週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2012年 04月 11日号
「ダルビッシュ先発、5回の裏まで」 の条件付きで賭けてみよう
スポーツブック  今年もいよいよ本格的な春が到来し、日米で野球シーズンが始まった。
 日本でもアメリカでもダルビッシュの話題にこと欠かない毎日だが、ここラスベガスでは、スロットマシンやルーレットなどと並び、スポーツの試合結果にも賭けられることはだれもが知るところ。
 今週は、大リーグ野球への賭けについてふれてみたい。
(右上の写真は、ダルビッシュなど、先発投手名や賭け率を示した電光掲示板。4月9日のコスモポリタン・ホテルにおけるもので、これらの数値は各ホテルによって微妙に異なるのが普通)

スポーツブック  スポーツへの賭けは 「スポーツブック」 というセクション (写真右、クリックで拡大) でおこなう。
 カジノフロアの一角にあり、大小さまざまなテレビ画面や電光掲示板が目立つので、カジノに行けば簡単に見つかるはずだ。
 ギャンブルに 「健全」 という言葉は似合わないが、スポーツへの賭けは、他のカジノゲームと比べると健全かもしれない。一度賭けたらあとは試合を観戦するだけで、負けを取り返そうと熱くなり次から次へと大金をつぎ込んでしまうようなことが少ないからだ。
 ただ、スポーツへの賭けは、滞在期間が短い一般の観光客にとってタイミング的に参加しにくいのも事実。
 たとえば、ワールドカップサッカーや大リーグ野球の優勝チームを当てる賭けなどの場合、賭けてから結果が出るまでの日数が長く、的中しても滞在期間中に払い戻しを受けられないといった問題に直面する (郵送による払い戻しという方法もあるが、換金手続きなどがわずらわしい)。また、スーパーボウルやボクシングのタイトルマッチなどでは、試合そのものが滞在期間と一致する可能性が少ない。
 そういう意味では、毎日おこなわれている日々のレギュラーゲームへの賭けが一般観光客には向いており、特に今のシーズンは大リーグ野球、とりわけ好きな日本人選手が出場するチームへの賭けは最適といえるのではないか。ゴールデンウイークも夏休みも、滞在期間中に日本人選手が出場する試合が必ず行われるはずだ。結果もその日のうちに出る。ぜひトライしてみよう。

スポーツブック  野球の試合への賭けは、それ自体は非常に簡単だが、初めての人にとっては払い戻し倍率などの表示がわかりにくいかもしれない。
 一般的にゴルフの試合やワールドカップサッカーの勝者を当てる賭けなどの場合、3倍、5倍といった倍率で表示され、またフットボールやバスケットボールの場合、得点のハンデの元でどちらが勝つかを当てるだけなのでわかりやすいが (他の賭け方も存在するが)、野球の場合、得点差が少ないスポーツということもあり、伝統的に得点によるハンデではなく、払い戻し倍率の差を、賭け金の増減など特種な表現方法で表示するのが普通で、これが初心者にはなんともわかりにくい。以下、初心者にもわかりやすく基本ルールを書いてみた。

スポーツブック  スポーツブックの現場の表示において直接目にする機会はそれほど多くない単語だが、まずは重要な用語として、フェイバリット (favorite) と アンダードッグ (underdog) を覚えておきたい。
 強いと見なされている側、つまり、勝ちそうだと思われているチームや選手がフェイバリット、逆がアンダードッグだ。
 そしてスポーツブックの現場では、フェイバリットをマイナスの印で、そしてアンダードッグをプラスの印で表すことになっている。このプラスやマイナスには、数量の大小など、数学的な記号としての意味はまったくない。単なる印だと考えればよい。
 したがって右上の写真 (4月9日、ベラージオホテル) では、ダルビッシュが先発するレンジャースがフェイバリット、マリナーズがアンダードッグということになる。
 ホワイトソックス 対 インディアンズのように、どちらもマイナスになっている対戦は、両チームの戦力が互角に近いと理解すればよい。(エンゼルスとツインズはすでに試合が始まっており、3回の表までのイニングごとのスコアが表示されている)
 さて次に、その記号のあとに続く数字についてだが、プラスの記号が付いた弱いとされるアンダードッグチームの数字は、「100ドルを賭けて的中すると (そのチームが試合に勝つと)、その金額を受け取ることができる」 ということを意味する。言い換えれば、「100ドルを賭けて勝った場合の利益の額」 ということになり、この写真の例ではマリナーズに 100ドル賭けて実際にマリナーズが試合に勝った場合、185ドルを受け取れる。つまり賭け金も含めれば 285ドル払い戻されることになる。
 では、レンジャーズに 100ドル賭けて的中すると 225ドル受け取れるのか…。そんなはずはない。勝ちそうなチームのほうが払い戻し倍率が高いわけがなく、フェイバリット側の数字の読み方はまったく異なる。
 マイナス記号に続く数字は、「100ドル勝ちたかったらその金額を賭けなさい」 という意味だ。つまりこの右上の写真の例では、レンジャーズに 225ドル賭けて的中した場合、100ドルの利益と 225ドルの元金、合わせて 325ドル受け取れることになる。かなり倍率は悪いが、それだけダルビッシュの評価が高いということで、彼のファンとしては喜ばしいことだろう。
 参考までに、マイナスで表示されるフェイバリットの数値の絶対値 A から、日本的な表示の払い戻し倍率 B を求める計算式は、 B = (100 / A)+ 1 で、今回のこのベラージオホテルの数値におけるレンジャーズは 1.44倍ということになる。日本の競馬で言えば 144円といったところか。なおアンダードッグの数値の場合は倍率そのままなので計算式で換算するまでもない。

