週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2013年 09月 11日号
ついに全容を現した世界最大の観覧車 High Roller
観覧車 Linq  先週、主要な骨格の組み立てが完了し、ついに世界最大となる観覧車 "High Roller" がその全容を現した。(写真右、クリックで拡大)
 場所は、ラスベガスのホテル街のほぼ中心に位置するフラミンゴ・ホテルやクアド・ホテル (旧インペリアル・パレス) の裏側で、ストリップ大通りからの距離は約370メートル。
 「ついに」 というにはそれなりの理由がある。この観覧車の完成は、業界関係者の間では長らく懐疑的に見られていたからだ。
 ラスベガスではこれまでに何度も観覧車の建設計画が浮上しては消え、一度も完成に至ったことがないばかりか、この High Roller の経営母体であるシーザーズ・エンターテインメント社が、日本円で約2兆円という借金を抱える財務体質の弱い企業のため、資金難による計画の頓挫が十分にありえると危惧されていた。

観覧車 Linq  そもそもラスベガスでは 「建設が始まってしまえば安心、必ず完成する」 という考えは通用しない。過去に数々の建造物が建設途中で打ち切られ、現在でも放置されたままの物件がいくつもある。
 右写真の高層ビル (写真中央やや右の巨大な建物) などはその典型で、ラスベガス最大級のカジノホテル & コンドミニアム 「フォンテンブロー」 になるはずだったが、完成間近で経営母体が倒産し、5年も放置されたままだ。旧スターダストホテルの跡地で建設が進められていたカジノホテル 「エシェロン」 も同様、建設開始後に工事がストップ。その後、新たなオーナーが買い取ったものの、工事再開の具体的な予定はまだ発表されていない。

観覧車 Linq  着工後の挫折はホテルばかりではない。実は観覧車にもある。High Roller とほぼ同じサイズで、同じ時期に建設が始まったライバルの Skyvue がまさにそれだ。
(右の写真が Skyvue。背景の金色に見える建物はマンダレイベイ・ホテル)
 こちらはストリップ地区最南端のマンダレイベイ・ホテルの向かい側の空き地で建設が進められていた観覧車だったが、立地条件的に High Roller に勝てない (人通りの数が少ないので) と見たのか、投資会社や銀行団が建設資金の注入を途中でやめてしまったため、昨年の夏から工事は中断。巨大な支柱2本が雨ざらしになったまま一年が経過している。

観覧車 Linq  そんな経緯があるため High Roller の完成も大いに心配されていたわけだが、もうここまでくれば、たぶん大丈夫だろう。(右写真は High Roller のハブ部分)
 シーザーズ社自身の経営状態は依然きびしい状況に置かれているものの、なぜか株価が上昇傾向にあるため、社債などの資金調達環境は改善しており、開業時期の遅れはあったとしても、資金面での計画頓挫はまずないと見てよいのではないか。ちなみに開業時期は年末から来年2月頃を予定しているようだが、28台のカプセルの取り付けなど、まだやるべき作業はたくさんあり、試運転期間なども考えると、開業は4月ごろにずれ込む可能性も十分にありそうだ。

観覧車 Linq  さてスペック的なことに話を移すと、高さは550フィート。つまり約167メートルで、これは 150メートルのシンガポール・フライヤーや、135メートルのロンドン・アイを抜き世界一となる。
 この巨大なリングに28台のカプセルが取り付けられ、それぞれに40人が乗れるというので、同時に乗れる人の総数は 1120人。これもシンガポール・フライヤー 748人(28台 x 28人)、ロンドン・アイ 800人 (32台 x 25人) を抜き世界一だ。なお一周に要する時間は約30分。これはシンガポールやロンドンとほぼ同じ。
(右上の写真: 観覧車の下に見えるのは、以前から存在しているモノレールの駅。左下の横に長く見えるものは走行中のモノレール)

観覧車 Linq  総工費は 550ミリオンドル、つまり1ドル 100円換算で 550億円。
 通常この種の数字は時間の経過とともに増えていったりするのが普通だが、高さ 550フィートに合わせた数字にこだわっているのか、着工前から現在に至るまで 550という数字に変化はない。予算と高さが同じなのは単なる偶然か。
 それはともかく、この総工費には、ストリップ大通りから観覧車までのエンターテインメント & ショッピング・プロムナード 「Linq」 も含まれている。
(右上の写真は、ストリップ大通り側から観覧車方向を見たところ。左の建物はクアド、縦に長い黒いものは電光広告塔、右はフラミンゴ、中央の観覧車まで見通せる通路がプロムナード Linq)
 Linq 内には各種レストランやショップ以外に、ボウリング場やミュージアムも入居する予定で、300メートル以上の距離を退屈せずに観覧車まで行けるようになるとのことだが、まだすべてのテナントが決まったわけではない。

 決まっていないといえば、観覧車そのものの名前 High Roller も、現時点ではあくまでも仮称で、今後変わる可能性がある。命名権を売ろうとしているとの噂があるからだ。どうせなら、日本企業に頑張って落札してもらいたいものだが、最近アメリカでの存在感が相対的に低下気味の日本企業にそこまでの元気があるかどうか。
 SONY Ferris、TOYOTA Wheel といった名前になれば、日本のメディアにも注目され、日本人観光客が増えるような気もするが、はたしてどうなることやら。
 ちなみに、命名権とはやや異なるが、数年前、ラスベガス国際空港内に設置された巨大スクリーンを落札したのは SAMSUNG だ。

 以下は、Linq 内の出店が決まっている主なテナントや施設。(ABC順)

 12 A.M. Run、 Bella Scarpa、 Brooklyn Bowl、 Chayo Cocina、 Chilli Beans Sunglasses、 F.A.M.E.、 Flour & Barley、 Ghirardelli Ice Cream and Chocolate Shop、 Goorin Bros Hat shop、 KOTO、 Off the Strip、 Polaroid Fotobar store and museum、 Rock and Roll Hall of Fame and Museum、 Ruby Blue、 Sprinkles Cupcakes and Ice Cream、 The Stomping Grape、 The Tilted Kilt Pub and Eatery、 Vanity Style Lounge、 Yard House.



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