週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2012年 11月 21日号
「ネオンの墓場」 こと、ネオン博物館がついにオープン
ネオン博物館  ゴージャスに光り輝く不夜城ラスベガス。その美しい夜景の主役が豪華ホテルやナイトショーであったとしても、光り輝いているそのものの実体は個々のネオンサインだ。
 そういう意味では、ネオンサインは 「縁の下の力持ち」 というよりも、むしろ主役なのかもしれない。
 事実、そこそこ有名なエンターテイナーよりも露出度が高い著名ネオンサインはいくつも存在していた。今はなきスターダスト・ホテルのそれなどはまさにその典型といってよいだろう (写真右下、クリックで拡大)。

ネオン博物館  「存在していた」 と過去形で書いたのには理由がある。最近はハイテク化が進み、メッセージを自由自在に変えて表現できる大型ディスプレイが主流になってきているからだ。
 かつての不変不動のネオンサインは本当に個性豊かで、今よりもはるかに夜景の主役を演じていたように思える。そんな情景を見ることができなくなりつつある昨今のベガスの夜景はゴージャスではあるものの、どこか風情に欠け寂しい。

ネオン博物館  どんな主役も、いつかは役目を終え現役を去る日が来る。一度去ると二度と復活することがないのがネオンサインの世界で、そこはベガスで活躍する芸能人たちの世界とは大きくちがうところ。
 去ったネオンサインたちは静かに眠るしかない。そしてその眠る場所、いわばネオンサインの墓場がラスベガスのダウンタウン地区の繁華街から少し外れたところにある。そこが先月やっと一般に公開された。

ネオン博物館  公開されたのは、「ネオンサインの墓場」 こと The Neon Museum Las Vegas。ようするにネオン博物館だ。
 この場所自体はかなり前から存在していたが、予算などの関係で、なかなか公開にまでは至らなかった。「墓場」 を 「博物館」 にするためには、受付などそれなりの施設を整える必要があるばかりか、展示物の数もそろえなければならないからだ。
 そして、その 「数をそろえること」 が、とてつもなくむずかしく、このプロジェクトの最大の難関だったようだ。展示物は、カネをかければ製造できるというようなものではない。現役を終え引退するネオンサインの出現をひたすら待つしかなく、さらに巨大なネオンサインを解体して運び込むことには莫大な費用が発生する。
 また、役目を終えたホテルは爆破解体されるのが普通だが、それでは無傷の状態で運び出せないので、ネオンだけは別扱いにする必要があり、そんなこともプロジェクトの実現には障害となったようだ。

ネオン博物館  結局、さまざまな困難を乗り越え、構想から10年以上の歳月を経て、このたびやっとオープンにこぎつけたわけだが、運が良かったと言えなくもない。
 たまたまここ十数年、アラジン、スターダスト、ニューフロンティア、サハラなどの著名カジノホテルが廃業したため、それらホテルの名物ネオンサインが手に入り、またトレジャーアイランドの有名な巨大ドクロ (写真右) の引退や、トロピカーナホテルのロゴの一新などがあったため、かなりの展示物を集めることに成功した。
 ちなみにこの施設は、ラスベガス市から駐車場なども含めた場所の提供という形でのサポートは受けているものの、運営自体はラスベガス市とは関係なく、寄付などによる独立した非営利団体として運営されている。

ネオン博物館  さて展示内容についてだが、前述の近年消滅したホテルのみならず、50年以上も前のものなど、展示物の年代に大きなかたよりはない。
 また、カジノホテルに固執することなく、モーテル、レストラン、アダルト施設、ウェディングチャペルのネオンサインなど、業種的にも多岐に渡っており、見ている者を飽きさせない。
 ちなみに、受け付け施設などがあるメインの建物自体も、当時の黒人著名デザイナーによる独特な形状で一世を風靡したモーテル La Concha のメインロビー (このページの一番下の写真) の再利用だ。

ネオン博物館  見学は、各自自由に見て回るのではなく、右の写真のように、少人数の集団に一人のガイドが付く形で解説を聞きながら巡回することになる。
 その集団の最大人数は 15人までで、巡回コースの全長は約 150メートル、スタートしてから解散までの所要時間は約1時間。ガイドの解説はもちろん英語のみで、日本語を話すガイドは現時点では存在していない。

ネオン博物館  開業してまだ日が浅いためか、現場の運営も、ウェブサイト内の情報も、ちぐはぐしている部分が散見され、営業時間や料金などはまだ流動的のようだ。たとえば、予約なしで当日現場に行っても入場できないとされていたものが、入場できるようになっていたり、見学のスタート時間も1時間おきだったものが 30分おきになったり、運営方針がふらついている。また料金も、現場とウェブサイト内では地元割引やシニア割引に関して食い違っているなど統一されていない。そのへんのことを現場で確認しても、「現場は現場、ウェブはウェブ」 といった感じで内部での足並みがそろっていないようだ。
 ということで、現時点では大ざっぱな数字しか言えないが、入場料は 15ドル前後、午前10時にオープンして、30分から60分に一度の間隔で見学がスタート、と考えておけば特に大きな問題はないだろう。
 ただ、「1度に 15人まで」 という定員の部分だけはしっかり守られており、それぞれのスタート時間の定員に対しては、公式サイトを通じて事前にオンライン予約をしている者が優先され、飛び込みの客は後回しにされるので、絶対に待ちたくないという場合は事前に予約 (ただしその時点でクレジットカード決済)しておいたほうがよい。
 なお、受付現場では、「展示物にさわったりしません。壊したりしません。展示物が崩れてケガをしたりしても訴えません」 という書類に、住所や名前の記入とともに署名を求められる。これを拒否すると見学ツアーに参加できないことは言うまでもない。

ネオン博物館  「わざわざダウンタウンまで出向き、入場料まで払って古ボケたネオンを見て何が楽しい」 という厳しい意見も聞かれるが、たしかにそれは大多数の一般の観光客には言えるかもしれない。
 それでも、過去のラスベガスの風景に思い入れがある人にとっては、かなり楽しめるはずだ。古い映画に登場するシーンのネオンを見たりすることもできる。自身でラスベガス・フリークと思っている者は、ぜひ足を運んでいただきたい。
 場所は、野球場 「キャッシュマン・フィールド」 のすぐ手前。行き方は、ダウンタウンの電飾アーケード街の東端からラスベガス大通りに出て左 (北)。高速道路の下をくぐって約300メートル先の右側。所要時間は電飾アーケード街の東端から徒歩約15分。



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