週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2012年 05月 16日号
マカオとベガスを結ぶロマンの金環食、観測ベストスポットは?
 今週は、問い合わせが急増している金環日食 (日本では21日の朝、ラスベガス周辺では20日の夕刻) について、観測地点ごとの各種データやマニアックな情報などを中心に集めてみた。(このページに掲載されている写真は、このあと記事内で登場する日食観測スポットに関するもの。クリックで拡大表示)

金環日食、ラスベガス  まずはせっかくの機会なので、日本ではあまり知られていないサロスについて紹介してみたい。
 少々専門的な話になってしまうが、今回の日食のサロス番号は 128番。3回前の出現時には鹿児島県南部を通過しているので、オールド日食ファンにとっては懐かしの128番かもしれない。
 日食を語る上でサロスは欠かせない。台風やハリケーンに号数や名前があるように、日食もサロス番号できちんと整理されている。そして日食の場合、台風とは異なり一度やって来たら二度と来ないというわけではなく、その同じ番号のまま何度も再来するという長い付き合いになるので親近感が湧くばかりか、それぞれのサロスには 「クセ」 もあり、マニアにとっては、まるで生き物かペットのような存在になりやすい。
 ちなみにすべての日食は、太陽、地球、月の動きの周期の公倍数の理論から、一度誕生すると、その後は 6585日 (18年と10日。うるう年の関係で1日長くなることも) ごとに正確に繰り返し発生することになっている。そして約1200〜1500年が経過すると微妙なズレの蓄積から発生できなくなり寿命を終えて消滅する。
 この 「18年と10日後に必ず起こる」 というサロス周期、なぜか日本ではあまり知られていないようだが、紀元前の人も気づいていたという有名な理論で、前述の 「3回前の出現時」 の意味は、18年周期の3回前、つまり 54年前の出来事ということになる。

金環日食、ラスベガス  現在 「存命中」 の日食はサロス117番から156番までの全部で40 (116番まではすでに寿命を終え消滅)。全世界で発生しているすべての日食はこれら40種類のサロスのうちのどれかの 「18年ぶりのしわざ」 ということになり、平均すると年2回程度の頻度で日食が発生していることも、このことからわかるはずだ。
 台風やハリケーンの場合、毎回違う条件で違う形のものが発生するので 「誕生」 や 「消滅」 といった概念もわかりやすいが、日食の 「当事者」 はいつも同じ太陽と地球と月。なぜそこに誕生や消滅やクセが存在し得るのか、サロスの意味は一般的に理解されにくいが、サロスは個々の日食に対する命名ではなく、規則正しく 6585日ごとに発生する 「連続したタイミングのグループに対する名前」 とでも考えるとわかりやすいだろう。
 たとえがあまりいいとは言えないが、時計で、長い針と短い針が重なった瞬間が日食だとすると、12時ちょうど、1時5分ちょっと、2時11分ごろ、と毎日何度も日食が起こることになるわけだが、それぞれの重なるタイミングに対して名前を付けたのがサロスと考えるとわかりやすいかもしれない。

金環日食、ラスベガス  ちなみに今回の 128番はかなり古株で誕生は西暦984年。寿命は西暦2282年までなので、あと270年残っており (あと15回発生)、人間でいえば還暦前後といったところか。
 そしてこの128番のクセは、月の公転軌道が地球からかなり離れているタイミングで太陽と重なる傾向にあるということ。(月の公転軌道は真円ではなくやや楕円のため、地球に近い時と遠い時があり、遠い時は見かけの大きさが小さくなり太陽を完全に隠すことができない)
 そのため生涯を通じて皆既日食になりにくく、これまでの出現のほとんどが金環で、古株でありながら皆既は室町時代に4回しか起こしていない。
 戦国武将がその皆既日食を、そしてそれ以降の金環日食を江戸の武士たちが見たのだろうかと気になり調べてみたところ、NASAのデータによると当時は南半球での発生が多く、この128番は日本とはあまり縁がなかったようだ。残された今後270年もほとんど縁がない。

