週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2013年 01月 16日号
遅いけど使える MGM系ホテル 4ヶ所の無料 WiFi
MGM系ホテルで無料 WiFi  先週、MGMグランドホテル (写真右) やベラージオホテルなどを運営する MGM社が、同社系列のホテル内の公共エリアにおける WiFi ネット接続を無料にすると発表。
 それを地元メディアなどが大きく報じたばかりか、同社が過去の宿泊客のメーリングリストなどを使って、英文メールで大々的に案内したらしく、複数の読者から、「いつからどこのホテルで接続可能になるのか?」、「ホテル側に問い合わせてみたが、あやふやな返事しかもらえなかった」 といった問い合わせが寄せられた。

 これまでネット接続料金は決して安くなかっただけに、読者の関心の高さがうかがえる重要なニュースということで、すぐにベラージオに問い合わせてみると、館内のビジネスセンターのスタッフは 「まだ使えない」、コンシェルジュは 「回線速度が遅くて使い物にならない」 との異なる返事。マンダレイベイに電話をしてみても 「そんな話は聞いていない」 と、いかにもアメリカの会社らしい無愛想な対応。
 こうなると現場で確認するしかなく、さっそく各ホテルへ出向き、無料で接続できるのか実際にためしてみた。

 結果は、「接続できた」 ということになるが、その詳細を報告する前に、ラスベガスにおける MGM社の勢力、そしてこれまでのネット接続の料金体系およびリゾートフィーについて簡単にふれておきたい。
MGM系ホテルで無料 WiFi  現在のラスベガスのカジノホテル業界は、過去20年ほどの間に繰り返されてきた企業買収や合併などにより、MGM社系列のホテル (右の地図内の) と シーザーズ社系列のホテル (同、) の寡占状態となっている。(グレーの はその他の会社)

 それほど多くのホテルを所有している MGM社ではあるが、今回の発表では、ベラージオ、マンダレイベイ、ミラージュ、MGMグランドの 4つのホテルに限定して、無料 WiFi サービスを開始すると発表しており、現時点では、同社系列のすべてのホテルで無料接続が可能というわけではない。
 ちなみにこの 4ヶ所の顔ぶれを見ていると、「グレードが高いほうから 4つのホテルが選ばれた」 と考えてよさそうだが、「地理的な位置の分散を意識しつつ、ライバルのシーザーズ系ホテルの宿泊客を MGM系の館内に呼び込むことも視野に入れた戦略」 (業界関係者) との意見もある。
 いずれにせよ、3000部屋を超える規模の大型ホテルにおいて回線が混雑することなくスムーズに使えるようにするためにはかなりの設備投資が必要とのことで (ネットインフラ最大手のシスコ社製の最新鋭設備を導入したらしい)、とりあえず 4ヶ所でスタートし、様子を見ながら年内をめどに残りのホテルでも導入する計画でいるようだ。

 客室内からのネット接続は、日本のシティーホテルにおいては無料のところが多いが、ラスベガスのホテルでは、MGM系列に限らず、どこのホテルも有料が一般的で、その料金は 24時間 15ドル前後と、決して安くない。
 そしてその料金とはまったく無関係な形で、MGM系列のホテルでは、数年前から 「リゾート・フィー」 と称する料金システムを導入し (週刊ラスベガスニュースのバックナンバー 807号に詳しく掲載)、宿泊料金とは別に1泊につき 15〜25ドル前後を徴収している。
 その意味不明なリゾート・フィーの根拠の開示を利用者側から求められ、今では、その内訳の一つに 「ネット接続料」 が含まれていることを公式サイトなどでも明記。つまり、もともとは無関係だったネット接続料金とリゾート・フィーが切っても切れない関係にあり、ホテル側としては、「リゾート・フィーを徴収させてください。その代わりネット接続料は不要です」 という建て前でリゾート・フィー制度を維持しているわけだが、今回の無料 WiFi は、自分たちが導入したそのリゾート・フィーの存在を根本から否定しかねない矛盾だらけのサービスと言えなくもない。

 冒頭で、ネット接続料金が安くないので読者の関心が高い、と書いたが、よく考えてみると、MGM系のホテルでは、もともとその高いネット接続料を、リゾート・フィーという形で強制的に徴収されるわけで、少なくとも宿泊客は、今回の無料 WiFi はあってもなくても関係ないことになる。
 そうなると今回のサービスで恩恵を受けるのは、MGM系に宿泊していない客、とりわけリゾート・フィーを徴収していないシーザーズ系ホテルの宿泊客ということになり、彼らにとっては関心が高くなるのも無理はない。なぜなら、彼らは、ネットを利用したい場合、個別に 15ドル前後を負担しなければならないからだ。

