週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2012年 07月 11日号
リゾートフィー、導入派がさらに増加、金額も上昇傾向に
リゾートフィー  ちょうど2年前のこのコーナーで取り上げた 「リゾートフィー」。
 最近読者から 「徴収されないと思っていたら徴収された」、「料金が変わっていた」 といった報告をときどき受ける。
 たしかにベラージオやアリアなど、新たに導入を決めたホテルもあり、金額を変えたホテルも少なくない。改めて最新状況を調べてみた。(右上は、リゾートフィー導入に強く反対しているシーザーズパレスの公式サイトの一部)

 リゾートフィー (Resort Fee) という言葉を初めて聞く読者もいると思われるので、2年前の記事と重複するが、念のためその意味についてふれておきたい。
 そのまま訳せば 「リゾートの料金」。しかし 「リゾートホテルの宿泊料金」だと思ったら大まちがい。ここ数年、ラスベガスのホテル業界の間で急に広まった料金システムで、宿泊料金とは別に徴収される追加料金のことだ。もちろん税金とも異なる。
 異なるどころか、このリゾートフィー自体にも税金が課せられ、さらにやっかいなことに、予約時にクレジットカードから引き落とされる宿泊料金や税金とはあえて別のタイミング、つまりチェックイン時に徴収されたりするからたちが悪い。旅行の準備を終え、「ホテル手配も支払いもすべて完了。さぁ出発!」と、意気揚々と家を出て、現地に到着した途端に追加料金を告げられ意気消沈。これがリゾートフィーの現実だ。
 はじめから宿泊料金に含めてしまえばいいものを、わざわざ名称を変え別扱いにしているばかりか、徴収のタイミングをずらすことにより意図的に予約時にこの料金の存在を意識させないようにしていることは明白で、航空会社の燃料調整金などよりも陰湿感が漂う。違法ではないようだが、企業倫理が問われる不明朗な料金システムだ。
 実際に、「『宿泊料金はすでに払ってある。そんな料金の存在は聞いていない』といったトラブルがあとを絶たない」(MGM系ホテルのチェックインカウンターのスタッフ) というのが実態で、利用者ばかりか現場からの評判も良くない。

 そもそもこのリゾートフィーとは、なんのための料金なのか。それは各ホテルによって異なり、ホテル側が利用者側に説明している 「根拠」 や 「内訳」 もさまざまだ。
 一般的によくあるのは、毎朝部屋に配達される新聞代、フィットネス施設使用料、客室からの市内通話かけ放題サービス、客室内でのネット接続料、館内のビジネスセンターにあるプリンター、コピー機、ファックス機の使用料、などだ。
 どれもリゾートという言葉とは特に関係なさそうな項目ばかりで、もはやどの項目も料金徴収のための 「こじつけ」 としか思えず、そんな姑息な発想がなんとも見苦しい。
 新聞などは売店で買えば 1ドル程度 (ぶ厚い日曜版はもう少し高いが)、市内通話もだれもが携帯を持つ今の時代、少なくともアメリカ人宿泊者にとっては需要ゼロに等しい。コピー機も同様で、ファックスに至っては今どき旅先で使う者など皆無に近いのではないか。
 そんなものに対して課金し、強制的に徴収しているのがリゾートフィーというわけだ。本来であれば、新聞、電話、コピー機などの費用は、利用する者が個別に負担すべきで、それを利用するしないにかかわらず全員から一律徴収とはなんとも不可解極まりない。

 では気になるそのリゾートフィーは実際にいくらなのか。数年前の導入当初は数ドル程度だったので目くじら立てるほどのものではなかったが、最近は20ドル以上を徴収しているホテルも増加傾向にある。
リゾートフィー  ちなみに右は、MGMグランドホテルの公式サイトで、部屋を予約する際に表示される画面だ。
 宿泊料金 $80 に対して、12% のホテル税 $9.60、合計 $89.60 がデポジットとして予約時に徴収される。ここまではいい。(もちろん宿泊料金は需給バランスに応じて日々刻々と変化している)
 問題は下の3行だ。ここに、「リゾートフィー $25、さらにそれに税金もかかり、チェックインの際に徴収」 と書かれている。
 なにゆえ予約時ではなくチェックイン時なのか説明はない。もちろん説明など出来るわけもないが、こういう方法で追加料金を取ること自体、会社として恥ずかしくないのか。
 今の時代、ネットでいくらでも情報が広まる。特に悪い噂の伝わる速度は速い。常識的に考えると、こんな馬鹿げたリゾートフィーを導入しているホテルの評判はすぐに下り、撤回を余儀なくされそうだが、「みんなでやれば恐くない」 ということなのか、撤回どころか導入ホテルは増える一方だ。
 ちなみにこの MGMグランドのリゾートフィー $25 の徴収名目は、新聞代、客室内インターネット接続代、市内通話かけ放題、館内ビジネスセンターでのコピー機とファックス機5枚まで利用可能、フィットネス施設の使用料、となっている。