金環日食、ラスベガス  縁といえば今回の発生は興味深い。香港マカオ付近から始まり、日本を通って太平洋を渡りラスベガス周辺を過ぎたところで終わる。
 偶然とはいえ、世界を代表する2つのカジノ都市が、太平洋を挟んで起点と終点になっているとは、なんともいえない不思議なロマンを感じさせてくれる日食ではないか。
 ちなみに過去も未来も含めたサロス128番の約1300年の長い寿命において、両都市を結ぶ日食はこれが最初で最後。それほどの貴重な1回が、たまたまどちらの都市も繁栄している今の時代に起こるという偶然。そんな天体現象の神秘に思いを馳せながら、砂漠の大地に沈む金環の夕陽を眺めるのも悪くないだろう。
(NASA のこのサイトでは、サロス128番の長い生涯の動きを数秒で見ることが可能。なお、日食にはサロス周期以外に 19年ごとのメトン周期なども存在するが、サロスほどの完璧性や継続性はないので、ここでは無視)

金環日食、ラスベガス  さて、日本でも見られるこの日食をわざわざラスベガスまで来て見ようという日食マニアが少なくない。理由は天候だ。
 日食は、地震、台風、竜巻などとは異なり、秒単位で正確に予測できる数少ない自然現象ではあるが、天候という不確定要因が常に付きまとい、観測者を悩ませる。
 実は筆者もかつては日食マニアで、幸いにも天候に恵まれた皆既も金環も体験しているが、当日の現場の天候は極めて特殊な変化をするので本当にこわい。たとえその日が快晴でも、「その瞬間」 まで油断できないのが日食観測で、太陽が大きく欠け大地に光が届かなくなった瞬間、気温が急低下し、露点に達した大気が一気に雲や霧になり万事休すということがしばしばある。特に湿気が多い地域は要注意だ。
 そんな悪夢を経験しているマニアにとっては、少しでも天候リスクが少ない場所を選ぶのは当然で、わざわざベガスに押しかけるのも無理はない。
 幸いラスベガス周辺地域は晴天率が高いばかりか湿度が低く、さらに今回は、大地の気温がある程度下がっている日没に近い時間帯であることから、突然雲が発生する確率はかなり低いと考えられ、まさに絶好の日食観測エリアといってよいだろう。

金環日食、ラスベガス  もちろんいいことばかりではない。今回のラスベガス周辺での日食は日没直前のため、朝日が昇ってからしばらく経過した日本に比べて仰角 (太陽の高度) が低いという欠点があり、その部分では日本のほうが条件が良いといえそうだ。
 ちなみにラスベガス周辺での仰角は約10度、日本は35度前後。仰角が低いと、光が大気の層を横切る長さが急激に増えることから、大気によるゆらぎや青系の波長の極端な減衰など (空全体がオレンジ色になってしまう) 天体観測に適さなくなるばかりか、鮮明な写真も撮りにくい。さらに、周囲に山や建物があると視界を邪魔されてしまうので、場所探しにも苦労する。

