週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2012年 05月 30日号
プレミアム・アウトレット・ノースに10分で行けるバス WAX
ラスベガス公営バス WAX  ここ数日、複数の読者から、「プレミアム・アウトレット・ノースに 10分で行ける急行バスがあるって本当か?」、「WAX は本当に2ドルか?」、「フォーラムに書かれていた WAX について詳しく教えてほしい」 といった問い合わせが寄せられている。
 いやはやお恥ずかしい限り。実は読者からそのような問い合わせを頂き初めて知ることになったわけだが、それらの噂はすべて事実。
 今週は公営バス "WAX" の実態を検証してみたので、その結果をレポートしてみたい。(右上の写真は、エクスカリバー・ホテルとニューヨーク・ニューヨーク・ホテル間の歩道橋の下を走る WAX。右奥の看板はトロピカーナ・ホテルの広告塔。クリックで拡大表示)

ラスベガス公営バス WAX  「1人1台の車社会にどっぷりつかった地元民は、バスなど使わない」
 そんな言いわけでご容赦いただくとして、日々車を運転しながら空港周辺やトロピカーナ通りで見かけていたこの WAX、「空港からアウトレット経由で北西方面の住宅地に向かう急行バスだろう」 程度の認識しかなく、まさかニューヨーク・ニューヨーク・ホテル前のバス停 (写真右) の次の停車場が 8キロも離れたプレミアム・アウトレット・ノースとは思ってもいなかった。
 反省の意味も込めて、さっそく体験試乗してみたところ、フォーラムに投稿して頂いたご意見の通り、途中は完全にノンストップで、実測わずか9分でアウトレットに到着した。料金は片道2ドル。
 「ストリップ南地区のホテルの滞在者向け」 という条件は付くものの、たしかにこのバスは便利で、ショッピング好きには利用価値がありそうだ。

ラスベガス公営バス WAX  さて、乗車方法など WAX に関する細かい説明の前に、公営バスについて簡単に触れておくと、ラスベガス一帯で路線バスをほぼ独占的に運営しているのは、Regional Transportation Commission (RTC) という公営組織。運行そのものは入札で民間企業に委託しているが、基本的には完全な公営だ。
 その規模はとてつもなく大きく、ホテル街から住宅街まで広域をくまなくカバーしており、路線の数は 50以上。
 その大部分は3桁の番号の名称で管理されている一方、急行路線やごく一部の特殊なルートに限り、SDX、MAX、HDX、DEUCE、そして WAX といった愛称が付けられている。(右上の写真はニューヨーク・ニューヨーク・ホテル前のバス停に設けられた路線の標識で、ここには 201路線と WAX が停車することが読み取れる。背景に赤く見えるのはローラーコースターの軌道)

ラスベガス公営バス WAX  今回の話題の主役 WAX は、Westcliff Airport Express の略とのことだが、イニシャルの語呂が良くなるように強引に単語を並べた感じは否めず、意味はとりあえず 「西地区と空港を結ぶ急行路線」 とでも解釈しておけばよいだろう。
 ちなみに一般観光客が利用するストリップ大通りを走る路線は2本あり、それは Strip Downtown Express の頭文字を取ったとされる急行バスの SDX、そして 「2」を意味する愛称が付けられた各停路線の2階建てバス DEUCE (写真右上) だ。

ラスベガス公営バス WAX  話を WAX に戻すと、基本的にこの路線は地元民向けとして運行されている。
 「車社会にどっぷりつかった地元民」 と書いたばかりだが、住民の全員が車を持っているわけではなく、バスで通勤している市民も少なからず存在しており、WAX はおもに、西側の郊外に住み空港、アウトレット、ダウンタウン近くの官庁街などに勤務している人たちのために用意された路線だ。ルートとしては、空港からストリップを横切り、プレミアム・アウトレット・ノースを経由して北西の住宅地へと走る。
 「公営の路線バスに地元民向けも観光客向けもないだろう」 と思うかもしれないが、たしかに観光客が地元民向けの路線に乗ってはいけないルールなどはないし、その逆も同様。したがって遠慮なく乗ってかまわないわけだが、この路線が明らかに地元民向けとして運行されている証拠はある。それは運賃だ。
 RTC では、地元民向けと観光客向けで運賃体系を変えており、50以上ある路線のうち、観光客向けとされる SDX と DEUCE は高めの、そしてそれ以外の路線では安めの料金設定となっている。地元民は通勤で毎日使うので、負担の軽減が図られるのは当然といったところか。
 気になるその WAX の運賃は、他の地元民向け路線と同様、1回限りの乗車券が2ドル、発券から2時間以内乗り放題の乗車券が3ドル、24時間乗り放題が5ドルと、たしかに割安だ。参考までに SDX と DEUCE は、1回券はなく、2時間券が5ドル、24時間券が7ドル、3日券が 20ドル。(SDX および DEUCE に関するさらなる詳しい情報は、[市内交通]セクションに掲載)

ラスベガス公営バス WAX  ということで、この WAX の利用においては、ショッピングをかなり短時間で終わらせることができる場合を除き、2時間券には無理があるので、乗車ごとに2ドルの1回券を買えばよいだろう。
 なお、この路線においては乗車券を事前に買う必要がなく、乗車の際、運転席の横にある運賃箱 (写真右) に2ドル入れるだけで乗車可能だが、つり銭は用意されていないので、あらかじめ1ドル紙幣を用意していくようにしたい。(小額紙幣への両替方法に関しては、この週刊ラスベガスニュースの 597号に掲載)

