週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2013年 01月 30日号
Skyvue 計画が 2転3転、それでもやはり最終的には打ち切りか
観覧車 Skyvue  現在ラスベガスでは、巨大な観覧車を建設する計画が2つ、ほぼ同時に進められている。
 ひとつはホテル街のほぼ中心地、クヮード・ホテル (旧 インペリアル・パレス) の裏地に出現予定の Linq 計画、そしてもう一つがホテル街の南端、マンダレイベイ・ホテルの向かい側の空き地であれこれもめている Skyvue 計画。今回問題となっているのは後者のほう。(右上の写真は、Skyvue 計画の完成予定イメージ。写真内左側に見える金色の縦縞の建物がマンダレイベイ。Skyvue Las Vegas 社提供)

 カジノ大手の Caesars 社が母体となっている Linq 計画内の観覧車 「ハイローラー」 の高さは約168m、デベロッパー Skyvue Las Vegas の 「スカイビュー」 は約152m。ちなみに現在世界一の高さとされる観覧車 「シンガポール・フライヤー」 は 165m、同二位の中国江西省の「南昌之星」 は 160m、同三位の 「ロンドン・アイ」 は 135m なので、両方完成すれば「ハイローラー」が世界一、「スカイビュー」 が世界四位ということになる。

観覧車 Skyvue  高さでどっちが勝った負けたの問題よりも、「この街に観覧車が2つも必要なのか」 といった根本的な議論が計画発表直後からあり、業界関係者の間では 「必要ない」 でほぼ一致している。
 しかしほぼ同時に計画を進めていたことから、両者ともに引くに引けない状態にあり、2011年、結局どちらも工事を始めてしまった。(右の写真は現在の Skyvue の建設現場、27日撮影。クリックで拡大表示)
 このまま進めれば、完成しても採算が取れず共倒れか、どちらかが倒産、という事態が予想され、早い段階でのどちらかの撤退が求められたが、意地の張り合いのような雰囲気もあり、工事はそのまま続行。しかし案の定というべきか、昨年の夏に事態が急変、Skyvue の工事が止まってしまったのである。
 発注主 Skyvue Las Vegas 社から建設業者への支払いが滞ったため、ゼネコンを始めとする現場の各企業が工事の中断を決定したというわけだ。
 ちなみにこの種の工事では、建設費の全額を一括して払い込むのではなく、工事の段階に応じて少しづつ支払うのが一般的で、支払いが途中で止まれば工事もそこで止まることになる。
 Skyvue 計画は、観覧車だけでなく、地上にショップやレストランなど商業施設も造る予定になっており、その総工費は約3億ドル (約270億円)。この程度の大型プロジェクトになると、総工費の全額を、発注主が自己資金でまかなうことはまれで、多くの場合、投資会社などからの支援を受けながら工事を進めるのが普通だ。
 今回の場合、投資会社がプロジェクトの続行に不安を感じて、追加支援を打ち切ってしまったと推測できる。

観覧車 Skyvue  昨年の夏から工事現場が半年も放置されてきたことから、関係者のだれもが 「これでやっと完全撤退だろう」 と信じて疑っていなかった今月14日、ゼネコンなど現場の各社は、未回収分の建設費の支払いを求めて裁判を起こしたことを発表。
 これで倒産必至となり万事休すかと思いきや、投資会社から現時点の債務に対する支援の確約を得たようで、発注主が未払いの建設費を払うと宣言。(右の写真は、工事が中断したまま半年間放置されている Skyvue の現場の様子。27日に撮影)
 ちなみに今回の Skyvue 計画に関わっている投資会社は、あのシアトル・マリナーズの共同オーナーの関連会社とされている。
 そのようなわけで、今度は一気に工事再開の期待が持たれ、地元メディアの報道も過熱したが、その一方で、今後の工事に必要な資金の調達に対する不安も急浮上。
 Skyvue Las Vegas 社としては、できるだけ早い時期に工事を再開したいとしているが、開業後の収益性の不安なども含めて、難題は山積しており、結局、現時点では、やはりこのまま工事は打ち切られ、完成には至らないだろう、という意見が支配的だ。
 参考までに、この Skyvue の場所は、非常に人通りの悪い立地条件にあり、気球ライド "Cloud Nine" (この週刊ラスベガスニュース 664号で紹介) が、開業後、一年も持たずして失敗した場所と同じ。
 なお、今回 Skyvue Las Vegas 社にコンタクトしてみたところ、今後の具体的な計画などに関する回答を得ることはできなかった。

観覧車 Skyvue  ということで、ラスベガスに2つの観覧車が出現する可能性は低い状況だが、Linq 計画はとりあえず順調に進んでおり、今年の末、もしくは来年の初めには世界一の巨大観覧車が出現すると考えてよいだろう。(右は Linq の工事現場。1月27日撮影)
 それにしてもラスベガスは、着工後の計画頓挫が多すぎる。サブプライムローンやリーマン・ショックなど経済環境の急変という特殊事情があったにせよ、もう少し慎重に計画を立ててもらいたいものだ。フォンテンブロー、エシェロン、セントレジス、ハーモンホテルなど、放置された工事現場や未完成の建物がやたらと目に付く現状は、決して美しいものではない。



バックナンバーリストへもどる