金環日食、ラスベガス  もっとも、マニアではない者にとっては仰角の低さは必ずしも悪くないかもしれない。なんといっても首が疲れない。また、学術的な写真でなければ、地平線など太陽以外の景色も一緒に撮り込んだほうが楽しい写真に仕上がり、色がオレンジに偏ってしまうのも、夕日の情緒が増すと考えればむしろそれは望むところだろう。
 そもそも今回は皆既日食ではなく金環日食。美しさでは負けていないが、皆既に比べ天文学的な価値はかなり限定的で、そこそこのマニアはベガスまで来ても本格的な観測隊などは始めから少ないと予想される。つまり大多数の人にとっては、美しい夕日の金環食を楽しみながらスナップ写真が撮れれば十分のはずで、ならば低い仰角は好条件といえなくもない。
 ちなみに皆既日食の際、専門家たちは、太陽に近すぎ普段はまぶしすぎて観測不能な、水星よりも内側の軌道を回る天体の調査や、コロナ活動、さらには太陽の真裏にある恒星の重力屈折など、さまざまな実験や観測を行う。
 一般の人達にとっても皆既と金環では大きな違いがあることは認識しておくべきだろう。周囲が一気に暗くなり、鳥などの動物があわてだしたり、昼に星が見えてくるような非日常の体験はできない。太陽が少しでも残っている金環食では空も大地もほとんど暗くならず、通常の曇り空より暗くなるようなことはないからだ。そういう意味では、金環食はマニアにとっても一般の人達にとっても、あまり緊張することなくリラックスしながら楽しむ日食といえるだろう。
 なお鑑賞の際に気をつけるべきことは、写真撮影に夢中にならないということ。多くの人たちが写真撮影に気を取られ、肉眼で見て感動することを忘れてしまいがちだが、それは必ず後悔する。インターネットが普及した今の時代、写真はあとからいくらでも見ることができるばかりか、そもそもよほどの望遠レンズがない限り、きれいに撮るのはむずかしいからだ。したがって写真のことは始めから忘れたほうがよい。たった数分間の出来事、自分の目にしっかり焼き付け、一生の思い出に残るような日食体験にしたいものだ。

金環日食、ラスベガス  さて、今回の日食は、ラスベガス市内では日食の中心帯から離れているため部分日食までで、金環日食を見ることはできない。つまりレンタカーなどで郊外に出る必要がある。その距離は最短でも北東方向に約150km。それだけ走らなければならないとなると、場所選びは慎重にならざるをえない。ではどこで見るのがベストなのか。
 それを決めるのはむずかしい。人それぞれ優先したい条件が異なるからだ。もちろん今回の日食は仰角が低い夕方なので、「西側に視界を妨げる山や高い建造物がないこと」 は絶対条件だが、以下のような条件も人によっては気になるところだろう。

  遠くまで行く時間的余裕が無いので、なるべく近くの場所で見たい。
  金環の状態を 1分でも1秒でも長く見たい。
  金環の輪に厚い部分と薄い部分がない綺麗な均等なリングを見たい。
  悪天候のリスクが少しでも低いところがいい。
  大気のゆらぎが少ない状態で見たいので、可能な限り仰角が高い場所がいい。
  ついでに何か他の観光スポットも楽しめるような場所がいい。
  神秘的なシーンを静かに楽しみたいのでまわりに人が少ないほうがいい。
  行き帰りの道路の混雑だけは避けたい。
  駐車場探しで悩むのはイヤだ。

 これら要望を少しでも多く満たすことを条件に、ベストスポットとして選んでみたのがレイチェルだ。正確に言うとレイチェルの少し先の Queen City Summit という峠を超えた地点。駐車場のようなものはないので、375号線から降りて空き地などに車を停めるしかないが、今までいろいろ調べた限りでは、ここがベストと考えたい。以下がその地点の各種データだ。

 観測地  Rachel の先、約22km 地点にある峠 Queen City Summit 
 北緯  37.7660°  西経  115.981° 
 LVからの距離  約 253km 所要時間  約 2 時間 40分 
 中心線から  約 80km 標高  1716m
 金環開始時刻  18 時 31 分 35 秒  太陽の食分  0.949
 金環終了時刻  18 時 35 分 26 秒  太陽の方位  285.3° 
 金環継続時間   3 分 51 秒  太陽の仰角  13.6° 

