週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2014年 12月 10日号
リビエラで復活したダーク・アーサー、良心価格で超おすすめ
ダークアーサー, Dirk Arthur  先週、あのダーク・アーサーがリビエラ・ホテルで復活を果たし、今後、金曜日を除く毎日 7:00pm、同ホテルの伝統のスターライト・シアター にて常駐公演を続けることが決まった。前会場オーシェーズカジノでの公演を打ち切ってから約2年ぶりの復活ということになる。(右の写真内の赤いジャケットを着ているのがダーク・アーサー)

 「あの」と言っても、古くからベガスを知る人以外にはなじみがないかもしれない。ダーク・アーサーとは、ジークフリート&ロイ、リック・トーマスと並ぶ、トラのイリュージョンをベガスに持ち込んだ人気マジシャンだ。
 ちなみにジークフリート&ロイは不幸にも公演中にマジシャン自身がトラに噛まれ重傷を負うという前代未聞のアクシデントで打ち切られ (週刊ラスベガスニュースのバックナンバー第350号に関連記事あり)、またリック・トーマスはここ数年ミズーリ州などベガス以外の地方都市での巡業公演に注力しているため今のところ当地に戻ってくる予定はない。したがってトラを使ったマジックは、現在ベガスではダーク・アーサーだけで、先週まではひとつもなかったことになる。

ダークアーサー, Dirk Arthur  さまざまなジャンルのマジックの中でもトラを使ったショーは花形だ。トラ自体、ライオンとちがって絶滅危惧種として取引が厳しく制限され非常に高価な動物であるばかりか、ハトやサルなどと比べるとエサ代はもちろんのこと管理においても異次元の費用がかかり、そんじょそこらのマジシャンでは手に負えない。
 経済的にも技術的にもハードルが高いため、かなり有名なマジシャンでもトラに手を出すことはなく、それゆえトラを使ったショーを演じることはマジック界でのステータスとされている。

ダークアーサー, Dirk Arthur  ただ、花形やステータスといった言葉を具現化できたのはジークフリート&ロイだけで、ダーク・アーサーやリック・トーマスは苦労が絶えない。同業のマジシャンから尊敬されるジャンルを演じることと、興行的な成功を収めることは別のようで、二人とも決して華やかとはいえない二流ホテルの古びた劇場を転々としてきたのが現実だ。
 トラに経費がかかりすぎ、会場施設や演出などにあまり資金をつぎ込めないことが原因なのか。いやそうでもないかもしれない。なぜなら、高額のチケットを大量にさばける勝算があれば、高級ホテルがいくらでも豪華な劇場を提供してくれるからだ。ホテル王と言われるスティーブ・ウィンから声をかけられたジークフリート&ロイはまさにその典型例だ。
 そのように考えると、ダーク・アーサーやリック・トーマスは実力不足ということになりそうだが、個々のマジックを見ている限り、やっていること自体はジークフリート&ロイと大差ないので、自分を売り込むマーケティングがヘタなのか、もしくは出会いの運に恵まれないだけなのかもしれない。

ダークアーサー, Dirk Arthur  さてそんな境遇に置かれてきたダーク・アーサーの今回の再デビュー、2年という充電期間があったわけだが、はたしてどんな進化を成し遂げたのか。
 結論を端的に言うならば、非常にすばらしいマジックを演じているものの、いかんせん会場や場所が悪すぎということになる。
 会場は伝統のシアターではあるが、「伝統」 という言葉は 「老朽化」 や 「時代遅れ」 と紙一重で、事実そのシアターは規模も内容も今のベガスの本流から完全に離れた存在となっている。イスを250席ほど並べただけの質素なもので (ブース席も多少あるが)、ラスベガスらしい華やかさはほとんど感じられない。
 リビエラ・ホテル自体がすでに賞味期限切れといった感じで、また立地場所もホテル街の中心地から遠いため、周辺における人の往来は極端に少ない。(右上の写真は夕方の時間帯に撮影。人通りが少ないことがわかる)
 そのようなわけで、せっかくすばらしい内容のショーを演じているものの、集客において苦労することは目に見えており、今後いつまで公演を継続できるのか非常に不安だ。短期間での打ち切りもあり得るかもしれない。

ダークアーサー, Dirk Arthur  ショーの内容に簡単に触れておくと、トラにこだわることなくバランスよく仕上がっており高いレベルにある。ちなみに登場する動物はトラ以外にもホワイトタイガー、ヒョウ、黒ヒョウ、アヒル、ハト、ニワトリと多彩だ。それら動物を驚くほど素速く一瞬にして消したり出したりするのが彼の真骨頂で、タネはなかなか見破れない。
 過去に観たことがあるマジックも散見されるが、多くの出し物は新しい。新聞紙や紙幣など、動物を使わないマジックも披露され、観ている者を飽きさせない構成もいい。老若男女だれもが楽しめる万人向けのショーといってよいだろう。

ダークアーサー, Dirk Arthur  気になるチケット料金だが、会場や立地環境のレベルに合わせているのか、高い設定だと集客できないからか、非常に良心的な価格設定だ。定価は $40 だが (4-5人が座れる半円形の高いブース席もあるが、どの席からもステージは近いので、ブース席である必要はまったくない)、Tix 4 Tonight で買えば税や手数料などすべて込みで今なら $23 で買える。(Tix での料金は常に変わる可能性がある。Tix に関するくわしい情報はバックナンバー 912号に掲載)
 $100 以上が当たり前のシルク・ドゥ・ソレイユなどと比べると圧倒的に安く、なおかつ内容が良いだけに、コストパフォーマンスはラスベガスでナンバーワンといってよいのではないか。マジックファンならずとも絶対に観ておいて損はないだろう。
 公演は前述のとおり金曜日を除く毎日 7:00pm。会場の場所はリビエラホテルの円筒形に見える建物内の3階。会場から一番近い Tix 4 Tonight は、同ホテルの目の前にある「Slots A Fun 店」 だが、そこの窓口の営業時間は短いので (10:00am 〜 5:00pm)、もし閉まっていた場合は 「Circus Circus 店」(10:00am 〜 7:00pm) がその次に近い。



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