週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2017年 03月 29日号
レイダーズ招致、地元には朗報でも観光客には増税
Raiders Stadium  アメリカにおける 4大プロスポーツ・リーグ といえば、野球のMLB、アメリカンフットボールのNFL、バスケットボールのNBA、そしてアイスホッケーのNHL
 3月27日、その NFLのチーム 「オークランド・レイダーズ」 が本拠地をオークランドからラスベガスに移すことが、NFLのオーナー会議によって正式に決まった。
 地元メディアはこれを大きく報道、一般市民も大いに盛り上がっており、今年の 「ベガス10大ニュース」 のトップになることがほぼ決定したかのような騒ぎぶりだ。

 それもそのはず、これまでラスベガスでは、4大スポーツのチームが存在したことが一度もなく、そのチームの誘致は長年の悲願だったからだ。(MLB の下部組織 AAA のチーム Las Vegas 51s は存在しているが、あくまでもマイナーリーグなので、その認知度は高くない)
 ちなみに NHL のチームとして、Vegas Golden Knights の来シーズンからの新規参入 (他の都市からの移転ではなく新たなチームの誕生)が、つい最近決定しているが、既存の人気チームではないため、存在感やファンの基盤が乏しいのか、今回のレイダーズのような盛り上がりは見せていない。

 レイダーズのベガス移転によるメリットは、ただ単に 「おらが町のプロチーム」 といった市民感情的な喜びだけにとどまらない。
 スタジアムの建設、スタジアム運営のための雇用増、試合を観に来る観光客の増加など、さまざまな経済効果が期待されており、一般市民のみならず企業なども含めたラスベガス全体にとっての朗報となっている。
(特にレイダーズは、現在の本拠地であるオークランドに移転する前はロサンゼルスが本拠地だったため、ロサンゼルスにもファンが多く存在しており、地理的にラスベガスに近いロサンゼルスからの観光客の増加が見込まれている)
 もちろん、試合開催日の交通渋滞を危惧する声や、スタジアムの建設よりも教育や福祉に予算を回すべき、といった声もあるにはあるが、それらは少数派といってよいだろう。

 したがって、全体としては歓迎一色のムードになっているわけだが、それはあくまでも地元経済界や地元民であって、他の人は喜んでばかりはいられない。その理由はスタジアム(65,000席規模のドーム型) の建設費を捻出するための増税だ。
 なんと、それを負担するのは地元民ではなく一般観光客というから、ここの読者にとっては朗報どころか悲報といってよいのではないか。
 建設費は、もちろんレイダーズ側も負担するので全額というわけではないが、建設予算の約4割に相当する 7億5000万ドル(約800億円)を、ラスベガスが所属する行政単位クラーク郡が負担することになっている。
 その財源は Room Tax と呼ばれるもので、簡単に言ってしまえばホテル税だ。宿泊料金に対して課税されるもので、今までの税率は 12% だったが、これが増税される。いや、正確にいうと、レイダーズ誘致を見込んですでに 3月1日から税率がアップしているので、「増税される」 ではなく 「された」 というのが正しい。

 アップ率はホテルの所在地によって異なる。スタジアムの誕生によって経済的な恩恵を受けやすい地域のホテルほど負担が大きくなるようにアップ率が決められたとのことだが、実際に税金を払うのはホテルではなく宿泊者なので、恩恵と関係ない観光客から見れば腑に落ちない話に聞こえるかもしれない。
 なお、スタジアム建設とはまったく別の案件として、ラスベガス観光局が所有・運営しているラスベガス・コンベンション・センター(LVCC)の新規建設や増改築工事の費用を捻出するための増税もおこなわれたので、それも合わせて以下に示してみた。
 増税期間、つまり従来の税率 12% に対して追加されるこれらの税がいつまで続くかに関しては、宿泊料金自体が日々変動しており、税収が目標に達成する時期が読めないので、明確になっていない。

ストリップ地区のホテル
12% + スタジアム税 0.88% + LVCC税 0.5% = 新税率 13.38%

ダウンタウン地区のホテル
12% + スタジアム税 0.5% + LVCC税 0.5% = 新税率 13.00%

ラスベガス郊外のホテル
12% + スタジアム税 0.5% + LVCC税 0.5% = 新税率 13.00%

Jean と Primm 地区のホテル
12% + LVCC税 0.5% = 新税率 12.50%

Laughlin 地区のホテル
12% + LVCC税 0.5% = 新税率 12.50%

 というわけで、日本人観光客の大多数が宿泊するストリップ地区におけるホテル税は 13.38% ということになり、すでにこの税率が適用されている。宿泊費のみならず、リゾートフィーも課税対象。
 なお一般の物品やサービスに課税される Sales Tax (日本でいう消費税) の 8.15% は、このホテル税と重複して課税されることはない。
 スタジアムの建設場所に関しては、まだ最終確定したわけではないが、マンダレイベイ・ホテルの西側の空き地(高速15号線を越えた西側) が有力候補地となっている。工事開始後、完成までに2〜3年かかるとされており、それまでレイダーズがオークランドにとどまるのか、ラスベガスの他の暫定スタジアムでプレーするのか、そのへんのスケジュールは明確にされていない。

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