ラスベガス公営バス WAX  さて乗車場所についてだが、「行き」 は、ニューヨーク・ニューヨーク・ホテルの正面玄関前を走るトロピカーナ通りに面した場所。
 具体的な行き方としては、ストリップ地区の北側に位置するホテル、つまりモンテカルロ・ホテル側からニューヨーク・ニューヨーク・ホテルに向かった場合、交差点に立っている 「自由の女神」 を右手に見ながら交差点を右折する形でトロピカーナ通りに入り、歩道橋の下をくぐり抜けて20メートル進むと目的のバス停に到着する。(右上の写真内の左下付近のさらに奥)
 マンダレイベイなど南側に位置するホテルから向かう場合は、エクスカリバー・ホテルとニューヨーク・ニューヨーク・ホテルを結ぶ歩道橋を渡り終えたところにあるエレベーターを降りて (エスカレーターでもよい)、自由の女神と逆方向に20メートル。
 なお、そのバス停には、他の路線 (201路線) のバスも到着するので、車両の正面上部に、「WAX Westcliff Airport Express」 と表示されていることを確認してから乗車するようにしたい。
ラスベガス公営バス WAX  バスが来たら、2ドル払って乗車。出発したらすぐに高速15号線に入り、10分もしないうちにプレミアム・アウトレット・ノースに到着する。
 下車する人は意外と少なかったりするので、もし乗客が少ない場合は通過されないよう念のため、手すりなどに設置されている 「降ります」 ボタン (赤い文字で STOP と書かれたボタン、写真右下) を押したほうがよい。

ラスベガス公営バス WAX  ショッピングが終わったあとの帰りのバス停は、来る時に下車した場所に近いものの、まったく同じ場所ではないので、きちんと覚えておくようにしたい。帰りのバス停の位置は、アウトレットモール内のショップ 「NAUTICA」 と 「Ecko Unltd」 の間の通路を、下車した道路に向かって進み出て、右手に乗車券の自販機と、RTC のポールが立っている場所 (写真右) を見つけたらそこが目的の場所だ。(右下の写真はアウトレットモールのバス停に停車している WAX)
 帰りの所要時間は渋滞がなければ行きと同じ約10分程度。ただし、到着するバス停はニューヨーク・ニューヨークではなく、トロピカーナ・ホテル前のトロピカーナ通り沿いになる。ちなみにこの場所は、MGMグランドやフーターズからは近いが、その他のホテルからはやや遠い。

ラスベガス公営バス WAX  運行の間隔は約1時間ごと。本数は決して多くないので、あらかじめ時刻表で調べておく必要がある。時刻表は RTC の公式サイトで (←クリック) で閲覧可能だ。
 この時刻表を利用する際、週末(土、日、祝日) と平日では見るべきページが異なるので要注意。もちろん Weekends/Holidays と書かれているほうが週末で、Weekdays が平日だ。
 同様に 「方面」 も要注意で、アウトレットへ行く時に乗るバスは North/West Bound 方面、帰りは East/South Bound 方面ということになる。
 見るべきページが決まったら、最後はバス停で、行きは 「Tropicana & Las Vegas Blvd」の欄に出ている時刻を、帰りは 「LV Premium Outlet N / Government Center」 の欄の時刻を読めばよい。
 なお、時刻表から読み取れる所要時間において、それぞれの便で 8〜15分ほど差があるのは、高速道路の渋滞を見込んいるためで、平日の朝夕は15分程度かかると考えたほうがよいだろう。

ラスベガス公営バス WAX  走行区間のほとんどが高速道路であることから、渋滞さえなければ約8キロの距離を8分で結んでしまうこの路線はたしかに魅力的だ。ちなみにストリップを走る SDX (写真右) を利用した場合、距離はほぼ同じでも、30分以上かかってしまう。
 では常に SDX よりも WAX を使うべきかというと必ずしもそうではなさそうだ。SDX はストリップ上を走るのでホテル街にバス停がたくさん存在し乗車の際は便利というメリットがあるが、WAX はストリップをトロピカーナ通りで横切っているため、ホテル街から乗車できるバス停はニューヨーク・ニューヨークの前の一箇所しかないという欠点をかかえている。
 つまりニューヨーク・ニューヨークから離れたホテルに滞在している場合、バス停までかなり歩かなければならない。もちろん徒歩ではなく、DEUCE、SDX、タクシーなどで行く方法もあるが、マンダレイベイ、エクスカリバーなど、ストリップの南端地区にあるホテル以外からは、プレミアム・アウトレット・ノースに対して逆方向 (南方向) に向かうことになるので、そこで無駄にする時間と、高速道路利用の WAX で節約できる時間をトータル的に考える必要があるだろう。
 実際に実験したわけではないが、この WAX が威力を発揮するのはモンテカルロ以南のホテルに滞在している場合に限られ、それよりも北に位置するホテルの場合、徒歩で20分以上歩くことになるので、現実的ではないように思える。
 たとえば日本人に人気のベラージオからの場合、アウトレットがある北とは逆方向のニューヨーク・ニューヨークまで SDX などで 1.5キロほど南下しなければならないことになり、であるならば、乗り換えの時間などを考えると、SDX で始めから北に向かってアウトレットを目指したほうが早そうだ。
 では、買い物好きにとっては、始めからこの WAX の利用を想定してニューヨーク・ニューヨークに泊まるプランを練ると便利かというと、はたしてそれはどうか。ストリップ地区内でのショッピングゾーンは、フォーラムショップスやファッションショーモールなど北側に集中しており、ニューヨーク・ニューヨークからは遠くなってしまう。
 なにやらこの WAX、「急行」、いや 「超特急」 とも言えるほど速いが、意外とクセモノかもしれない。いずれにせよ、フォーラムやメールで情報提供してくれた読者の皆様にはこの場を借りて御礼申し上げたい。



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