スポーツブック  以上で数字の意味はわかった。あとはスポーツブックの窓口に出向き、賭け金の額とチーム名を告げるだけだ。その場でチケット (日本の競馬などで言うところの投票券) を発行してもらえる。
 英語が苦手でも、ためらう必要はない。賭け金はその金額ピッタリのドル紙幣を用意して差し出せばわかってもらえるし、チーム名も整理番号を告げるだけなのでむずかしいことは何もない。ちなみにその整理番号は、チーム名、先発投手名、倍率などが示されている行の一番左端に示されており、右上の写真の例では (4月9日、サンセットステーションでの数値。ここでは -225 ではなく -240 になっている)、レンジャーズに賭けたい場合、赤い数字の 922 がその番号に相当する。したがって、「ナイン、トゥー、トゥー」 もしくは 「ナイン トゥエンティー トゥー」 などと言いながら、240ドルを差し出せばすべて完了だ。それすら言うのが嫌ならば、紙切れに 「$240 on 922」 とでも書いて手渡せばよい。
 なお最低賭金は、多くのカジノで 10ドルとなっているので、240ドルも賭ける必要はまったくない。ただ、中途半端な数字になってもスッキリしないし、的中した場合、半端が切り捨てられてももったいないので、この例でレンジャーズに賭けるとしたら 24ドルの倍数の金額で賭けるとよいだろう。

スポーツブック  さて、「ダルビッシュが投げるならば」 という思いで賭けたあと、試合直前の練習でなどで肩を痛めて彼が投げないことになった、という可能性もまったくないわけではない。(右の写真はプラネットハリウッドでの数値)
 また同様に、応援している選手じゃなくても、最強のピッチャーが投げるということで、払い戻し倍率が低いにも関わらず大金を賭けたりしたあと、そのピッチャーが投げずに弱いピッチャーが代わりに登板ということもあり得るだろう。特に後者のケースでは、試合に勝つ確率が激減してしまうので本当に困る。そんなことは絶対に避けたい。
 でも心配する必要はない。そのような事態を避けるために、「ピッチャー限定」 という条件付きの賭けも選べる。つまり、「ダルビッシュが先発登板する」 という前提での投票だ。ダルビッシュが登板しなければ、賭けは不成立となり、そのまま払い戻される。
 ちなみにピッチャー限定を選んでも配当倍率が変わることは原則としてほとんどない。なぜなら、そもそも掲示されている倍率は、そのピッチャーが投げることを想定しての数値で、予告先発が変わることなどあまりないからだ。
 ということで、もしレンジャーズを応援しているのではなくてダルビッシュを応援して賭けるのであれば、ピッチャー限定を選ぶべきだろう。その場合、窓口で 「I bet on Darvish, please put his name on the ticket」 とか言えばわかってもらえる。
 なお、このピッチャー限定は、相手チームのピッチャーに関しても指定できるので、そのようにしても何ら問題ないが、一般論としてはあまりおすすめしない。
 なぜなら、せっかくダルビッシュが投げてレンジャーズが勝ったにもかかわらず、相手の予告先発投手が故障で登板しなかった場合、賭けが成立しないのは残念だということもさることながら (もちろん逆にレンジャーズが負けて、賭けが成立せずに救われることもあり得る)、予告先発が登板できないケースでは、緊急でリリーフ投手を先発させたり、準備が不十分の翌日の投手を繰り上げ登板させたりすることになりやすく、往々にして戦力が落ちるのが普通だからだ。相手チームの戦力低下の可能性を、賭けから排除する理由などどこにもないだろう。

