週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2016年 3月 2日号
ダウンタウンにある憎めない居酒屋風のラーメン店
itsy bity  日本を離れてしばらく時間が経過すると、無性に和食系のものが食べたくなったりするもの。そんなときに真っ先に脳裏に浮かんでくるのがラーメン
 特に今の時期は学生の卒業旅行シーズンなので予算にゆとりがない人も多いはず。
 そんな人たちにとって、ホテル内の高級レストランは近寄りがたい高嶺の花。一方、ラーメンは味覚的にも予算的にも打って付けだ。
 「海外に行ってまでラーメン?」 といった意見もあるかもしれないが、食べたいものを食べればいい。
 というわけで今週は、卒業旅行やラーメン党の人たちに向けた情報として、昨年ダウンタウンにオープンした少々怪しげだがなぜか憎めないラーメン店 「itsy bitsy」 を紹介してみたい。(右上の写真は店内の様子)

itsy bity  ラーメンは世界的なブームで、ここラスベガスにも日本人が経営する本格的なラーメン店がたくさんある。だがそのほとんどは郊外にあり、タクシーを利用するかレンタカーが無いと行けない。また、最近はホテル内のカジュアル系のレストランなどでもラーメンが散見されるが、その多くは、いわゆる 「なんちゃってラーメン」。
 今回紹介する itsy bitsy は、観光客の多くが訪問するダウンタウン地区にあるため、ついでに立ち寄ることが可能だ。電飾アーケードとして知られる人気の観光スポット「フリーモント・エクスペリエンス」(写真右上) から徒歩の距離にあるので、わざわざタクシーに乗ったりする必要はない。
 ちなみにこの店、日本人が経営しているわけでも、アメリカ人による個人経営の店でもない。数年前にシューズのネット販売最大手 Zappos がラスベガス・ダウンタウンに本社機能を移してきたことを機会に、その創業社長の主導で始まったダウンタウン地区の再開発プロジェクトの一環として企画運営されている店舗だ。

itsy bity  「運営形態や立地条件が良いことはわかったが、味はどうなのか?」、ラーメン党の多くの読者が今考えていることだろう。
 結論から先に書くならば、「なんちゃってラーメン以上、本格ラーメン以下」、といったところか。
(右上の写真は、この店の太麺とんこつラーメン)
 でもガッカリするのは早いかもしれない。というのも、麺も具も素材的には本格ラーメンと何ら遜色はなく、問題はスープだけで、本格ラーメンと位置づけられるレベルに改善される余地があるからだ。
 「スープこそ重要ではないか!」 ということなかれ。なぜなら、スープそのものの味付けや風味に問題があるのではなく、濃さに問題があるだけで(かなり薄味だった)、たまたま今回の試食時の担当料理人の味覚が極端な薄味傾向だった可能性があるからだ。ちなみに週七日オープンなおかつ営業時間も長いので、キッチンスタッフは何人もいる。
 仮にその料理人だけの問題ではなく、この店の傾向的な問題だったにせよ、味噌や醤油などのスープベースにだし汁を加える際、多すぎないようにすればいいだけのことで、改善の余地があるというか、今すぐにでも改善できる。
 別の日に何度か足を運んでみれば傾向的な問題かどうかわかるはずだが、行ったのはまだ2回だけで、あいにくその2回とも同じ料理人に遭遇してしまい、真相はまだ不明だ。それでも一般的にアメリカ人が好むラーメンのスープはかなり濃いこってり系とされているので、今回試食した薄味は例外的なことと信じたい。

itsy bity  というわけで、その「薄めすぎ」という部分には目をつぶって話を進めると、この店のラーメンのバリエーションは全部で6種類。といっても 6種類それぞれの名称のラーメンが用意されているわけではなく、2種類の麺3種類のスープから好みのものを指定するかたちでオーダーするようになっている。
 麺は Thin(細い)、Thick (太い)、スープは Shoyu、Miso、Tonkotsu がそれぞれの選択肢だ。
 具は、チャーシュー、ゆでたモヤシ、半熟の煮玉子、そしてネギが標準トッピングとして始めから含まれており、その他オプションでメンマ、コーン、のり、豆腐などを追加することが可能。(右上の写真は太麺の味噌ラーメン)

