週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2017年 12月 13日号
ストリップ大通りで、歩行者保護のための工事が始まる
ボラード  このたびストリップ大通りの広範囲の歩道において、歩行者の安全確保のための工事が始まった。
 そのように書くと、銃乱射などのテロ対策のためのものかと思ってしまう人もいるかもしれないが、そうではない。
 交通事故から歩行者を守るための工事で、具体的には ボラードbollard: 歩道と車道を区切るための柱。右上の写真内の円柱状のもの) を敷設するための工事だ。

ボラード  このボラードの設置、長らく切望されていたもので、「やっと始まったか」 といった印象がぬぐえない。
 というのも、じつは何年も前から、ストリップの歩道の安全性が問題視されてきたからだ。実際に死亡事故も起こっている。
 記憶に新しいところでは、今からちょうど 2年前の12月、プラネットハリウッドホテルとパリスホテルの前の歩道に車が飛び込み、1人が死亡、30人以上が重軽傷という悲惨な事故が発生している。(右上の写真はまさにその事故現場付近で、現在はこのようにボラードの設置が始まっている)

ボラード  意外と思われるかもしれないが、ストリップにはボラードが無い区間がたくさんある。むしろ無い区間のほうが多いかもしれない。
 たとえば、人気の無料アトラクションとして知られるベラージオホテルの噴水ショーや、ミラージュホテルの火山ショーを見るための歩道にもボラードは無い。したがって、それらの区間では、車の飛び込みに対して無防備ということになる。(右上の写真は、その火山ショーの前の歩道。現在工事が進められている)

ボラード  そんな危険な状態が長年に渡って放置されてきたわけだが、ラスベガスだけが安全対策に無頓着というわけではない。
 世界中の著名な目抜き通りでも、ボラードが無いところはいくらでもあり、日本の繁華街も例外ではないはずだ。
 ただ、ラスベガスは事故が起こりやすい環境にあるといわれているので、他の都市の繁華街と同列に考えないほうがよいかもしれない。(右上の写真は工事が始まったばかりの、トレジャーアイランド前の歩道)

ボラード  ラスベガスの特異性は、なんといっても 脇見運転 の多さだ。
 もともと交通量が多い上 (右の写真のように、片側8車線の場所もある)、ストリップ沿いには、ピラミッド、自由の女神、凱旋門、エッフェル塔など、話題の建造物が多いばかりか、たえずメッセージが切り替わる巨大な広告塔、さらには車道から見えてしまう派手なアトラクションもあるため、脇見をしがちな条件がそろっている。
 とはいっても脇見運転による事故は、ほとんどの場合が追突、つまり歩道に飛び込むような事故はまれで、歩行者としてはあまり心配する必要はなさそうだが、それでも歩行者が犠牲になる事故があとをたたないのも事実。

ボラード  それはラスベガスという土地柄、開放的な気分になりがちで、飲酒やドラッグ、さらにはパーティーなどで盛り上がったままの状態での無謀な運転や、正気ではない者による運転など、ありとあやゆる危険運転が発生しやすい環境にあるからとされている。
 実際に、ストリップを含めたラスベガス一帯は統計的にも事故が多いとされ、ラスベガス地区における自動車保険の掛け金が全米平均よりもかなり高いことからも、その事実がうかがえる。

ボラード  そのようなわけで、世界中から集まる観光客の安全という意味では、遅きに失した感はあるが、なんとかこのたびボラード設置のための予算が確保でき、工事が始まったことは、歓迎すべき第一歩といってよいだろう。
 ただ今回の予算で決まっている工事区域は、南はトロピカーナ通り、北はスプリングマウンテン通りとの交差点までで (ホテルの位置でいえば、MGMグランドからトレジャーアイランドまでの区間)、ストリップの全域が対象になっているわけではない。つまり、比較的歩行者が少ないエクスカリバーよりも南と、ウインよりも北は 「今後の課題」 という扱いのまま、しばらく放置ということになる。
(右上の写真は、工事が始まったばかりのベラージオホテルの噴水ショーの前。この写真に写っている円柱状のものは、たまたま従来から存在している車線を区分するものであって、今回設置するボラードではない)

ボラード  参考までに、ボラード自体の大きさは、直径約30cm、高さ約120cm のスチール製の円柱。それを約150cm 間隔で歩道に埋めていくだけの作業と考えると、簡単な工事のようにも思われるが、そうでもないようだ。
 実際には高い強度が求められるため、右の写真のように、広範囲に渡り既存の歩道を掘り起こして、個々のボラードを鉄筋でつなぎ、それを地面に埋めてコンクリートで固める必要がある。
 したがって工事が始まってから2週間ほどは、作業に必要なスペースの確保として歩道に近い1車線が閉鎖され、歩道自体も車線寄りの部分が使えなくなるため、ドライバーにとっても歩行者にとっても多少の不便を強いられることになるが、とりあえず現時点では大きな混乱は生じていない。
 気になる噴水ショーや火山ショーに関しても、使える歩道の幅がやや狭くなっているものの、特に支障なく楽しめるようになっているので安心してかまわない。

ボラード  それにしても、右の写真(ボラードが設置されたあとの現在の様子。パリスホテルの前)を見ると、今まで歩行者がいかに無防備な状態にさらされていたかがよくわかる。
 ちなみに、エクスカリバー以南、ウィン以北の区域での設置も急がれるところだが、とりあえず来年は、パリスホテルとベラージオホテルを結ぶ歩道橋、巨大コカコーラボトルとモンテカルロホテル(まもなくパークMGMホテルに名称変更)を結ぶ歩道橋の新設が優先されることになっている。

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