 さて、この悪しき習慣はラスベガスだけのものなのか。じつは、リゾートという言葉のイメージからか、ビジネス用途が多いロサンゼルスやニューヨークなど大都市のホテルにおいてはあまり見られないものの、ハワイなどでは少なからず存在している。
 それでもラスベガスでは主要ホテルの多くがこのシステムを導入しており、「ラスベガス独特のもの」 とは言えないまでも、「ラスベガス名物」 といってよいのではないか。

 ではなぜそんな悪名高いリゾートフィーを各ホテルはあえて導入しているのか。追加料金が必要なら、宿泊料金をそのぶん高く設定すれば済むはずだ。
 実は導入の背景には各ホテル間の激しい競争がある。ようするに見かけの宿泊料金をライバルホテルよりも安く見せたいというわけだ。
 たとえば Aホテルが宿泊料金100ドルで宣伝していたとする。そこにライバルの Bホテルが90ドルで対抗。Aホテルとしては80ドルにしたいところだが、それでは利益が出ない。ならば 「宿泊料金 80ドル!」 と大きく表示しておいて、小さな文字で 「リゾートフィー10ドル。予約時の今は不要です。あとで徴収させて頂きます」 としておけば、多くの利用者はリゾートフィーを見落とすので、ライバルに客を奪われることなく売上を確保できる。
 もしそこで Bホテルがさらに、「宿泊料金 70ドル、リゾートフィー20ドル」 などとしてきたら競争は泥沼だ。実際にそんな泥沼競争が起こっている。
 このような競争の繰り返しで、はじめのころは数ドルだったリゾートフィーが、いつのまにかエスカレートし、今では20ドル前後が相場だ。参考までに、現在 25ドルの MGMのリゾートフィーは2年前、10ドルだった。しかし、カバーしている内容はほとんど変わっていない。

リゾートフィー  導入しているホテル側にも悩みが無いわけではない。チェックイン時の顧客とのトラブルなど目に見える形での問題はもちろんのこと、企業イメージや評判の低下などマイナス要因も少なくないからだ。
 シーザーズパレス、パリス、バリーズ、フラミンゴなど、思い切ってリゾートフィーを全廃にしたホテルグループもあるが、逆に一度撤廃してからまた復活させたホテルもあるので、どこもかなり悩んでいる様子がうかがえる。それでも全体としては導入派が増加傾向にあることはまちがいない。
 ちなみに右はストリップ地区のホテルの分布図。 はシーザーズ社のホテルグループで、導入に強く反対、 はMGM社のホテルグループで導入中、 はその他のホテルで、コスモポリタン以外はすべて導入中。

 業界関係者によると、一度使うと麻薬のようにやめられなくなるらしい。
 ラスベガスで最高級を自負し、かつて導入反対の急先鋒だったウィンラスベガスとその新館であるアンコールは悩み続けたあげく、2010年から 「麻薬」 に手を出してしまった。
 また、はやばや導入していた MGMグループも、ベラージオとアリアだけはグループ内最高級ホテルとしてのプライドがあったのか、長らく導入をためらっていたが、このたび、なりふりかまわず導入を決めてしまった。
 右上の地図ではストリップ地区だけしか示されていないが、この 「麻薬汚染」 はストリップ地区だけにとどまらない。価格重視の顧客を相手に低価格をウリにしているダウンタウン地区にも、この悪しき習慣が浸透し始めており、このたびプラザホテルが今月末からの導入を決めた。
リゾートフィー  こうなると今後ますます導入するホテルが増えてきそうだが、もうすでに多くのホテルが導入しているという意味では、これからの注目は、かたくなに反対し続けているシーザーズ系グループの各ホテルが今後いつ導入に踏み切るかということになるのだろうか。しかしそれだけはないことを祈りたい。むしろ、「みんなでやめれば恐くない」 という方向に進むのが (談合はまずいが)、業界としての正しい道だろう。
(右上は、シーザーズ系グループのリゾートフィー反対運動のために設けられたフェースブックの画面)