 北緯と西経はレンタカーのカーナビやグーグルアースなどのためのもので、表示単位は度、分、秒ではなく、すべて度。つまり北緯 37度30分00秒は、37.5000度。
 LVからの距離は、ラスベガスのストリップ地区のホテル街からのだいたいの走行距離で、所要時間は休憩無しで運転した場合の片道の時間。
 中心線からの距離は、日食帯の中心線が走る場所からの距離で、原則としてこれが短いほど金環のリングが偏っていない綺麗な輪に見え、金環継続時間も長くなる。(右下の写真は、中心線から離れた観測地点における金環日食。リングの厚さが均一ではないことがわかる)
金環日食、ラスベガス 開始時刻、終了時刻は、以下に示した他の観測地点のデータも含め、あえてすべてラスベガスの夏時間に統一してあるので、ユタ州など、違う時間帯を採用している地域に行く場合は要注意。
 食分とは、太陽が欠けている程度のことで、ピッタリ全部欠けた場合が 1.000。金環日食では常に 1.000 以下、皆既日食では 1.000 以上。
 方位は、北を0度とした場合の東回りの角度。つまり東が90度、南が180度、西が270度。仰角は、金環食が最大になる瞬間の地平線からの角度。

金環日食、ラスベガス  この場所を選んだ最大の理由は、ここ自体が 1700メートルを超える高地で大気のゆらぎが少なく、西側に障害物がないばかりか、「全米で最も交通量が少ない高速道路」 とされる375号線沿いなので、渋滞の可能性がほとんど無く、駐車にも不便しないと考えたからだ。
 また、以下に示した他の候補地に比べ、中心線に近いため継続時間やリングの形状の条件もよく、3時間以内で行けるという交通の利便性も高い。さらに、UFOマニアの聖地とされる観光スポット 「レイチェル」 や、あの 「エリア51」 に続く 「謎のメールボックス」 に立ち寄ることができるという楽しみもある。そしてなんといっても、だれもいないということ。もしだれかいたら、この記事を読んだ人物である可能性が高い。それほどだれにも邪魔されない静かな観測スポットというわけだが、もしそのような環境を好まない場合は、手前のレイチェルを選べばよいだろう。

 以下の表は、その他の候補地となりえそうな場所や、著名スポットのデータだ。計測ミスや記入ミスなどに関しては責任を持てないので、実際に訪問する場合は各自事前に再確認していただきたい。
 なお、中心線に非常に近いということと、幹線道路の高速15号線沿いでアクセスしやすいという意味では、ユタ州のセントジョージとシーダーシティーの中間地点付近が本来であればベストの候補地となるべきだが、このエリア一帯にはすぐ西側に 2000mを超える山々が連なっており、視界の障害や悪天候のリスクが高いため (観測地点自体は悪天候のリスクが低くても、山頂付近には雲がかかりやすい)、あえて除外した。
 もしこれらの地域をどうしても選ぶ場合は、グーグルアースなどを利用して、観測地点と方位287度の方向 (ほぼ西北西) にある山との高低差、および観測地点とその山までの水平距離を算出し、高低差を水平距離で割った数値が、最低でも、このエリアの仰角11度のタンジェントである 0.19 を下回る必要があるわけだが、山頂付近に雲がかかることを想定すると、高低差に 500メートルほど足すくらいの余裕を持って計算したほうがよいだろう。

 観測地  Rachel 
 北緯  37.6474°  西経  115.7458° 
 LVからの距離  約 230km 所要時間  約 2 時間 30分 
 中心線から  約 85km 標高  1471m
 金環開始時刻  18 時 31 分 47 秒  太陽の食分  0.949
 金環終了時刻  18 時 35 分 35 秒  太陽の方位  285.4° 
 金環継続時間   3 分 48 秒  太陽の仰角  13.3° 
ベストポジションとして推薦した Queen City Summit のすぐ手前。どちらも条件はほとんど同じだが、レイチェルはやや盆地になっているため、峠にある Queen City Summit のほうが西側の視界が広い。駐車場の環境はレイチェルのほうが良い。またレイチェルには、だれもいないということはないので、極端な静寂は好きではないという人はレイチェルを選ぶべき。

