週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2017年 07月 05日号
ゴルフコース受難の時代、ついにレガシーGCも閉鎖
 ホテル街から比較的近いこともあり、日本からの観光客の利用も多い 「レガシー・ゴルフクラブ」
 7月3日、そのコースが住宅デベロッパーへ身売りする話が発表されたかと思ったら、早くも翌日の4日、練習場、レストラン、ショップを含むすべての営業活動が打ち切られ、コース全体が完全に閉鎖されてしまった。(右下の写真は、同クラブの入口を閉鎖するための金網を設置する作業員)

レガシーゴルフクラブ閉鎖  近年ラスベガス一帯では、レイクラスベガス・フォールズ、シルバーストーン、バッドランズ、さらにはブラックマウンテンやスタリオンマウンテンの一部など、ゴルフコースの閉鎖が相次いでおり、またバリハイ、ロイヤルリンクスといった高級コースの閉鎖もささやかれているなど、ゴルフコース受難の時代を迎えている。
 背景にあるのは、ゴルフ人口の減少と、住宅市況の回復だ。
 これまでゴルフ業界を支えてきた中高年プレーヤーの年齢的な引退、さらには若者のゴルフ離れなどで、ゴルフ需要が大幅に減ってきており、どこのゴルフコースもその経営状況は非常にきびしいとされる。

レガシーゴルフクラブ閉鎖  引退プレーヤーの穴埋めをするためには、小中学生など若い世代の新規参入に期待がかかるわけだが、若者から圧倒的な人気を誇っていたタイガー・ウッズの露出度の急低下や、アメリカ出身のスター選手不在による女子プロゴルフ業界の低迷などが(大きなトーナメントでも地上波でテレビ放送されなくなってしまった)、若年層の興味を他のスポーツに向けてしまう結果となっている。(右の写真は、カジノ都市ラスベガスらしいトランプのハート、ダイヤ、クラブ、スペードを模したティーグラウンドとして有名なレガシーの10番ホール)

 ゴルフ人口の減少で頭を悩ますのはゴルフコースだけではない。
 当然のことながら用具業界にも影響が及んでおり、昨年ナイキがゴルフ用具市場から撤退(ただしシューズとウェアの部門は継続)、人気のゴルフクラブメーカーであるテーラーメイドも、その親会社アディダスが売りに出してしまった。またゴルフボールで人気のタイトリストも韓国企業に売り飛ばされてしまったことは記憶に新しい。

 一方、リーマンショックの不況により 2008年ごろから冷え切っていた住宅市況はここ数年回復傾向にあるようで、住宅価格はリーマンショック以前の水準に戻りつつあり、新規着工件数の増加も著しい。
 その結果、グリーンフィーを下げてもあまり集客できないゴルフコースにとっては、毎日の芝刈りや散水などに膨大な経費がかかるコースを維持していくよりも(特に水道代は、砂漠都市ラスベガスでは非常に高い)、宅地として住宅デベロッパーに売却してしまったほうがはるかに儲かる環境になってきており、それがここ数年のトレンドとしてゴルフコースの相次ぐ閉鎖につながっている。

 近年の激安なグリーンフィーを考えると、ゴルファーならずとも、宅地にして売ってしまったほうが経済合理性がありそうなことはなんとなくわかるのではないか。
 今回のレガシーの閉鎖後でも、まだまだラスベガスのゴルフコースの需給バランスは供給過剰といわれており、あと数件の閉鎖は避けられそうもないというのが業界関係者の見方だ。

 ちなみに、デベロッパーからのターゲットになりやすいのは、比較的フラットなコース(住宅を建てやすい)、住宅を高く売りやすい地域環境、コースに面した既存の住民との訴訟問題になりにくい、現在集客に苦しんでいる、などの条件を満たすゴルフコースとされる。
 10番ホールの効果のみならず、数年前まで全米オープンの地区予選会場となっていたレガシーは、それなりの知名度があり、またホテル街から比較的近いコースということで、観光客需要も旺盛だったことから閉鎖の可能性は少ないと見られていたが、このような結果となってしまった。
 今後さらなる 「まさかのコースの突然の閉鎖」 があり得そうだが、どこのコースが閉鎖になるにせよ、コースが減れば、残ったコースにとってはグリーンフィーを値上げしやすい環境になるため、ベガスでゴルフを楽しもうとしている人たちにとっては歓迎できないトレンドであることは間違いない。これ以上の閉鎖がないことを願うばかりだ。

バックナンバーリストへもどる