週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2013年 05月 08日号
ANA と UA、2つ目のスーツケースは $100、サイズも制限
 エンターテインメント都市ラスベガスからのニュースといえば、楽しい話題が通り相場。しかし今週はまったく楽しくない話。
 先月末、ANA 全日空が、「6月1日から国際線エコノミークラスの乗客の無料預かり荷物は 1つまで、2つ目は 100ドル (または 9000円) を現場で徴収」 という新ルールを発表した。(今までは 1つ 23kg までの荷物を 2つまで無料で預けることができた)
 またそれと同時に、スーツケースなど荷物自体の寸法も、3辺の合計を現行の 203cm から 158cm へと制限。

 5月31日までにチケットを買えば 6月以降の搭乗でも免除されるなど、多少の補足説明は必要だが、とにかくこれは大問題で、現場ではかなりの騒動になっている。
 現場とは、旅行代理店や全日空のことではない。もちろん彼らも困っているようだが、一番頭を抱えているのは、空港で日本人観光客のチェックインをサポートする個々のガイドや添乗員たちだ。特に往路ではなく帰路、つまり成田や関空ではなくラスベガスの空港でのトラブルが懸念されている。
 帰路では、みやげなどで荷物が増え、スーツケースをアウトレットなどで追加購入する者が多いからだが、心配要素はそれだけではない。
 ラスベガスの場合、ギャンブルで現金を使い果たし、さらにクレジットカードも利用限度額いっぱいまでキャッシングなどで使ってしまう輩が多く、彼らは今までにも、「1つ 23kg まで」 というルールの重量超過料金の支払いでトラブル・メーカーとなっているというのだ。
 「そんなことは聞いていない。100ドルなんて持っていない。知らせてくれなかったあなたが悪い。ガイドさん払ってよ」 といった騒動が今から想像できるという。
 ラスベガス到着時に、注意書きを一人ひとりに手渡すなどの対策を早くも検討しているとのことだが、果たしてどうなることやら。

 悩みが絶えない現場の人たちだが、最大の被害者はもちろん 100ドル払わされる搭乗者本人。では搭乗者は何を知っておくべきなのか。それは正確なルールだろう。
 今回の改正ルールは、すべての航空会社が導入するわけではない。とりあえず現時点では、航空連合 「スターアライアンス」 に加盟している航空会社だけだ。
 世界最大の航空連合なので多くの航空会社が加盟しているが、日本からのラスベガス旅行において関係してくるのは事実上、全日空とユナイテッド航空の2社。

 先ほど 「全日空も困っている」 と書いたが、親分格のユナイテッド主導で導入されたルールということもあり本当に困っているようで、特に成田のチェックイン・カウンターのスタッフなどは、6月から毎日発生するであろうトラブルの対応策で忙しいらしい。
 それはともかく、全日空とユナイテッドは互いに乗り継ぎ便の利便性の向上や共同運行 (コードシェア便) などで極めて密接な関係を築いているため、ルールを統一することが望まれるが、すべてがまったく同じというわけではない。
 6月1日という切替日の定義が、全日空はチケット購入日、ユナイテッドは搭乗日という大きな違いがある。つまり、全日空の場合、5月にチケットを購入していれば、7月のフライトでも 「2つ目 100ドル」 のルールは適用されない。したがって、全日空利用で 6月以降の旅行がすでに決まっている者は早く買ったほうがよいということになる。
 ちなみに、成田→ロサンゼルスで全日空を利用したとしても、ロサンゼルス-ラスベガス間は全日空が飛んでいないためユナイテッドになるわけだが、帰路におけるラスベガスの空港でのチェックインはどうなるのかというと、その航空券の一連のフライトの最初の搭乗地におけるルールが適用されることになっているので、5月に全日空便を購入しておけば、帰路のユナイテッドの国内線も全日空ルール、つまり 2個目のスーツケースに 100ドル請求されることはない。
 ということで、スーツケースが2個になることが予想される者は、とにかく今月中に全日空便のチケットを購入すべきだが、成田発のユナイテッド便が全日空よりも 100ドル (往路も2個ならば 200ドル) 以上安ければ、あわてて全日空便を買う意味もなくなるので話は簡単ではない。そもそも日本航空やアメリカン航空もある。

 スターアライアンス利用という前提で話を進めると、少なくとも十数万円は使うであろうラスベガス旅行において、100ドルを節約するため買いたいモノを我慢することにどれだけの意味があるかは価値観が分かれるところだが、どうしてもスーツケースをひとつにまとめたいという場合は、23kg ルールもあることなので、個々の荷物の重量に対する感覚を通常以上に養っておくことは無駄ではないだろう。つまり、スーツケースそのものや、衣類、シューズなどのだいたいの重さを把握しておいたほうがよいということ。
 それを怠り、空港のチェックインカウンターで重量オーバーを知らされても、何かを捨てて重量を減らす作業は簡単ではない。買った物や所持品を捨てるということもさることながら、混雑した人混みの中でスーツケースを開けること自体、多くの人はためらってしまうのではないか。なんとしてでも、ホテルで荷造りをする段階で 23kg 以内におさめるようにしたいものだ。
 ちなみに日本人観光客に人気のベラージオホテルの客室内には原則として体重計がある。スーツケースを乗せにくくても、それを持ったまま体重計に乗り、あとから自分の体重を差し引けば簡単に計量できる。
 それでも重量オーバーしそうな人のためにあえて書いておくと、23kg を超えた場合の超過料金は 32キロまでが 40ドル、32キロ以上で上限の 45kg までが 200ドル。ここまでオーバーするなら、2つにしたほうが安い。

 それにしてもこの重量超過料金、腑に落ちない人も多いのではないか。それはアメリカ人に多く見られる肥満だ。100kg をゆうに超える人がごろごろいる中で、超過料金を払わされるのはどこか納得できない。
 最近この問題に真剣に取り組み始めている航空会社も出てきており、たとえばグランドキャニオンへの飛行で有名なシーニック航空は、すでに 300ポンド (約135kg) 以上の搭乗客に対して 100ドルの超過料金を課している。
 乗客の体重に対する料金体系を検討し、スーツケースは従来通り2つまで無料にするほうが、多数決では合意を得られそうだが、人権、差別といった部分で反対意見も出てきそうなので、この問題はこのへんにしておきたい。

 最後に、3辺の合計が 158cm に制限された寸法について。これは大きなダンボール箱などが主な対象で、一般の日本人が持つスーツケースとしては、かなり大き目のものでもなんとかギリギリセーフといった感じだが、気になる場合はあらかじめ測って確認しておいたほうがよいだろう。ちなみにこの制限は、全クラス、つまりファーストクラスの乗客にも適用される。
 個数にしろ寸法にしろ、今回の新ルールは、旅行業界の広範囲にさまざまな影響を与える大きな変更といえるが、この流れが、もうひとつの主要航空連合ワンワールドにどのような影響を与えるのか。利用する側としてはワンワールドが追随しないことを祈るばかりだ。



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