 観測地  Brian Head の山頂 
 北緯  37.6820°  西経  112.8301° 
 LVからの距離  約 335km 所要時間  約 3 時間 40分 
 中心線から  約 30km 標高  3450m
 金環開始時刻  18 時 31 分 21秒  太陽の食分  0.961
 金環終了時刻  18 時 35 分 49秒  太陽の方位  287.1° 
 金環継続時間   4 分 28 秒  太陽の仰角  11.1° 
3000m をはるかに超えているのに頂上まで車で行けてしまうという珍しい山。西の空のみならず、360度の大パノラマは視界最高。山頂の天候の急変が最大の不安要因だが晴れていることが多い。高山病が気になる場合は、Brian Head Peak Road に入らず、143号線沿いの場所に残って観測しても問題ない。数日以内に雪が降ったりしていると、しばらく解けずに残るので通常の車両では Brian Head Peak Road に入りにくくなることも。宿泊施設が多い人気スポットなので、ソルトレイクシティー方面からの訪問者による混雑も不安材料だが、こればかりは前例がない出来事なだけに予測不能。意外とガラガラにすいている可能性も。

 観測地  Horseshoe Bend 
 北緯  36.8797°  西経  111.5128° 
 LVからの距離  約 445km 所要時間  約 4 時間 50分 
 中心線から  約 1km 標高  1290m
 金環開始時刻  18 時 32 分 15 秒  太陽の食分  0.967
 金環終了時刻  18 時 36 分 46 秒  太陽の方位  288.1° 
 金環継続時間   4 分 31 秒  太陽の仰角  9.7° 
地理的に遠いのが難点だが、日食中心線のほぼ真下という最高の条件。リングの厚みはほぼ完璧に均一で継続時間も十分。西側は谷底なので上空の視界もワイドオープン。唯一の不安材料は駐車場か。著名観光スポットであるにもかかわらず駐車場が狭いので、車を停める場所で苦労することは必至。路上駐車でなんとかなる可能性も。

 観測地  Monument Valley, The View Hotel 
 北緯  36.9819°  西経  110.1118° 
 LVからの距離  約 649km 所要時間  約 7 時間 10分 
 中心線から  約 65km 標高  1712m
 金環開始時刻  18 時 32 分 09 秒  太陽の食分  0.953
 金環終了時刻  18 時 36 分 16 秒  太陽の方位  288.8° 
 金環継続時間   4 分 07 秒  太陽の仰角  8.7° 
仰角の低さはやや気になるものの、西側は雄大な荒野なのでまったく問題なし。むしろ大地に沈む夕陽という設定を望む者には最高の景色が期待できそう。混雑の度合いは全く読めないが、もし Monument Valley Road の終点まで進入できないような場合は、その途中、もしくは 163号線の路肩駐車で切り抜けるという方法も。

 観測地  Grand Canyon, YAVAPAI Point 
 北緯  36.0660°  西経  112.1175° 
 LVからの距離  約 442km 所要時間  約 4 時間 50分 
 中心線から  約 105km 標高  2155m
 金環開始時刻  18 時 33 分 56 秒  太陽の食分  0.944
 金環終了時刻  18 時 37 分 14 秒  太陽の方位  288.0° 
 金環継続時間   3 分 18 秒  太陽の仰角  9.7° 

 観測地  Grand Canyon, HOPI Point 
 北緯  36.074°  西経  112.155° 
 LVからの距離  約 446km 所要時間  約 5 時間 10分 
 中心線から  約 106km 標高  2150m
 金環開始時刻  18 時 33 分 56 秒  太陽の食分  0.944
 金環終了時刻  18 時 37 分 13 秒  太陽の方位  288.0° 
 金環継続時間   3 分 17 秒  太陽の仰角  9.7° 

 観測地  Grand Canyon, PIMA Point 
 北緯  36.0717°  西経  112.2004° 
 LVからの距離  約 453km 所要時間  約 5 時間 20分 
 中心線から  約 107km 標高  2065m
 金環開始時刻  18 時 33 分 59 秒  太陽の食分  0.944
 金環終了時刻  18 時 37 分 12 秒  太陽の方位  288.0° 
 金環継続時間   3 分 13 秒  太陽の仰角  9.8° 

