週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2014年 03月 19日号
「ベガス・ノクターン」、午後10時の部はもっとすごかった!
ダブルバーレル  3週間前のこのコーナーで、おとなの悪ふざけ的な新作ショー 「ベガス・ノクターン」(8時の部) を取り上げたところ、読者から、「10時の部はもっとすごい。ぜひもう一度記事にすべき」 とのメールを頂いた。再取材したところ、たしかにすごかった。
 ということで今週は追加レポートとして、ベガス・ノクターンの第2弾 「10時の部」 をお届けしてみたい。(このショー自体の公演場所や料金などの一般情報、および午後8時の部の内容に関しては、3週間前のバックナンバー892号に掲載してあるので、ここでは省略)

 まず最初に、このショーは、8時の部も含めて極めて特殊であり一般的ではないので、初めてラスベガスを訪問する者にはあまりおすすめできない。ゴージャスさも華やかさもほとんどなく、観てもガッカリする可能性が高い。したがってシルクドゥソレイユなどの一般的なナイトショーに飽きてしまったリピーター向けのショーと考えたほうがよいだろう。
 また、10時の部に関して今 「すごい」 と表現したが、それは 8時の部よりも完成度が高く素晴らしいといった意味ではなく、このショーのコンセプトである 「おとなの悪ふざけ」 の度合いがより過激という意味であり、もしこのショーを1回だけ観るとしたら、比較的正統派の出し物が多い 8時の部のほうが無難かもしれない。
 したがって以下の記事は、「8時の部を観て気に入った人は 10時の部もきっと楽しめるのでぜひどうぞ」 といった目的で書かれているので、くれぐれも初ベガスの人がいきなりこの10時の部を観に行ったりすることのないようお願いしたい。「こんなふざけたショーがベガスの一般的なショーなのか」 と思われても困るし、実際に 「ベガス標準」 ではないからだ。

 さて前置きが長くなってしまったが、8時の部と具体的にどこがどう異なるのか。登場人物的な部分でいえば、重複して出演している役者もいれば、10時の部にだけ出てくる役者もいる。比率的には、3分の2ぐらいが重複組といったところか。
 ならば 3分の2の内容は 8時の部とまったく同じかというと、そうではない。そこがこの劇団 Spiegelworld 社の真骨頂で、重複組の役者も全員が 8時の部とは異なる独創的なパフォーマンスを披露してくれる。
 ベガスにナイトショー数あれど、同一の日の二公演の内容をここまで変えてくる劇団はそう多くない。もちろんそこにはこの劇団の努力やポリシーもあるわけだが、会場の構造的な部分も影響しているように思える。なぜなら、現場は社交クラブ的なダイニングルームと近接しているため、長時間そこにいる人が多く、8時と10時の両方を観る客が存在しているばかりか、ダイニングルーム側からステージの一部が見えてしまうこともあり、まったく同じ内容の公演はやりにくいという事情がある。
 結果的に、8時の部と 10時の部は、似て非なるショーになっており、その 「非」 の部分の最大の要因は、既述の 「おとなの悪ふざけの度合い」 で、8時の部を 「ちょいワル」 とするならば、10時の部は 「全ワル」 といったところか。

 内容を細かく書いてしまうと観る楽しみがなくなってしまうばかりか、実際に劇団側の広報部からも 10時の部の写真は公開されておらず秘密にしておきたいようなので詳細報告は差し控えるが (冒頭部分の写真は、ステージではなくダイニングルームでの余興)、このショーの見どころは、やはりおとなのブラックジョーク的なバカバカしさをとことん追求しているところだろう。
 たとえば、巨大ルーレットの球が止まった場所の色と同じ色の下着が出てくるまで衣服を脱いでいくとか、コカインと思われる麻薬を吸うシーン、さらには本物の生きた犬(チワワ) を大砲に見立てた道具に入れて殺してしまう(もちろん実際には死んでいない) など、かなりきわどいアブナイ演目を次から次へと披露してくれる。
 活躍するのは役者だけではない。司会者も天井から逆さ吊りで登場したりするなど驚きの連続だ。その司会者、頭に血が上って意識を失ってしまうのではないかと心配になってしまうほど、かなりの時間、表情を変えずに逆さまのままで自分の仕事をこなす。
 極めつけは女性ダンサーによるセクシーなマジックだろう。マジック自体は超単純で、やることは一つだけだが、そんなことはどうでもいい。演出がいかにもこのショーらくしく、ナンバーワンの出し物といってもよいほどの熱演だ。衣服のさまざまな場所に隠しておいた赤いハンカチを1枚ずつ取り出し、そのハンカチを手の中で消してしまう。消すと同時にその衣服を脱ぎ捨て、また次の新たなハンカチを取り出す。あとはそれを繰り返すだけ。結局、最後はブラジャーと肌の間に隠しておいたハンカチを取り出し、それを消してまた脱ぎ捨て最終的にはトップレスになる。それで終わりかと思いきや、そうではないところがこのショーのすごいところで、今度こそこれで本当に最後と思われるハンカチをパンティーの中から取り出し、そして消す。が、なんと、それも最後ではなかった。パンティーも脱ぎ捨てボトムレスに。もはやハンカチを隠す場所などどこにもないので、だれもがこれで終わりだろうと緊張が緩み始めたところで、なんと、またハンカチを取り出そうと、もがき始める。観客は呆然と静まり返り、その視線は一点に。そしてついに最後の最後のハンカチを静かに取り出すことになるわけだが、それをどこから取り出すのかは見てからのお楽しみ…。(はたして想像している場所で正しいのかどうか。正解を知りたい人はぜひ現場に足を運んでいただきたい)

 さようにちょいワル、いや全ワルになっているこのショー、エンディングではさらにそれがエスカレートし、悪ふざけのムードが最高潮に達したところで、最終的にはカオス状態の乱痴気シーンで幕となる。
 その詳細はあえて書かないことにするが、ブルーマンのショーにおけるエンディングシーンとどこか似ている雰囲気がしないでもない。ただこちらは 「密室でのおとなの悪ふざけ。ここだけの秘密」 といったムードが狭い場内に充満しており、そのなんともいえない怪しげな一体感が楽しい。それでも万人受けするものではないことはたしかなので、バカバカしいことを単純に楽しめない者は注意が必要だ。

 さて気になることがある。それは採算性。このショーでは役者以外にも生バンドのメンバー、照明、小道具など、規模のわりにかなり多くのスタッフが働いている。その上、その乱痴気エンディングのあとの片づけ作業 (これがかなり大変) のための清掃スタッフや消耗品など、かなりの経費がかかっており、わずか 200席程度のチケット販売では採算が取れないと思われる。つまり現状のままでは公演の長期継続はむずかしいと考えるのが普通で、実際に、地元業界関係者の間でも短期打ち切りを危惧する声は少なくない。
 さらに、当地のアダルト業界には、ボトムレスのショーを演じる場所ではアルコール類を提供してはならない、という規則があるため、既存のアダルト系クラブの事業主などから物言いがつくのではないかとの指摘もある。
 一方、「あれはボトムレスのように見えるが、実際は小さな "前貼り" をしているはずなので問題なし」 との声もあるが、実態は定かではない。
 いずれにせよ、極めて独創的で楽しいショーではあるが、短期間で終了してしまう可能性も十分にあるので (もしくは、ボトムレスの部分などが変更になってしまう可能性あり)、興味がある者はなるべく早く観ておいたほうがよいだろう。(会場の場所やチケット料金などに関してはバックナンバー 892号に掲載)



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