週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2013年 03月 27日号
観客参加型のやかましいナイトショー Recycled Percussion
Recycled Percussion  約2ヶ月ほど前から The Quad (元インペリアルパレス・ホテル) のショールームで始まった観客参加型のナイトショー 「Recycled Percussion」 を紹介してみたい。
 じつはこのショー、今回の公演が初めてではない。つい最近までトロピカーナ・ホテルでおこなわれていたが、立地条件の悪さやマーケティングのまずさなどが影響したのか、集客があまりパッとせず、短命で終わってしまったという経緯がある。したがって、現在の公演は会場を変えての再挑戦ということになるわけだが、集客はかなり改善されてきているように見受けられるので、今すぐに終演という心配はとりあえずないと考えてよいのではないか。

Recycled Percussion  「世界で最もやかましいショー」 と言っても過言ではないほど騒々しいこのショーの音源は、タイトルから想像が付くとおりパーカッション、つまり打楽器だ。
 ではどんな打楽器か。それは、ステージ側がバケツ、ハシゴ、奏者自身の肉体など、ありとあらゆる物品、そして客席側が使い古しのナベ、フライパン、およびそのフタなどで、どちらにせよ、まともな楽器は何一つない。
 客席側で使われるそれら楽器は、ドラムスティックと共に、会場の入口で入場者全員に現場スタッフから手渡される。(写真右上)
 ショーが始まると、観客はステージ上のパフォーマーらの指示などに合わせてそれら打楽器をたたくことになるわけだが、拍手もそれでおこなうので、結局いつたたいてもよいということになり、もはや会場内は統制の取れない乱痴気の場と化す。
 想像しただけでも華麗、洗練、ゴージャスといった言葉とは無縁のカオス状態の雰囲気が伝わってくるが、それがこのショーの醍醐味であり楽しみでもあるので、品位や品格といった部分を取り上げて批判的に考えるべきではないだろう。

Recycled Percussion  批判どころか、ドラマーの腕前自体は天下一品だ。やかましい観客が息を止め静まり返ってしまうほどの圧倒的なパフォーマンスは見ごたえ十分で、たたいている楽器こそ通常のものではないが、ドラマーを志している者などにとっては必見のレベルにあるといってよい。それもそのはず、実力がないとまったく通用しないアメリカNBC局の才能発掘オーディション番組 America's Got Talent の出身というからうなずける。
 また、「ただひたすらたたくだけ」という単純な動作をテーマにした構成でありながら、それなりの舞台演出が楽しめるのもこのショーの特徴で、開演直後のステージが傾いたりさかさまになってしまったりするシーンはシルク・ドゥ・ソレイユのKAを、そして自動車を分割したりする場面は同じくシルクのLOVEを、さらに奏者が自分自身をたたいて音を出す演出は日本のマッスルミュージカル、エンディングで紙テープが舞うシーンはブルーマンを彷彿させるものがあり、マネといわれてしまえばそれまでだが、限られた予算の中での工夫や苦労がうかがえ、悪い印象は受けない。

Recycled Percussion  ところでナベなど楽器以外のものを叩くというと、かつて人気を博した「Stomp」を思い出す人もいると思われるが、このショーはまったく別物と考えたい。Stomp は使用する楽器の意外性や多彩さをウリにしているのに対して、こちらはドラマーの技術の披露が中心。
 また、Stomp はパフォーマーの数が多く、基本的にはステージ側ですべてが完結する構成になっているが、こちらは実質的なパフォーマーの数はわずか4人で、観客の参加が不可欠だ。
 したがって人数規模という点からすると、緊縮型の安っぽいショーに見えてしまいがちだが、観客も参加できるという意味ではこちらもそれなりに楽しめ、規模の小ささをそれほどネガティブにとらえる必要はないだろう。

 ナベやフライパン、そして騒々しいと聞くと、若者を対象としているような印象も受けるが、必ずしもそうではないので、年齢に関係なく、幅広いゼネレーションに観ていただきたい。
 ちなみにエンディングに近い部分では、10番から1番までカウントダウン形式でビートルズ、エルビス・プレスリー、クイーン、スパイス・ガールズ、マイケル・ジャクソンなど、中高年族にも人気の往年のアーティストの曲や映像が流れる。

 現在この The Quad のカジノ周辺では大改造工事がおこなわれているが、会場は従来から存在していたシアターで、カジノフロアから長いエスカレーターを使って上層階に上がった左手側。
 公演は金曜日(休演日)を除く毎日 7:00pm 開演。チケット料金はおとな $77.79 〜 $100.79 (内わけ、$69.29 Ticket + $8.50 Fees) 〜 (同、$91.29 + $9.50)、子供 $41.79 〜 $65.79 (子供の定義は 12才以下)
 ホテル街に点在する半額チケットショップなどで安く売り出される可能性があるので、そういった場所もチェックしてみるとよいだろう。



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