 観測地  Grand Canyon, DESERT VIEW 
 北緯  36.0442°  西経  111.8249° 
 LVからの距離  約 474km 所要時間  約 5 時間 20分 
 中心線から  約 95km 標高  2277m
 金環開始時刻  18 時 33 分 49 秒  太陽の食分  0.946
 金環終了時刻  18 時 37 分 21 秒  太陽の方位  288.2° 
 金環継続時間   3 分 32 秒  太陽の仰角  9.5° 
ただでさえ混雑しているこの時期のグランドキャニオン。金環食目当ての人たちでごった返すことは必至。とりあえず、太陽方向となる西北西側に障害物がない候補地4ヶ所をピックアップしてみたが、どこも混雑が予想され、特に、国立公園内に入ってからすぐのビューポイントとなるヤバパイはひどそう。一般の自家用車ではアクセスできず国立公園管理当局が運行するシャトルで行くしかないホピポイントは駐車場の心配はないが、夕陽スポットとして普段から人気があり、やはりひどい混雑が予想されるので、ピマポイントまで行ったほうがよいだろう。そういう意味では、やや遠いもののデザートビューが消去法で残ることになるが、前例のないイベントなだけに駐車場の混雑度はまったく読めない。なお、一般観光客に最も馴染みがあるブライトエンゼルポイントとマーサーポイントは、混雑の問題とは別に、西北西側の視界が悪いので候補から外した。

 観測地  Area-51 近くの White Mail Box 
 北緯  37.4570°  西経  115.4829° 
 LVからの距離  約 214km 所要時間  約 2 時間 20分 
 中心線から  約 93km 標高  1381m
 金環開始時刻  18 時 32 分 08 秒  太陽の食分  0.947
 金環終了時刻  18 時 35 分 44 秒  太陽の方位  285.7° 
 金環継続時間   3 分 36 秒  太陽の仰角  13.0° 
UFOマニアの間では世界的に有名な 「ホワイトメールボックス」 (かつては 「ブラックメールボックス」 だった)。混雑や駐車場の心配がなく、比較的近いという意味ではここは重要な候補地。ちなみに、ホワイトメールボックスは 「全米で最も交通量が少ない高速道路」 とされる375号線沿と Mail Box Road の交差点に位置しているわけだが、Mail Box Road は交通量が限りなくゼロに近く路上駐車が可能なので、他の候補地にあるような不便はまったくないはず。これだけ条件がそろっていると、ナンバーワンに推薦した Queen City Summit まで行く必要はないが、こちらのほうが人出が多い可能性があるので、静寂な雰囲気の中で鑑賞したい者は、やはり Queen City Summit まで行ったほうがいいだろう。

 観測地  Ash Springs 
 北緯  37.4626°  西経  115.1936° 
 LVからの距離  約 172km 所要時間  約 1 時間 40分 
 中心線から  約 85km 標高  1105m
 金環開始時刻  18 時 32 分 00 秒  太陽の食分  0.949
 金環終了時刻  18 時 35 分 51 秒  太陽の方位  285.8° 
 金環継続時間   3 分 51 秒  太陽の仰角  12.8° 
ラスベガスから比較的近く、魚と戯れながら温泉に入ったついでに日食鑑賞ができるという魅力的なスポット (この温泉に関しては、週刊ラスベガスニュース 646号に掲載)。なお約15kmほど離れた西北西の方向に2000m級の山脈があり、簡単に計算してみたところ、その山頂付近は仰角にして4〜5度程度あるので、太陽との角度差は8度前後になる。山も一緒に写り込ませた写真を撮るには好都合だが、山頂に雲がかかるというリスクが少し気になる。したがって、まずはここまで行って、山頂付近の天候が悪そうだった場合は、その先 40分ほどのところにあるホワイトメールボックスに移動するとよい。

