のスタッフ)
 アンテロープキャニオンに興味がある者、そしてアッパーやロウアーをすでに見て、この第三のエックスを見たいと思っている者は、早めに行動を起こしたほうがよいかもしれない。
 ちなみにこのラスベガス大全でもアンテロープキャニオン・ツアーの予約の取次ぎをおこなっているが、ゴールデンウィーク以降は、アッパーかロウアーのどちらか一方だけと(その日の混雑状況に応じて臨機応変に選択)、このエックスを目的地に入れたコースに変更になる予定だ。
 もちろん馬蹄形の断崖絶壁として有名なホースシューベンド(←クリックで写真)は従来通り訪問し、さらに、混雑が少ないエックスに切り替えたことにより浮く時間を利用して、怪奇岩群で知られるトッドストゥール・トレイルの散策も含まれるようになる。
 ちなみにそのトッドストゥール・トレイルでは、ET岩(←同)と呼ばれたりしている奇岩や、「これにさわると子宝に恵まれる」という伝説があるとかないとか噂される 珍岩(←同)を見ることができるが、詳しい行程などについては改めて紹介することとしたい。


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