週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2016年 5月 25日号
ナイトクラブのような遊び心満載のゴルフ練習場 TopGolf
TopGolf ラスベガス  5月19日、通常のゴルフ練習場とはまったく異なるコンセプトの巨大ゴルフ練習場 TopGolf がオープンした。
 出現した場所は、MGMグランドホテルの北東側に隣接する空き地。15年ほど前まで、同ホテルのテーマパーク MGM Grand Adventures が存在していた場所だ。
 ちなみにこの施設を運営する TopGolf 社は、イギリス発祥の企業ではあるが、現在の本社はテキサス州ダラス。イギリスとアメリカで事業展開しており、今回オープンしたラスベガス店は 26ヶ所目であると同時に、同社にとって最大の施設。

TopGolf ラスベガス  この TopGolf、どこがどのように通常の練習場と異なるのか。その答えは 「ほとんど全部」、つまりありとあらゆる部分が普通ではない。
 外からの見かけこそ、ネットに囲まれた敷地内に4階建ての打席がずらりと並んでいるので、だれがどう見てもゴルフ練習場であることはわかるが、内容が常識とは大きくかけ離れている。
 言葉で表現するのはむずかしいが、とにかく練習する場所というよりも、もはやエンターテインメント施設、もしくは若者の社交場、いや ナイトクラブ的なコンセプトの施設に打席が用意されている と考えたほうがわかりやすいかもしれない。
TopGolf ラスベガス  つまり、各打席にはソファーとテーブルが用意されていて、そこで酒を飲み、仲間同士でワイワイやりながらボールを打つ。遊び心満載のゴルフ練習場だ。
 この雰囲気、日本でいうならば、飲み会のあとのボウリング大会といったところか。
 ちなみに今回の現場取材、昼の時間帯に行ってしまったが、この施設が本領を発揮するのは夜の時間帯、それも深夜だ。その証拠に営業時間は、午前中からオープンしているものの、週末は早朝の4時まで、平日でも深夜2時までとなっている。

TopGolf ラスベガス  とにかくここは飲み食いしながら騒ぐことがメインで、ゴルフ練習はあくまでもオマケ的な存在。
 それゆえ、実際に利用している客層も通常の練習場とは大きく異なっており、一人でこの施設にやって来る者はまずいない。また、自分のゴルフ用具を持参して来る者も少数派だ。
 ここでは各打席にいろいろなクラブが用意されているので (写真右上) 用具の持参は不要。クラブのブランドや性能などにこだわる者もほとんどいないと思われる。こだわるどころか、現場スタッフの話によると、「半分ぐらいのお客さんは初めてクラブをにぎる人です」とのこと。
(参考までに、TopGolf 社はゴルフ用具メーカーの Callaway社と業務提携しているため、この施設に置かれている TopGolf ブランドのクラブは原則としてすべて Callaway 社製)

TopGolf ラスベガス  というわけで、用具こそまともなものが置かれているが、環境的には、まじめに練習をしたいと思っているゴルファーが行くべき場所ではないし、行ってもあまり練習にならないだろう。そもそも雰囲気もさることながら、打てるボールの数と料金がまったく見合わない。
 ついでに言うならば、ドライバーショットのティーアップの高さも制限付きだ。(現場スタッフによると、高い打球が出てボールがネットを超えて場外に行ってしまうことを防ぐために、ティーアップの高さはかなり低めに設定されているとのこと。実際にかなり低くて打ちにくい)

TopGolf ラスベガス  利用方法や現場の様子を説明すると、MGMに宿泊している人以外は徒歩でアクセスするには遠すぎるので、タクシーやレンタカー利用ということになる。
 ちなみに駐車場はフリーパーキングはなく、バレーパーキングのみなので、チップが必要。
 正面玄関のところに見える長い階段を登って入っていったところに受付があり (写真右上)、そこでクレジットカードの登録などチェックイン手続きをする。
 利用料金に関してはこのあとに記載するが、原則として時間制なので、ボールの数や人数には関係ない (ただし最高1打席6人まで)。つまり打席の占有時間に応じて課金され、それが自動的にクレジットカードに請求される。飲み食いの代金も、あえて現金で支払わない限りカード決済だ。

TopGolf ラスベガス  受付でのチェックインが終わると、担当スタッフが打席まで案内してくれ、利用方法などを説明してくれることになるが、そのスタッフとの会話はもちろんのこと、ハイテク装置と連動している打席管理画面 (写真右)などもすべて英語なので、ある程度の英語力は必要と考えたほうがよい。
 ちなみにゴルフボールには半導体チップが組み込まれており、打った球数などは言うに及ばず、だれが打ったボールなのか、さらにはボールの落下地点などもその画面に表示される。
 仲間とワイワイ楽しみながら打つことが目的なので、どこのターゲットを狙って腕を競い合うかなど、その管理画面内に用意されているさまざまなゲームから選択する必要があり、またゲームに参加する者の名前の入力など、事前のセットアップ作業は少なくない。