 観測地  Wolf Creek Golf Club 
 北緯  36.8295°  西経  114.0598° 
 LVからの距離  約 139km 所要時間  約 1時間 25分 
 中心線から  約 105km 標高  575m
 金環開始時刻  18 時 33 分 04 秒  太陽の食分  0.945
 金環終了時刻  18 時 36 分 26 秒  太陽の方位  286.7° 
 金環継続時間   3 分 22 秒  太陽の仰角  11.6° 
日食のためだけにわざわざ遠くまで行きたくないという人で、なおかつゴルフ好きには最高のスポット。ラスベガス周辺地域で最高レベルの人気を誇るウルフクリークゴルフクラブでプレーしたあと、そのまま日食鑑賞が可能。他の候補地に比べ近い割に、3分22秒という継続時間が確保されているのはうれしい。このゴルフコースのクラブハウス前は、周囲に比べやや高台になっているため、この町に住む地元民などで混雑する可能性もあるが、すぐとなりにある空港に沿った道路は駐車スペースも十分なので特に大きな問題にはならないだろう。ちなみにゴルフプレーの予約は、5月15日の時点ではまだ可能。

 観測地  Coyote Springs 
 北緯  36.7989°  西経  114.9246° 
 LVからの距離  約 94km 所要時間  約 1時間 00分 
 中心線から  約 130km 標高  708m
 金環開始時刻  18 時 33 分 54 秒  太陽の食分  0.937
 金環終了時刻  18 時 35 分 43 秒  太陽の方位  286.2° 
 金環継続時間   1 分 49 秒  太陽の仰角  12.2° 
「とにかく遠くまで行くのはイヤだ」 という人に最適なのがここコヨーテスプリングス。とりあえず 1分49秒の継続時間が確保されているのでそれなりに楽しめるはずだ。ちなみにこの場所は、雄大な荒野の中にゴルフコースがポツリとあるだけなので (もともとは大規模な住宅開発をする予定だったが、リーマンショックで、ゴルフコースが完成した直後にプロジェクトが頓挫)、ゴルフをプレーするしないにかかわらず、コヨーテスプリングス・ゴルフクラブ (旧 チェース・ゴルフクラブ) の敷地周辺で鑑賞することになる。駐車スペースは路上駐車も含めてほぼ無限大にあるので心配無用。プレーの予約は、5月15日の時点ではまだ可能。

 さて、この日にラスベガスに滞在予定がないにもかかわらず、ここまで読んで頂いた読者がいたとしたら、それは大変ありがたいことなので、役に立つかどうかわからないが、感謝の気持を込めて、日本のメディアにはあまり掲載されていないのではないかと思われるピンポイントのデータを集めてみた。
 ちなみに日本における今回の日食帯は太平洋側を走っており、それも首都圏が中心。したがって日本海側や西日本は条件が悪く、主要都市では、名古屋はまずまずだが、大阪は中心帯からかなり離れており、京都と神戸はなんとかぎりぎりセーフといったところ。残念ながら広島、福岡、仙台、札幌などはまったくダメ (単なる部分日食)。
 一方、首都圏は絶好調だ。中心帯は神奈川県厚木市から川崎市、そして東京都品川区や港区、さらには千葉県市川市と、人口密集地のど真ん中を横切っており、数百年に一度あるかないかの好条件といってよいだろう。
 そのようなわけで、関西圏の読者向けに、「あそこならどの程度見られるのか」 という情報として、主要駅前でのデータを、そして、どこからでも好条件で見ることができる首都圏の読者向けに、「完璧な真円のリングを 1分1秒でも長く最高の条件で見るにはどこがベストか」 という情報として、日食帯直下にある主要駅前のデータを以下に示してみた。関西圏の人はとにかく 1km でも 2km でも可能な限り南東方向の場所に移動すると条件が良くなるということを覚えておくとよいだろう。首都圏の人は、「5分を超える金環食との遭遇は生涯最初で最後」 という気持ちで臨みたい。感動もひとしおのはずだ。

