週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2015年 9月 23日号
世界最大のフーターズ、実際の営業面積は普通
世界最大のフーターズ  先週の月曜日、Palms ホテル内に、世界最大のフーターズがオープンした。(写真右)
 フーターズに関しては、東京にもあるので改めて説明の必要もないだろうが、知らない人のために簡単にふれておくと、オレンジ色のショートパンツと白のタンクトップ姿のセクシーなウェイトレス "Hooters Girls" と、フクロウのロゴがトレードマークのテーマレストランで、1983年の創業以来アメリカ東海岸地区を中心に事業を拡大、現在では西海岸地区はもとより海外にも進出し、全世界で約450店舗を展開している。
 ちなみにフクロウの 「ホー、ホー」 という鳴き声は英語で 「hoot、hoot」、そして 「hooters」 は俗語で女性の胸のこと。

世界最大のフーターズ  店そのものの形態としては、「男性向けのビールパブ」 といった感じがしないでもないが、もちろん女性だけのグループやカップルでの利用も多く、実際に男女比に大きな違いはないとされているので、ファミリーレストランと考えて何ら差し支えないだろう。
 店内にはスポーツ番組を中継するテレビが所狭しと並び、チアリーダーに扮した健康的なウェイトレスが元気に料理やビールを運ぶ。
 そしてその料理は、名物の特製チキン・ウイング "Original Hooters Style Wings" と人気のハンバーガー "More than a Mouthful Burger" が中心で、メキシカン風のメニューも多少はあるものの、ジャンル的には完全なアメリカンだ。

 そんなフーターズが、このたびラスベガスで4番目の店として開業したわけだが、この店の特徴はなんといってもその広さ。世界最大とされる床面積は約1400平方メートル、座席数は約400席。これは標準的なフーターズの倍以上の規模を誇る。
 また広さのみならずインテリア・デザインや全体の雰囲気も従来店とは大きく異なっており、歓迎されるべきことかどうかは意見が分かれるところだが、この店には荒削りなワイルド感がほとんどない。
 従来店の多くは、木目をそのまま生かしたラフなテーブルやイス、裸電球がむき出しになった薄暗い照明などが特徴だが、この店は近代的かつ洗練されたインテリアにまとめられており、雰囲気としては極めて優等生だ。
 ちょいワル感がないという意味ではフーターズらしくないと言えなくもないが、もちろんフーターズ・ガールズのコンセプトはきちんと踏襲されているので、店の雰囲気よりも彼女らに会うことを目的とする利用者にとっては特に何も心配する必要はないだろう。

世界最大のフーターズ  ここまで読んだ読者の中には、「規模が通常店の倍以上ということはフーターズ・ガールズの数も倍以上」 と期待している人もいるかもしれないが、そうとも限らないので大きな期待は禁物だ。
 というのも、施設のすべてを常時使っているわけではないからだ。店全体の構造は、1階のメインフロアと、吹き抜け構造の上部に設けられた2階席、それとプール施設に面したテラス・セクションで構成されているが、よほど混雑している場合を除き 2階席は使用せず、テラス・セクションもプールがオープンしている時間帯や季節以外は閉鎖されているので、通常は1階のメインフロアだけでの営業となっている。
 つまりせっかく世界最大規模の店舗にしたにもかかわらず、実際の営業規模は通常店と大差ないというのが現状で、「宝の持ち腐れ」 といった感じだ。

 なぜそんなことになってしまっているのか。それはこの店の位置に原因があるように思われる。この Palms ホテルのカジノフロア内の一番東側に位置しているわけだが、カジノを訪れる客の多くは、フードコートや映画館などがある西側の入口から入り、東端まではなかなか行かない。
 実際に、いつも西側のほうが人通りが多く賑わっており、その理由は、このカジノを訪れる地元民の多くは、市内の西地区に住んでいるため西側の駐車場を利用するからだ (ここのカジノの顧客の多くは地元民)。ストリップ地区のホテル街に近い東側にも駐車場はあるが、その駐車場は、ナイトクラブを訪れる客やストリップ地区に滞在する観光客が利用する程度で、一般的にはあまり利用されていない。

