週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2015年 7月 8日号
終わりが見えない リゾート・フィーの値上げ合戦
リゾート・フィー  リゾート・フィーの値上げ合戦が続き、その終わりがまったく見えてこない。
 悪名高きこのリゾート・フィー、ついにラスベガスのメディアのみならず、遠く離れた東海岸の有力紙ワシントン・ポストにも取り上げられてしまった。
 ラスベガスに限った習慣ではないが(ハワイ、マイアミ、オーランドなどでも定着している)、6月26日付けの同紙のその記事ではラスベガス、そしてベラージオホテル (写真) などが名指しで批判されている。
 なお、ベラージオの名誉のために言っておくと、ラスベガスを代表するホテルとして取り上げられたまでで、ベラージオだけが悪いわけではなく、在ラスベガスのほぼすべてのホテルがリゾート・フィーを導入している。
 そんなリゾート・フィーの現在の相場がどの程度になっているのか、各ホテルごとに調べてみた。

 その前に 「リゾート・フィーという言葉自体を初めて聞く」 という読者もいると思われるので、改めてその意味や内容についてふれておきたい。
 リゾート・フィー (Resort Fee) とは、そのまま訳せば 「リゾートの料金」 ということになるが、宿泊料金だと思ったら大まちがいで、宿泊料金とは別に徴収されるいわば追加料金のようなものだ。
 もちろん税金とも異なる。それどころか、このリゾート・フィーにも税金が課せられ、さらにやっかいなことに、予約時にクレジットカードから引き落とされる宿泊料金や税金とは別のタイミング、つまり忘れたころに (多くの場合、チェックイン時かチェックアウトの時に)徴収されたりするのでたちが悪い。
 旅行の準備を終え、「ホテル手配も支払いもすべて完了。さぁ出発!」 と、意気揚々と家を出て、現地のホテルに到着した途端に追加料金の存在を告げられる。これがリゾート・フィーの実態だ。

 ではなんのための料金か。それはホテルによって多少の違いはあるが、だいたい似たようなもので、一番多いパターンは、毎朝部屋に配達される新聞代、部屋に置かれているミネラルウォーター 1本か2本、フィットネスジム使用料、ビジネスセンターでのコピー機とプリンターの使用料、それに市内通話かけ放題の電話代とインターネット回線使用料などで、「これら全部を無料にしてあげるから、代わりにリゾート・フィーを徴収させてね」 というわけだ。
 どれもリゾートという言葉とは特に関係なさそうな項目ばかりで、もはや徴収のための 「こじつけ」 としか思えず、そんな姑息な発想がなんとも見苦しいが、とにかくリゾート・フィーという名称で請求される。
 はじめから宿泊料金に含めてしまえばいいものを、わざわざ名称を変え別扱いにしているばかりか、徴収のタイミングをずらすことにより意図的に予約時にこの料金の存在を意識させないようにしているなど、航空会社の燃料調整金などよりも陰湿感が漂う。
 そもそも新聞もミネラルウォーターも売店で買えば1ドルか2ドル。また、だれもが携帯電話を持ち、文字による送受信が全盛の今の時代、市内通話かけ放題など、だれもありがたいと思わない。コピー機やプリンターなど、だれが使うというのか。
 そもそも本来であれば、新聞、電話、コピー機などの費用は、利用する者が個別に負担すべきで、それを利用するしないにかかわらず全員から一律徴収とはなんとも不可解だ。

 ひどい話はそれだけではない。利用者が最も憤慨しているのは、毎日徴収されるということ。つまりリゾート・フィーは 1回の滞在に対して 1回の課金ではなく、滞在期間中は毎日課金される。3泊したら3回、4泊したら4回だ。コピー機やプリンターを、来る日も来る日も毎日使う人がいるというのか。ビジネス出張族でもまずいないだろう。
 1泊 5ドル、10ドルの話ならなんとか我慢の範囲かもしれないが、そうではないから困ったもので、遠いワシントンから見ても黙っていられないほど我慢の限界を超えたのか、記事にしてくれたのは消費者にとってありがたいことだが、残念ながらリゾート・フィーがなくなる気配はまったく無い。

リゾート・フィー  ではその料金は現在どの程度のレベルなのか。参考までに実際の予約画面を見てみよう。
 ちなみに右は、お盆休みで日本人観光客の多くがラスベガスにやって来る 8月13日に対するトレジャーアイランド・ホテルの公式サイトにおける予約画面の料金説明だ。
 Subtotal という部分がいわゆる宿泊料金で (2泊以上を予約した場合、それぞれの日の宿泊料金の合計がここに表示されるので Subtotal という言葉が使われているが、この例では 8/13 の一泊だけ)、通常 $99.95 のところ、今はセールで $54.97。そして 12%のホテル税が $6.60。
 その上にリゾート・フィーが $29.00、それに対する税が $3.48 で、最終的な合計は $94.05。
 つまりリゾート・フィーは宿泊料金の半分以上を占めている上に、それに対しても 12% の税金が加算されていることが読み取れる。
 ちなみにこのホテルの場合、リゾート・フィーの内訳は、新聞、インターネット接続、市内通話、コピー & ファックス利用(ただし10枚まで) などとなっている。

 このような価格表示は違法ではないのか。今回のワシントン・ポストの記事はまさにその部分に対する問題提起で、結論としては違法ではないようだ。
 予約サイトにおいて、消費者が最終的に予約を実行するまでの段階でリゾート・フィーのことが記載されていれば問題なし、というのが裁判所の見解らしい。「限りなく陰湿ではあるが、違法とまでは言い切れない」 といったところか。