 なお、大多数の利用者にとって歓迎しがたいリゾートフィーではあるが、必ずしもそうとは限らない場合もある。それはパソコン持参の旅行者などが客室内でインターネットを使う場合だ。
 ラスベガスのホテルでは従来からネット接続は有料で、今でもリゾートフィーを導入していないホテルでは、24時間 10〜15ドルを課金している。したがって、リゾートフィーが15ドル程度以下で、なおかつその内訳の中にネット接続が含まれている場合は、新聞やフィットネス利用などの分だけお得なシステムといえないこともない。とはいっても、$15以下のリゾートフィーはもはや少数派。ストリップ地区ではリビエラ、サーカスサーカス、フーターズ、エクスカリバー、トロピカーナなど、日本人観光客があまり利用しない格下のホテルしかない。

 以下は主要ホテルの現時点におけるリゾートフィーの金額と主な内訳だ。パソコン持参の人も、そうでない人も、ホテル選びの際の参考にして頂きたい。
 なお最後に、ラスベガス大全がアフィリエイト提携している世界最大のホテル予約サイト 「エクスペディア」 で予約した場合でも、ホテル側の方針に従うしかなく、リゾートフィーは避けて通れない。もちろんそのことはエクスペディアの予約画面内でもきちんと明記されており、その金額なども確認可能だ。
(このリゾートフィーは、ホテルを個人で予約する場合の話であって、大手旅行代理店などのパッケージ旅行での宿泊者はツアー代金に含まれているはずなので特に気にする必要はない)

[ 並び順は、上の地図における立地順 (北から南) ]
ホテル名  Rivieraリゾートフィーの金額$11
内訳:  室内インターネット接続、室内からの市内通話無料、フィットネスセンター入場、室内金庫使用。

ホテル名  Circus Circusリゾートフィーの金額$8.95
内訳:  室内インターネット接続、隣接する遊園地 「アドベンチャードーム」 内のライドの1回乗車券、メキシカン料理店 「ブルーイグアナ」 内でチップスとサルサ無料 (ただし最低8ドルのオーダーが必要)、ゲームセンターでの2回プレー券、West Casino または Slots-A-Fun のバーにおけるウェルドリンク (簡単な安いカクテル) を1杯オーダーすると1杯が無料になる券、フィットネスセンター入場、室内からの市内通話 30分まで無料。

ホテル名  Encoreリゾートフィーの金額$25
内訳:  室内インターネット接続、室内からの市内通話無料、フィットネスセンター入場。

ホテル名  Wynnリゾートフィーの金額$25
内訳:  室内インターネット接続、室内からの市内通話無料、フィットネスセンター入場。

ホテル名  Trumpリゾートフィーの金額$28
内訳:  室内インターネット接続、室内からの市内通話無料、フィットネスセンター入場、新聞、バレーパーキング、客室内でのコーヒー、ボトルウォーター。

ホテル名  Palazzoリゾートフィーの金額$20
内訳:   室内インターネット接続、室内からの市内通話無料、フィットネスセンター入場、新聞、ヌードル料理店 ZINE での 20% 割引券、ラウンジ 「Zebra」 でカクテルを1杯オーダーすると次の1杯が無料になる券、ベニスのゴンドラ体験ライドの乗船券を1枚買うと次の1枚が半額になる券、バー 「Lagasse's Stadium」 でビールが3ドルで飲める券。

ホテル名  Venetianリゾートフィーの金額$20
内訳:   室内インターネット接続、室内からの市内通話無料、フィットネスセンター入場、新聞、ヌードル料理店 ZINE での 20% 割引券、ラウンジ 「Zebra」 でカクテルを1杯オーダーすると次の1杯が無料になる券、ベニスのゴンドラ体験ライドの乗船券を1枚買うと次の1枚が半額になる券、バー 「Lagasse's Stadium」 でビールが3ドルで飲める券。