TopGolf ラスベガス  1階から3階までは基本的に同じような構造になっているが(受付は2階にある)、4階は団体の利用を想定したフロアで、打席の間隔が広く、大きなソファーやパーティーのためのスペースなどが用意されている。
 そして3階と4階には、猛暑で知られるラスベガスの長い夏を意識しているのか、高級ホテルのデイクラブ並みのプール施設も。(写真右上)
 2階にはプロショップがあるが、ゴルフ用品でも売っているのかと思いきや、店内に入ってみると商品のほとんどは水着やギフトグッズなどゴルフと無関係のものばかり。この施設が通常のゴルフ練習場ではないことを再認識させられる一瞬だ。

TopGolf ラスベガス  まじめに練習したい人のために練習場としてのスペックなどに触れておくと、打席数は1階から4階までの合計で108。ネットまでの距離はちょうど 200ヤード
 アメリカにおける一般的な練習場は、ゴルフコースに併設された広大な空き地にネット無しで存在していることが多いので 200ヤードと聞いても驚くほどの数字ではないが、この種のネットに囲まれた練習場としては打席数も距離も十分すぎるほどあり、かなり大規模な施設といってよいだろう。
TopGolf ラスベガス  なお、打席部分に表示されている(写真右) 各ターゲットまでの距離は、1階席からの水平距離なので、上層階の打席から自分で持参した距離計などで計測した場合、数ヤード多めの数値になる。
 ボールは前述のとおり半導体チップが埋め込まれた特殊のものだが、飛距離などは通常のボールと大差ないように感じられた。
 そのボールの飛距離や落下地点を測定するためのセンサーは、各ターゲットの周辺と、一番遠い部分、つまり 200ヤード先のネットの真下に設置されている。
 したがって豪快なドライバーショットを放ち、ボールがそのネットの上部に強く当たると跳ね返るようなカタチでボールが手前に戻ってくることになり、真下のセンサーには入らず感知されないので注意が必要だ。感知されなくてもどうでもいいように思えるが、感知されないとゲーム内で得点として加算されない。これもスタッフの説明によると、ティーの高さと同様に、あまり遠くに打たせないようにするための工夫だとか。

TopGolf ラスベガス  さて気になる料金について。大人数のパーティーでもない限り、一般的には1階から3階までを利用することになるわけだが、料金はなぜか1階のほうが安い。(右の写真は1階からの景色)
 通常の練習場では、下の階のほうが視覚的に実際のコースと同じ感覚で距離感をつかみやすいので1階が人気だが、ここでは練習環境よりも景色のほうが優先されるのか、そうではないようだ。
 1時間の打席使用料は、階、曜日、時間帯によって細かく分かれているばかりか、季節など需給バランスによって変動するとのことだが、現在は、月曜日から木曜日の午前8時から正午までの1階が一番安くなっており $30、金曜日と土曜日の午後5時から深夜の閉店までの3階が一番高く $90。1打席6人まで。見学は無料。
 飲食物の料金は、メニューが豊富なのでそのすべてを書き出すことはむずかしいが、ビールは小瓶サイズ(約350ml) で7ドルから、ピッチャーサイズが 24ドルから、ワインはグラスが9ドルから、ボトルが30ドルから、その他、各種カクテルやサングリアなどもある。ハンバーガーは数種類あり 14ドルから、枝豆、サラダ、チキン、ポテトなどのツマミ類は10ドル前後。
 カジノホテルのナイトクラブと同様、750ドルのドンペリなど、高額のシャンペン、スコッチ、ワインも用意されている。
 なお実際の料金以外に、何かとチップが必要な場面が多いので、1ドル紙幣や5ドル紙幣をたくさん用意していくとよいだろう。(宿泊しているホテルのカジノ内に両替マシンがあるはず)
 営業時間は季節によって変動するようだが、現時点では日曜日から木曜日が午前8時から翌日の深夜2時まで、金曜日と土曜日が午前8時から翌日の早朝4時まで。

TopGolf ラスベガス  わざわざラスベガスにまで来た観光客がゴルフ練習に時間を費やすとは思えないし、ゴルフコースでのプレーを予定している者がプレー前に練習をしたい場合はそのコースに併設されている練習場を使うので、100打席を埋めるだけの集客が可能なのか採算性が大いに心配されるが(スタッフの数も非常に多いので人件費も気になるところ)、ナイトクラブと考えれば、昨今のブームに乗って大成功するような気がしないでもない。
 ただそのためには大々的な宣伝や、さらなる工夫もすべきだろう。せっかく半導体チップでボールの行方を管理できるようになっているのだから、ホールインワンなどに対してラスベガスらしく賞金や賞品を出すようなサービスもほしいところだが(賞金は法律上の問題があるかもしれないが)、残念ながら現時点ではそのような企画はないようだ。

 採算性のことはともかく、一般のゴルファーにとってはふざけた施設のように見えるかもしれないが、ここで遊んだことをきっかけにゴルフをやり始める人が少しでも増えるのであれば、ゴルフ業界全体にとって有益な施設となり得るので、馬鹿げた施設と決めつけずに温かい目で見守りながら応援したい。

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