週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2014年 02月 26日号
オトナの隠れ家でオトナの悪ふざけ 「ベガス・ノクターン」
Rose.Rabbit.Lie., Vegas Nocturne, ベガスノクターン  コスモポリタンホテル内にある不思議な複合施設 「ROSE.RABBIT.LIE」 で、いかにもラスベガスらしく、なおかつ、いかにもこのホテルらしい成人専用のナイトショー 「Vegas Nocturne」(ベガス・ノクターン) が今月から正式に始まったので (部分的な仮オープンは昨年末) 紹介してみたい。
(右の写真は、ステージ以外の場所、たとえばバーやダイニングルームなどで突発的に始まる寸劇風のパフォーマンス。クリックで拡大)

Rose.Rabbit.Lie., Vegas Nocturne, ベガスノクターン  まずはこの施設について。名前も珍妙だが、実際の現場も正体不明で、通常のレストランやダイニングルームでもなければ酒場でもなく、よくあるナイトクラブでもなければ社交クラブでもない。
 ナイトショーが行われているのでシアターかと思いきや、通常のショー会場のような大きなステージがあるわけでもない。
 しかしそれらの要素のすべて、つまりレストラン、酒場、クラブ、社交場、シアターとして実際にきちんと機能しているから不思議だ。

Rose.Rabbit.Lie., Vegas Nocturne, ベガスノクターン  不思議なことはまだある。入り口に看板のようなものがまったくなく、存在自体がわかりにくいばかりか、うまく現場にたどり着くことができたとしても、一番手前の無印ドアのあとに続くドアがたくさんありすぎて、案内人がいない場合は、どれを開けて中に入ればよいのかわからない。
 内部もまるで迷路のようになっており、秘密の部屋もあったりするなど、わざと人を惑わすような構造になっている。いや、惑わすというよりも、遊び心の具現といったほうがよいかもしれない。
 なにやらますますわかりにくくなってしまったが、現場の実態をあえて簡潔に表現するならば、「食事や酒を楽しみながらゆっくり歓談できる社交クラブ的なオトナの空間に簡易ステージが併設された施設」 といった感じになる。
 ちなみに宣伝文句などによると、この施設のコンセプトは、レトロな要素を残したまま、まったく新しい発想のもとでクリエイトされたアダルト向け unconventional playground とのこと。これを実態に即して意訳するならば、さしずめ 「悪ふざけのための型破りなオトナの隠れ家」 といったところか。

Rose.Rabbit.Lie., Vegas Nocturne, ベガスノクターン  冒頭で 「ベガスらしい、このホテルらしい」 と書いたが、ラスベガス観光局が世界に向けて発信しているこの街のスローガンは、アメリカでは知らない人がいないほど有名な 「What happens in Vegas, stay in Vegas」。
 直訳だと 「ラスベガスで起こることはラスベガスに残る」 になるが、実際のニュアンスは 「ラスベガスであなたがやったことはラスベガスの外に出ることはない。人にいう必要もなければバレることもないので、少々ハメを外しても大丈夫。すべての思い出はラスベガスに残しておけばいい」 といった感じのかなりアブナイ意味合いだ。
 一方、このコスモポリタンホテルが掲げているスローガンは 「Just the right amount of wrong」。これも直訳では意味が通じないが、そこに隠されたニュアンスは、「せっかくラスベガスに来たのなら少々悪いこともしてみよう。犯罪にならない程度のギリギリのところまでならば大丈夫」 といった過激なもので、さすがにこれは世間から批難を浴び、最近はあまり使われなくなってきているが、今でもこのホテルが、いわゆる 「ちょいワル系」 のアッパーミドルのヤングアダルトにねらいを定めてマーケティングしていることは周知の事実だ。街が街ならホテルもホテル、エンターテインメント・シティーの面目躍如といったところか。

Rose.Rabbit.Lie., Vegas Nocturne, ベガスノクターン  そんなこのホテルのオトナの隠れ家で始まったナイトショー 「Vegas Nocturne」 をクリエイトしたのは、数年前からシーザーズパレスで行われている 「Absinthe」(この週刊ラスベガスニュースの748号に掲載) と同じ Spiegelworld 社。アダルト向けのエンターテインメントを手がける興行会社だ。
 ちなみに 「Absinthe」(アブサン)とは、超高アルコール度の薬草系リキュールで、かつてヨーロッパでは中毒者が続出するほど社会問題となった禁断の酒。一方の 「Vegas Nocturne」 はベガスの夜想曲もしくは夜景画。
 なにやらどちらもいかにも Spiegelworld 社らしいネーミングだが、誤解のないようにあえて補足しておくと、どちらのショーも裸体をウリにしたようなショーではない。あくまでもオトナ向けのブラックジョークや悪ふざけなどを中心とした健全なショーで、コンセプトや雰囲気がアダルトというだけだ。そういう意味では、シルク・ドゥ・ソレイユの 「ズーマニティ」 と近いものがあるかもしれない。

