週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2012年 07月 25日号
夏だ! ビールだ! 乱立気味のハッピーアワーを楽しもう!
ハッピーアワー  ラスベガスの夏は暑い。「熱い」 と言ったほうがいいかもしれない。それでも湿度が異常に低く乾燥しているので、日本のようなジメジメした蒸し暑さはなく、その代わり、汗が瞬時に蒸発してしまうためか、ひたすらのどが渇く。
 そんな時の楽しみは、なんといっても冷たいビール。乾燥した砂漠都市ベガスで飲むビールは格別だ。そしてビールといえば、ハッピーアワー。

 日本でもすっかり定着してきた言葉 「ハッピーアワー」 は、文字通り 「うれしい時間」 で、飲食店などが行う時限割引サービスのこと。客足が少ない時間帯の空席を埋めるための営業戦略で、一般的には平日のディナータイムが始まる前の夕方に行われることが多い。酒場などでは深夜の場合もある。
 高級店にとって割引はイメージダウンにつながるためか、これまでハッピーアワーは比較的料金設定が安い庶民的な店に限られてきたが、最近は不景気を乗り切るためには背に腹はかえられないのか、ストリップ地区の高級ホテル内の著名店でも広く行われるようになってきた。
 たとえば、Canaletto (Venetian)、IL Fornaio (New York NY)、Koi (Planet Hwd) などはその典型で、その他にも数多くの著名店がハッピーアワーを導入し始めている。
 客にとってはうれしい限りで、これを利用しない手はない。特に今の季節はなおさらだ。なぜならハッピーアワーはビールが目玉商品になることが多いからだ。

 割引の形態は店によってさまざまだが、最も一般的なのがビールの値引きと、ハッピーアワー限定メニュー。
 そのメニューには大きく分けて2つある。ハッピーアワー専用に用意された格安料理、そしてもう一つが、通常のディナータイムにも存在しているメニューの中のメインディッシュを除く前菜などの割引提供だ。
 どちらにも共通しているのが、フルサイズの本格的な料理ではないということ。なぜなら、ハッピーアワーの時間帯は、夕食にはまだ早く、多くの人が食事として利用するわけではないからだ。
 ようするに、ビールのつまみ程度の料理であればいいというわけだが、その量をバカにしてはいけない。アメリカ人ほどたくさん食べない日本人にとっては十分なサイズであることが多く、ハッピーアワー限定メニュー1皿だけで、ディーナー代わりになってしまうことも珍しくない。

 ではどんなメニューがあるのか。最も一般的なのがピザ、そしてチキン、ポテト、イカ、オイスターなどの揚げ物、そしてソーセージやスライダー(ひと口サイズのミニハンバーガー)、サラダなど。和食店の場合、寿司もある。
 本格的なディナータイムになるまでは、キッチンのスタッフの数も限定的なので、手の込んだ複雑な料理は期待できないが、簡単な前菜などのほうが日本人の口に合ったりすることもあり、味的にも量的にも値段的にもハッピーアワーメニューをあなどることはできない。時差ボケなどで、きちんとした夕食の時間に空腹になるとは限らない海外旅行者こそ、大いに利用すべきだろう。

 ハッピーアワーを利用するにあたって、知っておいたほうがよい注意事項がある。
 それは、店にもよるが、「平日の夕方」 という曜日や時間帯だけでなく、店内のセクションも限定されるということ。高級店になればなるほどその傾向にあり、テーブルクロスやシャンデリアなどが目に付くようなゴージャスなダイニングルームはハッピーアワーの対象外となっていることが多い。それを知らずにその種のセクションに着席し、会計の際にビールの値段が割引になっていないことに気づいても遅い。
 したがって、着席する前に案内係やウエイターなどに確認する必要があるわけだが、一般的にカウンター席やバーセクション、およびその周辺がハッピーアワーに使われる。

 用語も覚えておいたほうがよい。だれもが知る単語 「ドメスティック」 (domestic) と、辞書にも載っていない 「ウェルドリンク」 (well drink) だ。
 「ビール半額!」 の宣伝につられてガブガブ飲んだあと、会計の際に半額になっていないことに気づきそれを指摘しても、ウェイターから 「Domestic beer only」 と言われたりする。ここでの domestic の意味は 「国産」 のこと。つまりバドワイザー、ミラー、クワーズなど米国産の一般的なビールだけが対象で、ハイネケン、ギネス、コロナ、ベックス、日本ブランドなどは割引にならない。もちろん外国産ビールも対象としている店もある。
 同様に、「カクテル類、一律3ドル!」 などの宣伝文句も要注意。すぐ横に小さな文字で well drink only と書かれていたりする。well drink とは、決まった定義はないが、一般的にはその店の最も安い大衆的なカクテル類を意味することが多い。したがって、もしカクテル類をオーダーする場合は、具体的にドリンクメニュー内のどれとどれがこれに該当するのか確認すべきだろう。

 さてどの店に行けばハッピーアワーを楽しめるのか。結論から先に書くと 「かなり多くの店」 ということになる。
 実は、それぞれの店を紹介しようと、ハッピーアワーをやっている店を探し出し、何軒か取材した。ところが最近はハッピーアワーをやる店が急増したのか、個々の店をわざわざ紹介すること自体に意味がないほど、ありとあらゆる店がやり始めていることに気づいた。
 The Pub (Monte Carlo)、Ri Ra Irish Pub (Mandalay Bay)、Nine Fine Irishmen (New York, NY)、Triple-7 (Downtown) などのビールパブは言うに及ばず、Japonais (Mirage)、SushiSamba (Palazzo) のような和食店、P.J.Clarke's (Caesars Palace)、Palm (Caesars Palace) などの老舗高級店、さらには、Diego (MGM)、Yolos (Planet Hollywood) のような高級メキシカン、China Grill (Mandalay Bay)、P.F.Chang's などの中華、そしてステーキ店の Brand Steakhouse (Monte Carlo) など、枚挙にいとまがないほど、ハーピーアワー乱立状態となっている。
 したがって、ここに列挙した店などにこだわることなく、該当する時間帯 (おおむね平日の午後4時〜6時) にビールを飲みたくなったり小腹がすいたら、とりあえず最寄りの店に立ち寄り、現場でハッピーアワーをやっているかどうか確認するようにするとよいだろう。そのほうが手っ取り早いはずだ。



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