ホテル名  Treasure Islandリゾートフィーの金額$25
内訳:  室内インターネット接続、フィットネスセンター入場、カクテルを1杯オーダーすると次の1杯が無料になる券、1人分の料金で2人が利用できるランチのバフェィ (ただし土、日は除く)、新聞、海賊船ショー「Sirens of TI」を鑑賞する際の優先ポジション進入券、室内からの市内通話無料、館内ビジネスセンターのプリンターで航空便の搭乗券の印刷、同センターにおける 10枚までのコピー機使用もしくはファックス、次回宿泊時に利用可能な20ドル割引券。

ホテル名  Mirageリゾートフィーの金額$25
内訳:   室内インターネット接続、フィットネスセンター入場、新聞、館内ビジネスセンターにおける公証人サービス、同センター内のプリンターで航空便の搭乗券の印刷およびファックス機の利用、室内からの市内通話無料。

ホテル名  Bellagioリゾートフィーの金額$25
内訳:   室内インターネット接続、フィットネスセンター入場、館内ビジネスセンターのプリンターで航空便の搭乗券の印刷、室内からの市内通話無料。

ホテル名  Vdaraリゾートフィーの金額$25
内訳:   室内インターネット接続、フィットネスセンター入場、新聞、ペットボトルのミネラルウォーター2本、室内からの市内通話無料、要求があればターンダウンサービス。

ホテル名  Ariaリゾートフィーの金額$25
内訳:  室内インターネット接続、全館インターネット接続、フィットネスセンター入場、新聞、室内からの市内通話無料、館内ビジネスセンターのプリンターで航空便の搭乗券の印刷。

ホテル名  Mandarin Orientalリゾートフィーの金額$24
内訳:   リゾートフィーという名称ではなく、「ゴールデン・アクセスフィー」という名称で徴収。室内インターネット接続、フィットネスセンター入場およびヨガまたはピラテスのクラスの受講、モーニングコーヒーまたはティー、新聞、室内からの市内通話無料、くつ磨きサービス。

ホテル名  Monte Carloリゾートフィーの金額$20
内訳:  室内インターネット接続、フィットネスセンター入場、新聞、ペットボトルのミネラルウォーター2本、キューリグコーヒー2杯、館内ビジネスセンターのプリンターで航空便の搭乗券の印刷およびコピー機とファックス機の利用、室内からの市内通話無料。

ホテル名  MGM Grandリゾートフィーの金額$25
内訳:  室内インターネット接続、フィットネスセンター入場、新聞、館内ビジネスセンターのプリンターで航空便の搭乗券の印刷およびコピー機とファックス機の利用、公証人サービス、室内からの市内通話無料。

ホテル名  MGM Signatureリゾートフィーの金額$25
内訳:  室内インターネット接続、全館インターネット接続、フィットネスセンター入場、新聞、室内からの市内通話無料、客室内でのコーヒー。

ホテル名  New York NYリゾートフィーの金額$18
内訳:  室内インターネット接続、フィットネスセンター入場、新聞、室内からの市内通話は無料で、アメリカ国内市外通話は1分10セント、館内ビジネスセンターのプリンターで航空便の搭乗券の印刷およびコピー機とファックス機の利用 (5枚まで)、公証人サービス。

ホテル名  Tropicanaリゾートフィーの金額$14.99
内訳:  室内インターネット接続、フィットネスセンター入場、プールおよびジャクージ、ラウンジ 「Ambhar」 でのカクテル、ビール、ワインなどが半額 (ただし 4pm から 6pm まで)。

ホテル名  Hootersリゾートフィーの金額$9.95
内訳:   室内インターネット接続、フィットネスセンター入場、室内からの市内通話、ボトルウォーター。

ホテル名  Excaliburリゾートフィーの金額$15
内訳:  室内インターネット接続 (有線)、フィットネスセンター入場、新聞、室内からの市内通話さらには市外通話も無料、館内ビジネスセンターのファックス機での受信。

ホテル名  Luxorリゾートフィーの金額$18
内訳:  室内インターネット接続 (有線)、フィットネスセンター入場、新聞、室内からの市内通話さらには市外通話も無料、全部で 800ドルほど節約できるクーポンブック。

ホテル名  The Hotelリゾートフィーの金額$25
内訳:  室内インターネット接続、フィットネスセンター入場、新聞、室内からの市内通話、航空便の搭乗券の印刷。

ホテル名  Mandalay Bayリゾートフィーの金額$25
内訳:  室内インターネット接続、フィットネスセンター入場、新聞、室内からの市内通話、航空便の搭乗券の印刷。




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