世界最大のフーターズ  というわけで、開業後の一週間の様子を見る限りでは、「大きく造ってしまったものの、その規模に見合った集客ができていない」 といった状況で、採算性が大いに心配されるが、利用者としてはそんなことまで気にする必要はないだろう。
 「気になるのは店の採算性よりもフーターズ・ガールズのレベル」という読者がほとんどと思われるが、彼女らのレベルの良し悪しなどに関しては各自の好みの問題なのでコメントを避けるとして、職業としてのフーターズ・ガールズは、容姿に自信のある若い女性たちの間ではかなりの人気らしい。
 事実、同社が毎年発行するカレンダーガールに選ばれればスターも夢ではなく、フーターズはこれまでにも数多くの一流モデルやタレントを輩出している。
 その一方で、絶えず法律論争に巻き込まれているのもこの会社の企業カラーで、「容姿を理由に採用試験に落とされた」 という女性から訴えられたり、「若い女性しか採用しないのは年齢差別」、「タンクトップの強制はセクハラ」、「女性だけというのは男女雇用機会均等に反する」 といった裁判沙汰はあとを絶たない。
 もちろんそれらの訴訟の多くは成功報酬を目当てにした弁護士誘導型のものが多いようだが、とにかく同社が訴訟のターゲットになりやすい環境にあることだけはたしかだろう。
 雇用に関する差別に厳しい米国では、原則として雇用主は求職者に対して年齢や性別を問えないばかりか、容姿を問うことなどは論外で、履歴書に写真を貼る習慣もないことを考えると、裁判沙汰になってしまうのもわからないでもない。
 それでもこの会社は、「男と女はちがって当たり前。職場で期待される役割や能力もおのずと異なる。利用者がセクシーな女性を望む限り、その需要に見合った社員を採用してなにが悪い」 といった創業以来の方針を変えるつもりはなく、その方針を支持するサポーターや共和党議員などを中心とするロビイストらの運動によって、ことごとく裁判を切り抜け今日に至っているというから、その企業哲学は筋金入りだ。
 ちなみに同社は規模こそ大きいものの非公開企業で、社会的な責任を負わされがちな上場企業ではないという部分も、頑固な企業哲学を維持しやすい要因になっているのかもしれない。
 とはいえ最近は、平等意識の高まりや差別問題に対する世間の目が厳しくなってきていることもあり、容姿ばかりにこだわる採用方針を貫くことがむずかしくなってきているのも事実で、結果としてフーターズガールズのレベルが下がってきているとの声は少なくない。
 時代の流れと言ってしまえばそれまでだが、法律論はともかく現実の世界における男性のホンネとしては、いかつい無愛想なウェイターにビールを注いでもらうよりは、ニッコリ笑ったセクシーな女性に注いでもらったほうがビールもおいしいというもので、今後もフーターズ社には頑張ってフーターズガールズのレベルの維持に尽力してもらいたいものだ。

 さように世間を騒がせてきたフーターズ社。東京にもあるが、本場の状況(特にフーターズガールズのレベル)を直接自分で確認してみたいという人はぜひ足を運んでみるとよいだろう。ランチタイムもディナータムも営業しているので、他の一般的なレストランよりも利便性はよいはずだ。
 なお、MGMグランドホテルの南側にあるカジノホテル「フーターズ」内にも当然のことながらレストラン「フーターズ」がある。規模は小さいが、南ストリップ地区に滞在している場合はそのフーターズのほうが今回オープンした Palms 店よりも近い。
 最後に、名物のチキンウィングをオーダーする際は、その味付けとしてのソースをさまざまな種類の中から選べるようになっているが、それらソースは辛口が好きな者にとっても総じてかなり辛いので、辛さのレベルには十分注意したほうがよい。メニュー内で各ソースは 「炎」 のマークの数(0〜5までの6段階)で辛さのレベルが示されている。よほどの辛口を好む人以外は 2までで十分だろう。

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