スポーツブック  応援するピッチャーに賭けて、はがゆい思いをする状況は他にもある。こんどは先発しなかったという話ではない。
 予定通りきちんと先発し、相手チームを完全に抑えたにもかかわらず、途中からベンチに引っ込み、後続のリリーフ投手陣が打ち込まれて逆転負け、というケースだ。
 肩を痛めて次回の登板に悪影響が出たりしないよう、好投しているピッチャーでも完投させずに 100球前後で交代させてしまうことが多い大リーグでは、日本と比べて完投が少なく、そのような逆転負けはしばしばあるわけだが、先発投手を応援して賭けた者にとってはたまったものではない。
 スポーツブックでは、そのような事態を避けるオプションもちゃんと用意されているのでありがたい。「5回の裏を終わった時点でどっちのチームが勝っているか」 を当てる賭けだ。これならば、好投しているピッチャーが5回を投げ切らずに交代することはまずありえないので、はがゆい思いをすることはない。
 これに賭ける場合の投票方法は、「ピッチャー限定」 よりももっと簡単で、まったく英語を話す必要がない。通常の賭け (9イニングもしくは延長戦でのゲーム結果) の配当を示す電光掲示のすぐとなりに、「1st 5 Full Innings」 (最初の5イニングの裏まで) などと書かれた配当の一覧表が掲示されているので、その整理番号を告げるだけだ。
 右上の写真 (4月9日、旧ラスベガスヒルトンの LVH) の拡大表示における整理番号 1022 がまさにその賭けで、これにしておけば、5回の裏の終了時点でレンジャーズがリードしている限り、たとえそのあと逆転されても賭けは勝ちとなる。
 配当倍率は、原則として 9イニングの場合とほとんど差がないのが普通で、あったとしてもごくわずかだ。
 これは余談だが、興味深いことに、この拡大写真の数値では、5イニングのほうがレンジャーズのフェイバリットの度合いが、-235 から -220 へと、わずかながら弱まっていることが読み取れる。これは、ダルビッシュが投げている可能性が高い前半のほうが、リリーフ陣が投げているであろう後半よりも戦力的に弱いとカジノ側が読んだのか、それともただ単に 9回まで勝負を続けたほうがレンジャースの強さがより確実に現れるというだけのことか、はたまた誰かが巨額を 「5回まで、マリナーズ」 に賭けたことによる片寄りを修正するための倍率調整なのか。いずれにせよ、これら数値は刻々と変わる可能性があるということだけは頭に入れておきたい。
 なお、この拡大写真の中で、配当倍率を示す数字の横に、7.5 とか 9.5 とか表示されているのは、両チームの合計得点がこれよりも上か下かなどを当てる賭けなので無視してかまわない。

スポーツブック  以上のことをまとめて、実際にダルビッシュのレンジャーズにピッチャー限定で、ただしマリナーズ側のピッチャーは限定せずに、ベラージオホテルのカジノで 225ドルを賭けた場合、どうなるのか。チケットの現物は右の写真のようになる。
 ダルビッシュの名前がちゃんと明記されている一方、マリナーズ側の投手名は書かれていないことがわかる。
 なお書かれている内容に間違いがあった場合は、窓口を離れる前に訂正を申し出なければならないので、その場でしっかり確認するようにしたい。
 確認が済んだら、あとは現場でテレビ観戦を楽しむだけだ。結果が出たらすぐに窓口で換金可能。換金はチケットを差し出すだけで、なんの会話の必要もない。

 最後に、このページに掲載した配当倍率が写っている写真は上から順にコスモポリタン、ベラージオ、サンセットステーション、プラネットハリウッド、LVH の各カジノホテルのものだが、すべて微妙に異なっていることがわかる。たとえばレンジャーズに賭ける場合、ベラージオ (MGM系列) の -225 はいい数字だが、マリナーズに賭ける場合の +185 は他に比べて悪い。逆に、プラネットハリウッド (シーザーズ系列) のマリナーズ +200 は良心的で、LVH の +215 はさらに良い。
 このように差は少なくないので、大金を賭ける場合はいろいろなカジノホテルをチェックしたほうがよいだろう。ただ、少額の場合は時間の無駄のほうが重要になってくるので、最寄りのホテルで決めてしまう割り切りも必要だ。
 それにしても、マイナスの数字が 200を超えていたのは、この日の試合に限ってはレンジャースだけだった。ダルビッシュがいかに高く評価されているかがうかがえる。故障することなくシーズンを通して活躍してくれることを祈りたい。



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