itsy bity  細麺といっても博多ラーメンに見られるような極細ストレート麺ではなく標準的な太さの縮れ麺で、太麺も日本でいうところの極太麺ほどは太くはなく、やや太いといった程度の縮れ麺だ。
(右の写真は細麺の醤油ラーメンにメンマを追加)
 どちらを選んでもまともなレベルにあるので後悔するようなことはなさそうだが、ゆですぎて伸びてしまうリスクを考えると(アメリカのラーメンではよくあること) 太麺のほうが無難かもしれない。ただし、もし薄味だった場合、スープがからみやすいという意味では細麺のほうに分がありそうだ。
 スープは醤油、味噌、豚骨、すべて試してみたが、醤油は日本で見られるようなクリア系ではなく濁ごり系で、味噌は味噌らしいこってり感が少ないあっさり系。豚骨も油の存在こそはっきりしているものの、豚骨そのものの風味は軽い。
 薄味に作られていたことが影響しているのか、結果的に3つのスープの差がわかりにくく、味噌ラーメンに近い醤油ラーメン、醤油ラーメンに近い味噌ラーメンといった感じで、どれも似たような味になっていたのは少々残念だった。
 ちなみに値段はどの組み合わせもラーメンはすべて $10.50、オプションのトッピングは $1.00 と決して安くはない。

itsy bity  ラーメンの話はそのへんにして、この店は、日本の居酒屋的な部分も追求しており、日本酒はもちろんのこと、枝豆、シシトウ、ヤキトリといった一品メニューもある。
 とりえあずギョーザ、天ぷら、ヤキトリを試食してみたので、それらについてコメントしておくと、ギョーザ以外はイマイチの部分と感心できる部分があり、評価としては微妙なところだ。
 まずはメニュー内で Pot Stickers と表記されているギョーザについてだが、これはあまりよろしくない。どこがどのように悪いのかは表現しづらいが、とにかく全体的にパッとしない味だった。
itsy bity  Tempura Vegetables と表記されている野菜天ぷら(写真右)の内容は、ブロッコリー、エリンギ、さつまいも、玉ねぎ、ナス。揚げ方としては、アメリカのレストランとしてはまぁまぁといえるレベルだが、カットのサイズが貧弱でボリューム感に乏しいところが残念。ただ感心すべき点は、大根おろしのみならず、生姜も付いてくるというところ。これはアメリカでは珍しい。
itsy bity  Robata Skewers と称されるヤキトリ(写真右) は素材的にも味的にもそこそこのレベルにあり悪くはなかったが、焼け目こそ見えるものの表面がカラリと焼けた感じがしなかったので、炭火を使っていない安易な調理方法と勝手に判断。
 フロアマネージャーが暇そうにしていたので、焼いている現場を見せてもらったところ、なんとちゃんと炭をおこして焼いていることが判明。それもバーベキューなどで使われている一般的な粉砕圧縮型のチャコールではなく本物の炭。そこの部分は立派なことなので評価したいが、炭火で焼いた感じに仕上がっていなかったのはどうしたことか。

itsy bity  帰りぎわ、そのフロアマネージャーに、日本のラーメンはもう少し味が濃いことを伝えると、日本人と知るやいなや、待っていましたとばかりに 「これを読んでいってくれ」と日本の漫画本(写真右) を持ってきて手渡された。
 もう食べ終わって帰り支度をしていたところだったので、読むことはしなかったが、秘密の棚を見せてもらったところ 10冊程度は置いてあることが判明。なにやら日本のサブカルチャー好きな Zappos の社員らの憩いの場になっているようだ。
 店内の壁には 「今日のおすすめのスープはウィスキー」 と書いてあったり、怪しげな絵が飾ってあるなど、店全体の雰囲気からも料理の内容からも、ふざけた日本好きがふざけながらも精一杯やっている店という印象を受けるが、すべてにおいて憎めないところがなんともいえず、そこがこの店の良いところなのかもしれない。

itsy bity  場所と行き方は、電飾アーケードを東端まで進み、さらにそのままラスベガス大通りとの交差点まで行くと、左前方に 約20階建の白い高層マンション(写真右)が見える。そのマンションの1階にこの店は入居している。ただし入口は北側に面しているので(この写真で見えているのは南側)、ラスベガス大通りとの交差点を左に曲がり、約150m 先に見えるオグデン通りの信号まで進み、そこを右に回り込む形でアクセスする必要がある。
 営業時間は午前11時から午後10時までだが、金曜日と土曜日は深夜1時まで。

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