週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2015年 2月 18日号
開業 60周年のリビエラ、観光局によって爆破解体か
 今年で60周年を迎える 1955年開業のカジノホテル 「リビエラ」。先週から爆破解体の噂が流れ始めているが、今週になって話がさらに一歩前進し、その噂が現実味を帯びてきたのでその話題を取り上げてみたい。

リビエラホテル  リビエラ (写真右、クリックで拡大表示)は、かつてラスベガスで一、二を争う大型高級カジノホテルとして北ストリップ地区に君臨していたが、1990年ごろから始まった巨大テーマホテルの建設ラッシュ以降、その存在感を次第に失い、今ではすっかり忘れ去られた二流ホテルに成り下がっている。
 シーザーズパレス、フラミンゴ、バリーズなどの同世代の古豪ホテルがまだまだ健在であることを考えると、リビエラ自体の経営戦略に問題があったことは否めないが、周囲の環境の変化という不運に見舞われたのも事実で、気の毒といえないこともない。
 というのも、リビエラが存在する北ストリップ地区は、かつてフロンティア、スターダスト、サハラなど一世を風靡したカジノホテルで賑わっていたが、フロンティアとスターダストは 2007年に爆破解体、サハラは経営難で 2011年に閉鎖されやっと昨年になって別の名前で復活開業したもののあまりパッとせず低迷中、さらにリーマンショック直前にリビエラのすぐ隣りの空き地で建設が始まった期待の超大型ホテル・フォンテンブローは資金難により建設の途中で計画が頓挫、現場は 5年以上も雨ざらし状態になっている。
 結局、リビエラの周囲はサーカスサーカス・ホテル以外に目立つ大型施設がなく、結果的に人通りが非常に少なく、注目度の低下とともに存在感を失ってしまった。(右下の写真は、夕暮れ時の混雑する時間帯であるにもかかわらず人通りが少ないリビエラのカジノの入口付近の様子)

リビエラホテル  そんな状況にあったため、近年は身売りの話や閉鎖の噂が絶えなかったわけだが、先週になって突然、「ラスベガス観光局がリビエラを買い取り、爆破解体のあとコンベンション施設を建設か」 とのニュースが地元メディアから流れてきた。
 その後の数日間、観光局は肯定も否定もしないまま沈黙を守り続けていたが、今週の火曜日、「リビエラを 1億8250万ドルで買い取ることに対する承認を得るための取締役会を 2月20日に開く」 と発表。
 日本円にして約220億円のこの買い取り計画に対する地元メディアや業界関係者の反応は、買い取り案は承認されリビエラは8月ごろまで営業を続けたのち爆破解体されることになるだろう、との見方が支配的だ。

 その一方で、リビエラの身売りや爆破解体そのものはやむを得ないとしても、買い手が観光局であることを問題視する意見も少なくない。税金で運営されている公共機関だからだ。各ホテルは、規模こそ異なるものの、それなりのコンベンション施設を持っているため、公共機関による民業圧迫が懸念されているのである。
 ラスベガス観光局はその正式名称 Las Vegas Convention and Visitors Authority (通称 LVCVA) からもわかる通り、観光客の誘致活動のみならず、既存のラスベガス・コンベンションセンターの所有および管理、運営も重要な業務としている。
 このコンベンションセンターはすでに全米屈指の規模を誇る立派な施設で、何十年も前から数多くの世界的な見本市の会場となってきたわけだが、観光局はこの施設をさらに拡大させる方向で新たなプロジェクト "Global Business District" を昨年発表。今回のリビエラの買い取りはその計画の一連の流れと見られている。たしかにリビエラの場所は現在のコンベンションセンターに近いため、現存施設の拡大には好都合の立地条件であることはまちがいない。(右下の写真は、ラスベガス最大のコンベンションとされる国際家電見本市 CES の際のコンベンションセンター前の様子、2015年1月撮影)

ラスベガス・コンベンションセンター  ちなみに LVCVA の運営予算の大部分は、一般の観光客がホテルに宿泊する際に課せられているホテル税からまかなわれており、その税率はストリップ地区のホテルで宿泊料の 12%、ダウンタウンおよび他の地区では 12〜13%。
 世界中のいかなる都市の観光局よりも予算規模が大きいとされており、ホテル税から配分される 2014年度の収入は 2億2500万ドル、日本円換算で約270億円だ。
 さらに LVCVA はボンド(一般企業でいうところの社債のようなもの) も発行しており、その残高は約6億ドル(720億円)。とてつもない巨額の予算で運営されていることがわかる。
 余談になるが、そのボンドの評価がすごい。LVCVA が公開している資料によると、格付機関であるスタンダード&プアーズおよびムーディーズの評価はそれぞれ AA と Aa1 というから恐れ入る。ホテル税による収入という支払い裏付けがあるにせよ、従業員数百人規模の一都市の観光局のボンドが、数万人規模の超一流大企業並みの評価を受けているというのは驚きに値するのではないか。

サンズエキスポ  それほどの予算で運営されているからには一生懸命にきちんと仕事をしてもらわないことには困るし、オンブズマン的な組織も黙っていないだろうが、あまり積極的に仕事をしてほしくないというのが、各ホテル側の本音だ。(右の写真はパラッツォ・ホテルに隣接するサンズエキスポ・コンベンションセンター、LVCVA の施設ではない)
 ラスベガスでは毎日のように大小さまざまなコンベンションが開催されており、各ホテルとしては可能な限り自社の施設で開催されるようコンベンションの主催者に対して日々企業努力をしているわけで、すべてのコンベンションが LVCVA の施設で行われるようなことになってしまっては困る。
 特に巨大コンベンション施設を持つパラッツォ・ホテルやマンダレイベイ・ホテルとしては、LVCVA の積極的な活動は大いに気になるところで、今後開かれるであろう公聴会などにおいて、何らかの注文を付けてくる可能性が高い。自分たちのホテルの宿泊者から徴収した税金で運営されていることを考えると、ひとこと文句も言いたくなるのは当然だろう。

リビエラホテル  というわけで、今回のリビエラ買収計画に対して各ホテルから反対意見などが出されることは十分ありえるわけだが、その一方で、LVCVA の積極的な活動により、新たな大型コンベンションがベガスに誘致されれば、各ホテルにとっては宿泊客やカジノ収益の増加が期待できるのも事実で、LVCVA の Global Business District 計画などに対して全面的に反対という立場は取りにくい。
 ちなみに LVCVA は、リビエラ買収後の跡地の利用に関して、コンベンションセンターの増設的な用途だけではなく、バス基地など公共交通機関のための有効利用も考えているとのことで、そうであるならば民業圧迫にはならずベガス全体のためになる可能性があり、ホテル側も態度を決めかねているにちがいない。
 20日の会議で承認されたとしても、今後どのような方向に話が進むか予断を許さないが、いずれにしても、これからリビエラに宿泊予約を入れる際には十分な注意が必要だ。1、2ヶ月以内に閉鎖されるようなことは考えにくいが、数ヶ月先の予約は避けたほうがよいだろう。



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