週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2017年 01月 18日号
超人気の IN-N-OUT BURGER がホテル街にオープン
IN-N-OUT BURGER  1月11日、絶大なる人気を誇るハンバーガー店 IN-N-OUT BURGER が、ストリップ地区の中心街にある リンク・プロムナード (フラミンゴホテルとリンクホテルの間) に華々しくオープンした。
 これにより、これまでは西海岸地区に住む者以外はレンタカーがなければ行くことが困難だったが(東海岸地区にこの店は存在しないので)、今後はラスベガスまで来れば、滞在ホテルから徒歩でアクセスできるようになった。
 これは東海岸地区のハンバーガーファンにとっては大ニュースであり、一般のメディアはもちろんのこと、SNS などを通じて全米に広まっているというから、なんともすごい話だ。
 今週は、すでにさまざまなルートでこの開店の話題が拡散しているので、ここではまったく別の角度からこのニュースに切り込んでみたい。(右上の写真は、入口の前に長蛇の列が出来ている様子。なお看板が、通常の "IN-N-OUT BURGER" ではなく "IN-N-OUT HUMBURGERS" になっているところがマニアの間では話題になっているらしい)

IN-N-OUT BURGER  なぜ IN-N-OUT は超人気で、何がどのようにすごいのか。
 それの説明はむずかしい。なぜなら、客観的に説明できる 「人気の理由」 を探すことが困難だからだ。(右は開店時の店内の様子)
 売っている商品がハンバーガーという食べ物である限り、その人気の原点にあるものは少なくとも、つまり 「おいしいから」 という部分のはずで、「サービスがいいから」「インテリアが好き」「料金が良心的」 といった要素よりも上位にあることは容易に想像がつくわけだが、味覚などは人それぞれ大きく異なるもので、良し悪しの客観性に乏しい。実際に、この店のハンバーガーよりもマクドナルドのほうが好き、という者もたくさん知っている。

IN-N-OUT BURGER  そもそも客観的かつ絶対的にこの店のハンバーガーがおいしいのであれば、他の店も同じような味を再現して業績を伸ばそうとするはずだが、同業他社が IN-N-OUT の味に近づけようと努力しているといった話は聞いたことがない。
 自動車産業にしろ家電産業にしろ、一般的に他の業界では、ライバル会社が良い製品を発表し、それがよく売れていれば、同業者は同じような製品を作るのが世の常で、たとえ特許などの難題があっても、売れている商品に少しでも近づけたいと考えるのが普通だ。
 しかし飲食業界では、味付けなど自由にマネをすることができるにもかかわらず、そのようなことをしないのは、やはり味というものに対する評価の多様性だろう。つまり万人にとっておいしいという基準がわかりにくい。

IN-N-OUT BURGER  というわけで、IN-N-OUT の味が、競合他社と比べて客観的にすぐれているのかどうかの議論は意見が分かれるところだが、絶対的にいえることが一つだけある。
 それは、一店舗あたりの平均売上額が、他のハンバーガー店と比べると、ダントツに大きい ということ。
 ハンバーガー業界においては、かなり大規模なチェーン店でも非上場企業であったりすることが多く、そのため売上など具体的なデータが公表されにくい環境にあるので実際の数字はわからないが、IN-N-OUT の一店舗あたりの売上が飛び抜けて大きいことは、業界人の間では周知の事実だ。一般人でも店の混雑ぶりを見れば容易に納得できるのではないか。
 ではなぜそのようなことになっているのか。だれもが思いつくのは、需要に対して IN-N-OUT の店舗数が少なすぎるという推論。しかしそれでは説明がつかない。なぜなら、マクドナルドやバーガーキングなどはたしかに多すぎるが、その他のハンバーガーチェーン店の店舗数は決して多くないからだ。
 参考までに以下は、少なくともラスベガス地区に1店は存在する主要ハンバーガー・チェーン店の全店舗数。(開店と閉店が刻々と繰り返されているので、これら数字は現時点における大まかな数字)