 観測地  神戸、三宮駅  (中心線から 140km) 
 北緯  34.6937°  東経  135.1943° 
 金環開始時刻  7 時 28 分 46 秒  太陽の食分  0.940
 金環終了時刻  7 時 30 分 34 秒  太陽の方位  85.3° 
 金環継続時間   1 分 48 秒  太陽の仰角  30.3° 

 観測地  大阪、梅田駅  (中心線から 125km) 
 北緯  34.7034°  東経  135.4975° 
 金環開始時刻  7 時 28 分 30 秒  太陽の食分  0.943
 金環終了時刻  7 時 31 分 13 秒  太陽の方位  85.5° 
 金環継続時間   2 分 43 秒  太陽の仰角  30.5° 

 観測地  京都駅  (中心線から 140km) 
 北緯  34.9853°  東経  135.7581° 
 金環開始時刻  7 時 29 分 38 秒  太陽の食分  0.940
 金環終了時刻  7 時 31 分 25 秒  太陽の方位  85.9° 
 金環継続時間   1 分 47 秒  太陽の仰角  30.9° 

 観測地  名古屋駅  (中心線から 97km) 
 北緯  35.1704°  東経  136.882° 
 金環開始時刻  7 時 29 分 44 秒  太陽の食分  0.949
 金環終了時刻  7 時 33 分 24 秒  太陽の方位  86.7° 
 金環継続時間   3 分 40 秒  太陽の仰角  32.1° 

以下は中心線直下の場所。継続時間が最長で、完璧な真円のリングが期待できる。
 観測地  神奈川県厚木市、小田急線本厚木駅 
 北緯  35.4385°  東経  139.3642° 
 金環開始時刻  7 時 31 分 16 秒  太陽の食分  0.969
 金環終了時刻  7 時 36 分 20 秒  太陽の方位  88.6° 
 金環継続時間   5 分 4 秒  太陽の仰角  34.6° 

 観測地  神奈川県横浜市、JR横浜線 中山駅 
 北緯  35.5147°  東経  139.5395° 
 金環開始時刻  7 時 31 分 32 秒  太陽の食分  0.970
 金環終了時刻  7 時 36 分 37 秒  太陽の方位  88.8° 
 金環継続時間   5 分 4 秒  太陽の仰角  34.8° 

 観測地  神奈川県川崎市、JR & 東急東横線 武蔵小杉駅 
 北緯  35.5757°  東経  139.6596° 
 金環開始時刻  7 時 31 分 45 秒  太陽の食分  0.970
 金環終了時刻  7 時 36 分 49 秒  太陽の方位  88.9° 
 金環継続時間   5 分 4 秒  太陽の仰角  34.9° 

 観測地  東京都港区 JR 品川駅 
 北緯  35.6285°  東経  139.739° 
 金環開始時刻  7 時 31 分 54 秒  太陽の食分  0.969
 金環終了時刻  7 時 36 分 58 秒  太陽の方位  89.0° 
 金環継続時間   5 分 4 秒  太陽の仰角  35.0° 

 観測地  東京都江戸川区 都営地下鉄新宿線 船堀駅 
 北緯  35.6837°  東経  139.8638° 
 金環開始時刻  7 時 32 分 06 秒  太陽の食分  0.970
 金環終了時刻  7 時 37 分 11 秒  太陽の方位  89.2° 
 金環継続時間   5 分 5 秒  太陽の仰角  35.1° 

 観測地  千葉県 市川市 JR総武本線 本八幡駅 
 北緯  35.7206°  東経  139.9278° 
 金環開始時刻  7 時 32 分 13 秒  太陽の食分  0.970
 金環終了時刻  7 時 37 分 18 秒  太陽の方位  89.2° 
 金環継続時間   5 分 5 秒  太陽の仰角  35.2° 



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