週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2014年 02月 05日号
「出来たて新鮮 & 新種」 が自慢の工場併設型 地ビールパブ
地ビールパブ Banger Brewing  このたびダウンタウン地区に、工場併設型の地ビールパブがオープンした。(右の写真はその店の入口付近の様子。クリックで拡大)
 「真冬にビールの話なんて…」 と言うなかれ。ビール党にとっては季節など関係ない。夏でも冬でも美味しいビールが飲めれば幸せな気分になれるというもの。実際にここのビールはうまい。
 味ばかりかロケーションも良く、電飾アーケード街 「フリーモント・エクスペリエンス」 を見に行ったついでに徒歩で立ち寄れる場所にある。
 ということで、さっそく取材してみたわけだが、話を進める前に、あらかじめ伝えておかなければならない重要なことがある。それは、食べ物がないということ。唯一あるのは数種類の特製ポップコーンだけ。ピーナッツやポテトチップス程度の乾き物すらない。
 アメリカの酒場では珍しいことではないが、やはり口寂しいことだけはたしかなので、「ポップコーンだけでは飲めない」 という人は、この先を読む必要はないかもしれない。

地ビールパブ Banger Brewing  店の名前は Banger Brewing。開業のいきさつが面白いというか興味深い。
 ストリップ地区の高級ホテル 「ベラージオ」 内のレストランで働いていた仲良し5人組が、日々の仕事の中でビールの素晴らしさに目覚め、「いつかはラスベガスにも地ビールパブを」 を合言葉に実現したのがこの店だ。みんなで世界中を旅しながら、さまざまなビールを試飲し、原料や製造方法を徹底的に勉強したというから、その情熱はすごい。(右上の写真は、その5人の共同オーナーのうちの一人 Nick Fischella 氏)

地ビールパブ Banger Brewing  小資本で始めたばかりの現在は、まだ流通経路を確保していないため、大きな工場で大量生産するわけにはいかない。したがって製造したビールの販売や消費はすべてこのパブに頼るしかなく、工場もこの店の中だ。
 結果的に、造った場所で消費するという究極の 「地産地消」 を実現しており、出来立てが命の地ビールにとっては理想の形態となっている。(右上の写真の中央奥の明るい部分が工場施設、手前がパブのテーブル席、右下の写真はカウンター席)

地ビールパブ Banger Brewing  規模こそ小さいものの、製造可能なビールのジャンルは多岐に渡っており、色も香りもアルコール度も異る豊富な種類が自慢だ。
 とは言っても、それは製造可能なレシピの数であって、その日に提供できるビールの数の上限は8種類程度まで。
 なぜなら、あくまでも新鮮さにこだわっており、たくさんの種類のビールをあらかじめ造り置きして長期間提供することは、この店の哲学に反するからだ。つまり出来上がったビールはできるだけ早く消費し、消費し終わったら、また次の種類の製造に取りかかる。工場施設が小規模なため、平行して製造できるのは、せいぜい数種類。結果的に店頭に存在し得るのは常に8種類程度までというわけだ。

地ビールパブ Banger Brewing  売り切れたビールは、カウンター席の正面の壁に大きく掲示されたリストから消去され、代わって新たに出来上がったビールがリストに加わる。
 常連客にとって、その新種の登場は、この店に来る楽しみの一つだが、いつどのタイミングで登場するかはわからない。(公式サイトで、現在リストされているビールの種類を確認することはできるが、新種の登場の予告などは掲載されていない)
 ちなみに今回の取材時に試飲した8種類の中には、コーヒーや柑橘系、さらにはペッパー系の香りがする珍しいビールもあった。(右上の写真は、出来上がったばかりのビールの樽が並ぶ倉庫)

地ビールパブ Banger Brewing  日本からの一般の観光客がいきなりこの店に入っても、どのビールがどのような味なのかわからず困ってしまうことだろう。そんなときに役に立つのが、それぞれのビール名の右端に書かれている IBU とアルコール度だ。
 IBU とは、International Bitterness Unit (あるいは International Bittering Unit) の略で、ビールの苦味を数値化した指標のこと。この数値が大きいほど、ホップが効いた苦いビールということになり、アメリカで一般に市販されているバドワイザー、ミラー、クワーズなどは 10 前後、ヨーロッパ系の苦いものは 50以上、上限がだいたい 100前後と覚えておくと便利だ。ちなみに日本の主要ブランドのビールは 20前後とされている。
 アルコール度はおおむね 4〜8% の範囲に収まっている。(右上の写真は、後述する工場見学ツアーにおいて、ホップや麦を手にとって説明している Fischella 氏)

地ビールパブ Banger Brewing  気になる料金は、約 500ml 入りのグラス1杯、$5 〜 $7 (ビールの種類によって異なる)。
 なお、どれをオーダーすべきかわからないときは、Sampler にするとよい。これは 4種類のビールがそれぞれ 150ml 入り程度の小さなグラスに入ったセットで、値段は $7。オーダーの方法は、ボードにリストされているビールの中から好きな4銘柄を選びウエイターに指定する。(右上の写真は Sampler を2つ並べたところ)

地ビールパブ Banger Brewing  つまみは前述の通りポップコーンだけ。直径10cm 程度の特製カップに入っており (写真右)、フレーバーは、Dill Pickle、Buffalo Ranch、Parmesan Salt & Pepper、Cheddar、Chocolate の5種類、値段はどれも $4。
 今なら開店キャンペーンということで、Sampler と一緒にオーダーすると、合計 $11 のところが $10 に割引される。
 ちなみに、なぜポップコーンしか置いていないのか質問したところ、「ビールの製造と販売に専念したいから」 とのこと。それも事実と思われるが、調理するスペースがないというのが本当の理由かもしれない。

地ビールパブ Banger Brewing  なお、この店では無料で工場見学ツアーも催行している。製造工程からホップなどの原材料のことまで、かなり細かく説明してもらえるので、興味がある者は、ぜひ参加してみるとよいだろう。
 ツアー開始時刻は毎晩 8pm、9pm、10pm の3回で、定員はそれぞれの回において6人まで。公式サイト bangerbrewing.com で予約が可能。店の営業時間は午後5時から深夜12時まで、金曜日と土曜日のみ深夜1時まで。
 最後にロケーションについてだが、ベガス・リピーターなら知る人ぞ知る悪名高き NEONOPOLIS の1階だ。フリーモント・エクスペリエンスの東端付近に位置する3階建の商業施設で、立地条件は決して悪くないものの、なぜかここに出店した店はすぐに閉鎖に追い込まれるというジンクスがあり、実際にこの施設内で1年以上生き残れたビジネスはほとんどない。現在、かろうじてファミリーレストランのデニーズが1年以上営業を続けているが、常に閑古鳥状態が続いており撤退が噂されている。この Banger Brewing にはジンクスに負けることなく頑張ってもらいたいものだ。大繁盛を祈りたい。



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