 Carl's Jr. (3600、非上場)、 Sonic (3500、上場)、 Five Guys (1000、非上場)、 White Castle (420、非上場)、 Smash Burger (370、非上場)、 IN-N-OUT (313、非上場)、 Habit Burger (170、上場) Fatburger (150、非上場)、 Shake Shack (100、上場) Umami Burger (24、非上場)、 BOBBY'S Burger (20、非上場)

 1000店に満たないチェーン店がたくさんあることがわかる。それでもそれらの店よりも IN-N-OUT は圧倒的に混雑しているということは、店舗数が少なすぎるかどうかというよりも、とにかく一店舗あたりの需要が多いと考えるべきで、結局は人気があるということに他ならない。
 その人気の理由が語られる際、よく言われることは、IN-N-OUT がウリとしている 「冷凍食材は一切使っていません」という部分だが、それは他のチェーンでも珍しいことではないので、説得力に欠ける。はたして人気の理由や秘訣はどこにあるのか。

 残念ながらその理由はわからない。しかし他社ではあまり見られない特徴が IN-N-OUT にはある。それは、フランチャイズ方式をまったく採用せず、全店が直営店であるということ。それとファミリー企業であるということ。現在のオーナーは創業者の孫だ。
 そういったことが消費者にとってどのような違いになって現れるのか、あまり関係がないようにも思えるが、とにかく直営店と同族経営は大いなる特徴といってよいだろう。

IN-N-OUT BURGER  価格設定の部分も人気に関係している可能性がある。高級ハンバーガーが注目されがちな昨今、IN-N-OUT は総じて安いからだ。
 ちなみにこの店の 「ハンバーガー」 の価格は、ラスベガスの郊外の店舗で $2.20、今までホテル街に一番近いとされた店(ニューヨークニューヨークホテルの西約800m)で $2.30、そして家賃が飛び抜けて高いと思われる今回オープンしたリンク・プロムナード店で $2.85
 「チーズバーガー」 もそれぞれのロケーションの順に $2.50、$2.60、$3.15 となっており、これはかなり良心的な価格設定といってよいのではないか。

IN-N-OUT BURGER  ハンバーガーとチーズバーガーの名前が出てきたついでにいうならば、メニューが非常に少ないのもこの店の特徴で、他にダブルダブルと称されるバーガーがあるだけだ (右の写真)。あとはポテトとドリンク、もしくはそれらをセットにしたメニューしか無い。
 客がレジの前に来てから何をオーダーするか悩む時間を減らすことができ、客の回転を早める戦略ともいわれているが、少ないメニューでも勝算ありという自信の表れと考えられないこともない。マクドナルドなどではとてもできない芸当だ。
 なお、どのバーガーをオーダーした場合においても、オニオン(無料)を入れるかどうか聞かれるので、イエスかノーか答える準備をしておく必要がある。

IN-N-OUT BURGER  ここまで長々とあれこれ分析しておいて、何ひとつ人気の理由を見出すことができなかったが、「おいしい」と思う人が他のライバル店よりも相対的に多いことはだけはたしかなのと、このたびの開店で滞在ホテルから徒歩で行けるようになったので、興味がある人はぜひ足を運んでみるとよいだろう。
 最後にこれは余談。メニューボードには掲載されていないが、常連客などに人気の裏メニューもあるので、知っておいて損はない。それに関しては、この週刊ラスベガス・ニュースのバックナンバー第599号の後半部分に掲載されているので (やや古い記事ではあるものの、基本的には現在とほとんど変わっていない)、そちらを参照していただければ幸いだ。
 行き方は、フラミンゴホテルとリンクホテルの間のプロムナードを、ストリップ大通りから観覧車に向かって 200メートルほど進んだ右側。営業時間は日〜木曜日が 10時半から深夜1時、金・土曜日は深夜 1時半まで。

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