Rose.Rabbit.Lie., Vegas Nocturne, ベガスノクターン  内容を見る限り、ショー自体のカテゴリーとしては 「バラエティー・ショー」 といってよいだろう。歌、ダンス、アクロバット、綱渡り、マジック、コントなど、どれも洗練された面白いものばかりだ。
 またステージのサイズこそ非常に小さいものの、このショーは細かいところで手を抜いていないところがすばらしい。音楽はすべて生バンドで、歌も口パクなどではなく実際に歌っている。さらに狭いながらもステージは複雑に動き、照明も音響も本格的だ。
Rose.Rabbit.Lie., Vegas Nocturne, ベガスノクターン  そして一番の驚きというか特徴は、ステージの裏側も見せてしまっているということ。世界広しといえども、そのようなショーが他にあるだろうか。
 つまり、幕が上がって役者がステージに出てくる直前の準備中の状態を、客席の反対側にいる観客は見ることができる。
 「客席の反対側にいる観客」 とはなにか。それはダイニングルームで食事をしている人たちのことだ。ようするに幕を挟んで手前側が劇場の客席、裏側がレストランと考えればよい。本来ならば見せるべきではない準備中の役者の姿をおもしろおかしく見せてしまうというその奇抜な発想こそ、このショーの真骨頂といってよいだろう。

Rose.Rabbit.Lie., Vegas Nocturne, ベガスノクターン  さまざまな出し物があるが、それを全部ここに書き出してしてしまうと観るときの楽しみが減ってしまうので一部だけ紹介すると、テニスラケットをくぐり抜けるというコミカルな軟体人間 (写真右。自分で自分に紙吹雪をまく) が滑稽でおもしろい。苦労して頭部や肩を通過し、あとは簡単かと思いきや、下半身の 「突起物」 にラケットが当たってしまい身動きが取れなくなる。
 その他では綱渡りなどが記憶に残るが、なんといっても場内を爆笑させてくれるのが、マッチョでセクシーな役者がバスタブの上で演じる空中アクロバット(写真右下) で、これぞまさしく 「おとなの悪ふざけ」 といえる名演技だ。
Rose.Rabbit.Lie., Vegas Nocturne, ベガスノクターン  華麗な技を披露している最中に、とつぜん水がたっぷり入った浴槽の中に勢いよく落ち、わざと水しぶきを周囲の観客に撒き散らかす。
 会場は狭く、至近距離にドレスアップした女性客などがたくさんいるわけだが、そんなことはお構いなしだ。(ちなみにこの施設への入場におけるドレスコードは、「それなりの服装」 が奨励されている)
 あわててスタッフが防水シートのようなものを最前列付近の人に貸してくれるが、そんなものでは水しぶきを完全に防ぐことはできない。役者は奥の列にも届けとばかりに、さらにびしょ濡れになったタオルを空中でわざと激しく振り回す。すべてポーカーフェースでやるからなおさらおもしろい。挙句の果てに口に含んだ水までも撒き散らかし、場内は笑いと興奮の渦に。(右下の写真は、浴槽の水を口に含み観客に向かって吹き出しているシーン。手前は、両手で防水シートを持ち防水に懸命な観客たち)
 ということで、濡れることを笑って過ごせない人はステージ近くの席に座らないほうがよいだろう。ちなみに座席は指定席のようで指定席ではないエスコート制のような感じで、案内係に希望を申し出れば、ある程度の範囲で選択肢はありそうだ。

Rose.Rabbit.Lie., Vegas Nocturne, ベガスノクターン  公演は、木曜日から日曜日までの週4日で、公演時刻は 20:00、22:00、24:00 の毎晩3回。
 チケット料金は、20:00 の部と 22:00 の部が、最前列付近 $135、後部席 $115。24:00 の部は内容が簡素で時間も短いため全席 $27。
 それぞれそれらの料金に 10% のライブエンターテイメント税が加算され、さらに 20:00 の部と 22:00 の部のチケットには $7.50 の販売手数料も発生する。
 現場でもオンライン (roserabbitlie.com) でも買うことが可能。ちなみに会場が狭いので、後部席でも何ら問題ないばかりか、むしろ少し高い段になっている一番うしろの席のほうが、前の人の頭がじゃまにならず見やすい。
 会場への行き方は、コスモポリタンホテルの食べ放題バフェィ 「Wicked Spoon」 を目指すとわかりやすい。その入口付近で周囲を慎重に見回すと、小さいながらも会場の名称 「ROSE.RABBIT.LIE」 の表示が見えるてくるはずだ。21歳未満の入場は不可。



バックナンバーリストへもどる