 ではなぜ名の通った一流ホテルがこんな見苦しいことをやっているのか。見かけの宿泊料金を安く見せたい気持ちはわかるが、ライバルホテルも同じことをやっているのであれば、効果は薄いようにも思える。
 実は、リゾート・フィーをやめられない理由は、ライバルホテルと料金比較が容易なエクスペディアなどの予約サイトにあるといわれている。そのサイト内で予約時に課金されるのは 「宿泊料金と税金」 だけとなっているので、宿泊料金を低く設定することにより、利用者が価格の安い順でソートした場合、ライバルホテルよりも上位に表示させることができるというわけだ。
 たとえば、利用者にとってのトータルの料金負担が同じ $100 の場合、「宿泊料金 $90、リゾート・フィー $10」 に設定しているAホテルよりも、「$80、$20」 に設定している Bホテルのほうが上位に表示される。それに気づいた Aホテルは 「$70、$30」 に設定し直したくなるし、場合によってはCホテルが 「$60、$40」 で市場参入してくる。結局こうしてリゾート・フィーの値上げ合戦が始まる。
 リゾート・フィーが予約サイト内で徴収されずに、ホテルに到着してから徴収されるようになっている理由もそこにある。なぜなら、もし予約サイト内で徴収されるようにすると、エクスペディアなどが徴収しなければならず、その場合は道義的に合計金額でソートしないわけにはいかなくなってしまうからだ。

 このようなリゾート・フィーの習慣がいかに馬鹿げているか。グルメサイトとレストランに例えてみるとわかりやすい。
 料理そのものの代金以外に、エアコン代、割りばし代、紙ナプキン代を合わせて 「店内使用料」と称する項目を設けて、1000円で売りたいランチ定食を、A店は 「ランチ定食 900円、店内使用料 100円」、B店は 「800円、200円」、C店は 「700円、300円」 のように料金設定したら、「ぐるなび」 や 「食べログ」 などでは C店が 「安い店」 として紹介されやすくなり、店内使用料の値上げ合戦が始まるというわけだ。

リゾート・フィー  こんな理不尽な料金体系に対しては、さすがにホテル側も罪の意識を感じたのか、シーザーズ系列のホテル (シーザーズパレス、パリス、バリーズ、フラミンゴ、プラネットハリウッドなど)、は思い切ってリゾート・フィーを全廃にしたことがある。そしてリゾート・フィー導入反対の急先鋒となり、導入しているホテルを徹底的に批判する比較広告を出したりもした。(右上の写真は 2012年当時のシーザーズパレスのサイトにおける反リゾート・フィーのキャンペーン画面。右下は同ホテルのフェイスブック画面)
リゾート・フィー  ウィンラスベガスとその別館であるアンコールもそれに続き、新しく完成したばかりのコスモポリタンもリゾート・フィーに反対の立場を取った。
 ところが今はどうか。それらすべてのホテルが手のひらを返すように導入している。ストリップ地区において一般の日本人観光客が泊まるような主要カジノホテルでリゾート・フィーを導入していないホテルはもはや皆無だ。(ヒルトン・グランド・バケーションズなどのタイムシェア型の施設では導入していないところもある)
 カッコ悪いこととわかっていても、「みんなでやれば恐くない」といったところか。そして、正直な価格表示をすると 「正直者が損をする」 という状況なので、やめたくてもやめられない、ということなのだろう。

 そんなリゾート・フィー、現在の相場はどうなっているのか。以下が最新の数値だ。どこもすごい値上であることがわかる。一番値上げ幅が少ないシーザーズパレスでも 16% の値上げ、ヴィダラ、アリア、エクスカリバーなどはほぼ 100%、MGMは 200%、SLSに至っては 300% 以上の値上げだ。
 開いた口が塞がらないが、この先もまだ上がるかもしれない。とにかく予約の際の参考にしていただければ幸いだ。
 (なお、これらリゾート・フィーは、個人で予約手配する場合の話で、旅行代理店などのパッケージ旅行で宿泊する場合はそのツアー代金に含まれているはずなので気にする必要はない)

各ホテルのリゾート・フィー (税別、黒太字が現在、が2013年、が 2010年)
 ストラトスフィア $7.50$18.00  SLS (旧サハラ) $6.00$28.00
 サーカスサーカス $6.00$16.80  ウェストゲート $22.00
 トランプ $29.00  アンコール $20.00$29.00
 トレジャーアイランド $20.00$29.00  ウィン $20.00$29.00
 ミラージュ $15.00$29.00  パラッツォ $17.00$29.00
 シーザーズパレス $25.00$29.00  ベネチアン $17.00$29.00
 ノブ $25.00$29.00  ハラーズ $18.00$28.00
 パームス $25.00  リンク (旧クワァド) $10.00$28.00
 リオ $18.00$28.00  フラミンゴ $18.00$28.00
 ベラージオ $29.00  クロムウェル $29.00
 コスモポリタン $30.00  バリーズ $15.00$28.00
 ヴィダラ $15.00$29.00  パリス $20.00$29.00
 アリア $14.50$28.00  プラネットハリウッド $20.00$29.00
 モンテカルロ $28.00  ハードロック $25.00
 ホテル 32 $29.00  ポロタワー $20.00
 ニューヨーク NY $12.95$28.00  シグネチャー at MGM $29.00
 エクスカリバー $9.95$20.00  MGMグランド $10.00$29.00
 ルクソール $12.95$28.00  トロピカーナ $7.99$25.00
 マンダレイベイ $15.00$29.00  フーターズ $15.95


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