 MGM系にとって、それはどれほどのメリットがあるのだろうか。ライバルホテルの宿泊客が、パソコンを持ってカジノにやって来てくれれば、多少の金を使ってもらえる可能性があるわけで、プラス要因となるように思えるが、もしネットだけ無料で使われてしまった場合は、回線インフラのコストだけ損ということにもなりかねない。(ちなみに無料 WiFi はパソコンだけではなく、もちろんスマートフォンでも利用可能)
 たぶんプラス要因のほうを多く見込んでの戦略と思われるが、自社内の矛盾というマイナス要因をどのように考えているのか大いに気になるところだ。つまり、無料で WiFi が使えるとなると、リゾート・フィーを徴収する大きな理由の一つがなくなり、リゾート・フィーの支払いを拒否する利用者が増えてくることが予想されるからだ。
 今までも、公式サイトの予約画面でリゾート・フィーの存在をきちんと説明しているにもかかわらず、毎日のようにチェックインカウンターで、支払い拒否の客が騒動を起こしている現実を考えると、今回の WiFi 無料化は大きな問題を含んでいるといわざるをえない。

 もちろん MGM側もそこまでのことを考えていないわけではなく、逃げ道的な部分をきちんと用意していた。回線速度による差別化だ。
 つまり、今回の無料 WiFi でのアクセスに対しては、その回線速度を意図的に著しく遅く設定してあり、リゾート・フィーの支払い拒否客に対しては、「リゾート・フィーには、快適な高速回線の利用が無料になる権利が含まれています。回線が遅く、動画などには使えない無料の WiFi とは根本的に異なるサービスです」 と説明できるようにしてあるというわけだ。

 さて気になるその速度はどれほどか。ホテル側の設定では 「最大 256kbps」 となっており、たしかに今の時代としてはかなり遅い。
 実際に測定してみた結果としては 30〜200kbps といったところで (瞬間、瞬間で大きく異なるものなので、数十回ためしてみたところ、約9割がこの範囲に収まった)、これは、メールの送受信には特に支障はないが、大きな写真の取り込みには使いづらく、動画にはまったくダメというレベル。ニュースサイトの閲覧程度なら特に問題はない。
 以下、実際に4ヶ所のホテルで試してみてわかった接続環境や条件、および接続方法を列挙してみた。

【接続環境や条件など】

既述のとおり、現時点で利用可能なホテルはベラージオ、マンダレイベイ、ミラージュ、MGMグランドの 4ヶ所。接続はフロントロビー周辺で実験。

宿泊客である必要はまったく無い。

既述のとおり、無料で利用できる回線速度は 256 Kbps、もしくはそれ以下。

最初のアクセスの際、メールアドレスの入力を求められる。(住所や名前は不要)

最初のアクセスから 2時間経過するまで、何回でも切断、接続が可能。ここでいう 2時間とは、実際に利用している正味の時間の積算ではなく、最初のアクセスから 120分経過した時刻、という意味。

4ヶ所のホテル間は、ネットワーク名こそ異なっているものの、一度アクセスしてしまえば、その後はなんの設定もすることなしに相互に利用が可能。つまり、たとえば、マンダレイベイで、メールアドレスなどを入力して一度アクセスしてしまえば、その後はベラージオに移動しても、自動的に接続状態になる。ただし 120分が経過したら、どこのホテルにいようが改めて初回と同じ設定をしなければならない。

【接続方法】

パソコンでもスマートフォンでも基本的には同じで、まずは、十分な強さの電波をキャッチできているネットワーク名の中から BellagioWiFi、MandalayBayWiFi、MirageWiFi、のどれかを探し、それを選択。

ブラウザを開くと、最初の画面で、[Buy WiFi]、[Free & Paid Options]、[Hotel Guests]、[Use Access Code or Room Charge] の 4つの選択肢が表示されるはずなので、その中から [Free & Paid Options] をクリック。

次の画面で、[$14.95 1.5mbps for 48 hours]、[$7.95 512kbps for 24 hours]、[Free 256kbps for 2 hours] の 3つの選択肢が表示されるので、[Free 256kbps for 2 hours] をクリック。

次の画面で、メールアドレスを入力し、[I accept the Terms & Conditions] に印を付けて、[Submit] をクリック。

 以上で接続完了のはず。あとはメールの送受信でも、ウェブ閲覧でも 2時間まで自由に行うことができる。
 速度の遅さが気になるかもしれないが、シーザーズ系ホテルの宿泊者がベラージオで PCやスマホを無料接続できることは、知っておいて損はなく、実際に利用価値も十分にあると思われる。なお、スマホを接続させる際は、きちんと確実に無料 WiFi につながっていることを再確認するようにしたい。アメリカの電話局のローミングにつながっていたりすると、帰国後にとてつもなく高い料金を請求される可能性があるので注意が必要だ。



バックナンバーリストへもどる