週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2016年 6月 8日号
モンテカルロ、大規模な改装と、縁起が悪い(?)名称変更
 6月3日、カジノ大手の MGM Resorts International社は、ラスベガスで同社が運営するモンテカルロホテルを約2年かけて改装し、名称も Park MGM に変更すると発表した。
 改装や名称変更のために必要な一連の費用は約4億5千万ドル(約500億円)。名称変更の時期は、改装工事がある程度進んでからになるとのことで、現時点では発表されていない。
 工事は数フロアごとに進められるため、全体が閉鎖になることはなく、営業は従来通り続けられる。したがって、すでにモンテカルロに宿泊予約を入れている者が特に大きな変更や不便を強いられることはなさそうだ。
 客室と同様、カジノフロアも改装の対象となっているため部分的に工事の影響を受けることはありえるが、原則として今まで通りの利用が可能。

モンテカルロが Park MGM に  なお、現在のモンテカルロの最上階である32階のフロアだけは、別ブランド「Hotel 32」という名称のホテルになっており(バックナンバー第656号に特集記事あり)、これは、いわゆる Hotel-in-Hotel (ホテルの中のホテル)という形態のブティック・ホテル(他とはどこかちがう小洒落た小さなホテルを指す言葉)として運営されているわけだが、これも改装され新しいホテルに生まれ変わる。
 その新名称は The NoMad Las Vegas。現在の Hotel 32 は 32階だけだが、この NoMad は 31階と30階にも拡張され、部屋数は 292 になる予定。
 もはやブティック・ホテルと呼ぶには大きすぎる感じがしないでもないが、ラスベガスのホテルの場合、3000部屋前後が当たり前であることを考えると、周囲との相対的な比較としてはまちがいなくブティック・ホテルと呼んでよいだろう。ちなみに Park MGM の部屋数は現在のモンテカルロの約3000 から約2700 に減る。
 なお、この NoMad は、ニューヨークに本拠地を置き全米各地で小規模なホテルやレストランを経営する Sydell Group 社のブランド。したがって最上部の3フロアは同社が監修、運営することになる。
 レストラン運営においてノウハウを持つ同社と MGM 社のコラボレーションにより、高級レストランもいくつか新たに出現するというので楽しみだ。
 ちなみに nomad は「遊牧民」や「放浪者」という意味だが、ここでの NoMad は North of Madison Square Park の省略形。実際にニューヨークの NoMad ホテルは、マジソンスクエアパークの北側 200〜300メートルのところにある。

モンテカルロが Park MGM に  さて、ここからはどうでもいい余談。以下は先日おこなわれた株主総会において、株主の間などでささやかれていた噂話だ。
 今回の名称変更、モンテカルロの名前が消えること自体は、半年ほど前から発表されていたのでわかっていたことだが、新しい名称が何になるかに関しては、いろいろ憶測があった。
 当初の本命は The Park Hotel と見られていた。その理由は、今年4月、MGM社がニューヨークニューヨークホテルとモンテカルロホテル(両ホテルとも MGM社が運営)の間の奥まった場所に、大型アリーナ T-Mobile Arena (写真右上) を開業させ、ストリップ大通りからそのアリーナへ続くプロムナードの名称を The Park (写真右下) とし、そのプロムナードは、現在のモンテカルロの正面玄関へ通じる道でもあるからだ。つまり、プロムナードとホテル名を一致させたい。
 さらに現在モンテカルロ内の劇場(かつてマジシャンのランスバートン氏が使っていた劇場)を取り壊して新たな巨大劇場(5300席)に建て替える工事が進んでいるわけだが、その劇場の名前が The Park Theather に決まっているので、ホテル名も Park になるであろうことは既定路線と見られていた。

モンテカルロが Park MGM に  しかし Park Hotel というのは他の都市でもよくある名前なので、すぐに本命から外されることに。そこで、「Park の名前は付けたいが、他のホテルとまぎらわしいので明確に区別できる名称がいい」 という思惑で浮上したのが、今回最終的に決まった Park MGM
 しかしこれにもいろいろ反対意見があったようだ。MGM という名前が入っていると、自社がすでにベガスに持つ巨大ホテル MGM Grand とまぎらわしいからだ。
 海外から初めてラスベガスにやって来る観光客がタクシーの運転手に 「MGM に行ってほしい」 と言った場合、運転手は当然のことながら 「MGM Grand か Park MGM か?」 と聞き返すことになるが、その乗客の頭の中に MGM しか入っていない場合、混乱を招く。
 多くの観光客は、同じ街の中に MGM という名前が入ったホテルが2つあることを知らない。結果的に旅行業界などにとっても、その顧客が泊まっているホテルへの送迎手配などにおいてミスが発生しやすくなるので、この Park MGM という名称は考え直したほうがよいだろう。

 さらに、どこまで本気の意見かよくわからないが、縁起をかつぐような反対意見も出ていたようだ。「MGM社が運営するカジノホテルの名称の頭文字は、すべてアルファベットの14番目の N よりも若い文字。その名前でどこも成功しているので、今さら P で始まる名前をつけるのは、いかがなものか」 という意見。
 たしかに同社のカジノホテルの名称は、AreaBellagioCircus CircusExcaliburLuxorMandalay BayMGM GrandMirageMonte CarloNew York New York で、すべて N よりも若いアルファベットで始まっている。
 さらにラスベガス以外の州や海外に同社が持つカジノホテルも、Beau RivageGold StrikeMGM Grand DetroitMGM MacauMGM Cotai と同様のことがいえる。
 例外と思われるのが、ラスベガスにある VdaraSignature だが、実はこの2つはなぜかカジノホテルではない。カジノ無しの宿泊だけの施設だ。
 オカルトはまだ続く。同社が数年前まで所有していて業績が振るわず売却したホテルは Primm Valley ResortRailroad PassWhiskey Pete's。なぜかこれらは N よりもあとの文字で始まる。さらに、同社が資金繰り難で倒産の危機に直面し、売却せざるを得なくなって手放したホテルが Treasure Island
 ここまで不思議な偶然が重なると、「縁起が悪い N 以降のカジノホテルはすべて手放したというのに、わざわざ今から Park MGM はないだろう」 と考えるオカルト思考の株主がいても不思議ではないが、結局 Park MGM で決定してしまった。はたしてこのホテルの運命はいかに。

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