週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2012年 04月 04日号
「モブ・アトラクション」 の復活で 「博物館」 とバトル勃発
Mob Attraction  このたびトロピカーナホテルの 「モブ・アトラクション」 (MOB Attraction) が復活した。マフィアをテーマにしたアトラクション施設だ。
 復活ということは、かつて存在していたことを意味するが、それはわずか1年前のこの週刊ニュース第741号で紹介した MOB Experience。
 集客難に陥り、すぐに閉鎖され、主催企業は倒産。施設を引き継いだ新オーナーが内容を見直し、名称も少し変えて再出発したというわけだ。

Mob Attraction  この施設の内容にふれる前に、2月末の第788号で取り上げたダウンタウン地区の 「マフィア博物館」 との関係を説明しておく必要があるだろう。
 そのダウンタウン地区のマフィア博物館と今回復活した施設との間には、なんら経営上の関係はない。そもそも前者は公営、後者は民営だ。地区も異なる。
 しかし内容においては重複している部分があり、共倒れを懸念する声は少なくない。地元メディアの報道などによると、どちらも有料のため、よほどのマニアックな者を除けば、両方の施設を訪れる観光客は少なく、すでに客の奪い合いが始まっているという。まさにマフィアの抗争のごとく、集客バトルは激しさを増しそうだ。

Mob Attraction  ということで現在ラスベガスには2つのマフィア関連施設が存在するわけだが、今週はその復活した 「モブ・アトラクション」 (MOB Attraction) を紹介してみたい。
 基本的には倒産前と大きく変わった部分はないように見受けられる。つまり、内容的には、かつてラスベガスで暗躍していたマフィアの史実を紹介する博物館と考えればよい。ただ、館内の巡回通路の前半部分において、遊び心あふれるインタラクティブ形式のアトラクションが用意されているところが 「マフィア博物館」 とは異なる大きな特徴で、その部分は民営ならではの演出といったところか。全体として、アトラクション部分と展示部分のバランスがよく、以前よりもうまくまとまっているように感じる。

Mob Attraction  場所は昨年までとまったく同じで、トロピカーナホテルの中庭を連絡通路で渡って右側に下りたところ。
 入口の前にチケット売り場がある。入館料は一般が $25、ネバダ州の市民 (運転免許証などの提示が必要) が $22、6〜17才の子供が $15。6才未満は無料。開館時間は 10am 〜 9pm。
 チケット購入時に、名前などいろいろ聞かれるが、これはこのあとのインタラクティブなアトラクションで必要になる小道具のひとつの身分証明 (禁酒法時代に入国した永住者に発行された永住許可証) を作るためのものなので、拒否してはいけない。
 チケットを手にして館内に入ると、まずはいきなり写真撮影。当時の移民が必ず通過しなければならないニューヨークのエリス島の入国審査という設定だ。ここで撮影された写真は、みやげ用の記念写真としてあとで販売されるだけでなく、アトラクションで使われる身分証明の制作に必要なものなので、買う予定がないからといって拒否してはならない。笑った顔やふざけた顔など、いろいろなポーズを取らされるが、ここは馬鹿になってそれなりのポーズを取ろう。

Mob Attraction  次に通される部屋は、禁酒法時代にマフィアが密造酒を造っていた秘密工場という設定。そこにいる怪しい人物から、「左の奥にあるドアをノックせよ」と指示される。
 指示に従いそのドアをノックするとマフィアらしき人物が出てきて、100ドル紙幣(もちろん、おもちゃの紙幣) が数枚入った封筒を手渡される。「この封筒のことは誰に聞かれても何も言うな。とにかくこの先のカフェのところにいる◯◯氏に手渡せ」 と命令される。
 そのまま通路を進むと、たしかにカフェにそれらしき人物が。その人物に封筒を手渡すと、「あっちは警察署だ。あいつらはこっちを監視しているので、警官に何か聞かれても、封筒のことは絶対にしゃべるな」 と物騒な指示。
 案の定、警官に声をかけられる。「あまえは指名手配されている」 などと言われ尋問を受けることに。あれをやっただろう、これをやっただろう、と言われても、ここではとにかくすべてを否定して、なんとか釈放してもらうことを目指す。

Mob Attraction  違法カジノという設定の部屋に入ると、3D映像による当時のフラミンゴホテルなどをバックにした解説が。内容は割愛するが、そのラストシーンでフラミンゴホテルが粉々になって消えるハイテク演出は必見。
 その次は当時のラスベガスの新聞社 Las Vegas SUN (今も実存) のオフィス。マフィアが絡んだいろいろな事件のニュース記事が掲示されているので、マニアにとっては興味深いはずだ。
 さらにアトラクションは続き、「Continue This Way」 と書かれたドアの方向に進んでいくと、カジノの監視カメラルームに入る。数台のモニターに、イカサマをやっている客のプレーの様子が。
 次の部屋は、警備員が捕まえてきたイカサマ客を裁く場所。ここでのことを理解するためには、実話に基づく映画 「カジノ」 (1995年、ユニバーサル映画、マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デニーロ主演) をぜひ観ておくことをお勧めする。
 その映画のワンシーンのごとく、そこに登場する役者から、「こいつをどのように拷問するか、お前が決めろ。バットなどで殴るか、二度とギャンブルできないように指をハンマーで叩きつぶすか、砂漠に穴を掘って埋めるか」 などと聞かれるので、どれかを選ぶ。選んだあとのことは見てからのお楽しみということにしておきたい。

Mob Attraction  最後は、カジノのキャッシャーの奥の部屋を再現した場所を通過して、さまざまな資料を展示しているセクションに。ここでは、初期のラスベガスから今日のラスベガスに至るまでの映像や物品が展示されている。
 目を引くのは砂漠の中での原爆実験の映像、過去のカジノホテルの爆破解体シーン、時代別のホテルの分布状況を示した地図、各マフィアのプロフィールなどで、それらの多くがタッチパネルを使ったインタラクティブ形式の演出になっているところがすばらしい。
 さらに、ベンジャミン・シーゲル、フランク・ローゼンタール、アンソニー・スピロトロ、マイヤー・ランスキー、ミッキー・コーエンなどの大物マフィアに関しては個別の展示スペースが用意されている。
 それらの展示を見て気付いたことは、「マフィア博物館」と比べて、銃殺された死体などのグロテスクな写真の展示がほとんどないという部分で、張り詰めた緊張感のようなものは少ないが、その種の写真や映像を見ることを望まない者にとっては気軽に楽しめるかもしれない。
 最後は、「お前たちはちゃんとしていたから、銃声が聞こえるあっちの拷問の部屋ではなくて、こっちの部屋から出て帰ってよい」 と役者に扮した現場スタッフに言われる。
 が、なんとその部屋では…。この最後の部分がハイライトで、これはだれもが驚くはずだ。これも見てからのお楽しみということで。



バックナンバーリストへもどる