週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2012年 03月 21日号
一流マジシャンが大集合、プラザホテルの Avant Garde
アバンギャルド、Avant Garde  世界的に活躍する一流マジシャンなど、5組のパフォーマーが登場するというゴージャスな顔ぶれのマジックショー 「Avant Garde」 が、先月14日からダウンタウン地区のプラザホテルで始まった。
 今週はその話題をごく普通に取り上げる予定だったが、昨日になって突如、状況が急変したので、まずはそのお詫びというか補足説明から書かせて頂きたい。

 通常この週刊ラスベガスニュースは、遅くとも発行日の数日前までに取材を終え、発行日に間に合うように記事にし、そして必要に応じて発行日の前日か当日、記述に誤りがないか、もしくは状況に変更がないかなどを再度確認する。今週も、そこまではいつもと同じだった。
 「だった」 ということは、その先はいつもと同じではなかったわけだが、当地時間の3月20日、このマジックショーの主催者側に、公演時刻や料金などに変更がないか最終確認のための電話をすると、なんと、「今週はすべて休演になりそうだ」 とのこと。
 その緊急事態に対して、このショーの主役的存在の世界的マジシャン、ケビン・ジェームスとジュリアナ・チェン、さらにマーケティング・マネージャーの3人がプラザホテルの劇場で会議を開くというので、さっそく現場に急行。午後3時、シーンと静まり返った劇場の客席フロアの中央付近で3人が話し合っているところに一瞬だけ同席させてもらい事情を聞いた。
 結論だけ簡単に書くと、理由はともかく、今週は公演をやらないことに決定したという。来週も微妙だが、再来週にはなんとか再開できそうで、会場も昨日までと同じプラザホテルになるはずだ、とのこと。
 やや歯切れが悪く、再開の時期や会場に不安が残るものの、今さら他の記事に変更するのもむずかしいので、「再来週には再開」 の言葉をそのまま信じ、このショーを予定通り紹介することとした。
 したがって以下は、昨日までに書いた記事をそのまま掲載しており、今回の騒動については一切ふれていない。そのような条件付きの記事なので、来週もしくは再来週以降にラスベガスを訪問する予定で、このショーに興味がある場合は、そのつどオフィシャルサイト avantgardelasvegas.com などで最新情報を確認するようにして頂きたい。ひょっとすると、プラザホテル以外でやることになっているかもしれない。
(以下、昨日までに書かれた記事)

アバンギャルド、Avant Garde  2月14日、ダウンタウン地区のプラザホテルでマジックショー 「Avant Garde」 (アバンギャルド) が始まった。
 場所が、日本人観光客の大多数が滞在するストリップ地区ではないことと、会場がかなり老朽化しているなど、気になる点も多少あるが、世界的なマジシャンも含めて5人もの役者が登場するなど、他に類を見ない充実した内容なので、マジックファンはもちろんのこと、そうでない人にとっても、決して観て後悔するようなショーではないはずだ。

アバンギャルド、Avant Garde  一般的に、ラスベガスで行なわれているマジックショーのほとんどは、主役となるそのマジシャンのワンマンショーで、複数のマジシャンが出て来ることはまずない。幕間にダンサーやコメディアンなどが登場することはあっても、マジックを演じるのはあくまでも主役のマジシャンだけだ。
 そしてどんなスターマジシャンでも、得意とする演目の数には限りがあり、結果的にワンマンショーの場合、たとえ不本意でも、持ち時間を埋めるために平凡なありふれたマジックもやらざるを得ないのが現状だ。たとえば、豪快なイリュージョンを得意とするマジシャンが、1ドル紙幣を手の中でいじくりながら100ドル紙幣に変えるようなちまちましたマジックをやるのはその典型といっていいだろう。
 一方、この Avant Garde はそうではない。一流マジシャンが複数登場し、それぞれが最も得意とする看板マジックだけを披露する。中身が濃く、観ていて飽きない。
 なお登場するマジシャンの顔ぶれは、それぞれの休暇や海外遠征スケジュールなどの都合もあり、公演日によって多少変化することはあるが、「看板の2人」 とも言えるケビン・ジェームスとジュリアナ・チェンは、毎日出演すると考えてよい。

アバンギャルド、Avant Garde  ちなみにラスベガスにだけ目を向けていると、クリス・エンジェルや、かつてのランス・バートンなど、自身の専用ステージを持った 「一ヶ所定住型」 のマジシャンばかりが目立つためか、「一ヶ所定住型 = 一流マジシャン」 かのような錯覚に陥りやすいが、世界に目を向けると、さまざまな都市を転々としている有名マジシャンが少なくない。
 たとえば、最近ラスベガスで連続公演することが多くなってきたデイビッド・カッパーフィールドも以前は世界を転々としていた。

ケビン・ジェームス at アバンギャルド  さてこのショーに登場する役者についてだが、トリを務めるケビン・ジェームスは専用ステージを持たないタイプのマジシャンで、マジック界では知る人ぞ知る超大物だ。さらに彼は、一流マジシャンであると同時にアイデアマンでもあり、マジックの考案者としても名高い。
 カッパーフィールドを始めとする在ラスベガスの著名マジシャンの多くも彼からオリジナル作品を買って演じていることは、マジック業界ではよく知られる事実だ。
ケビン・ジェームス at アバンギャルド  そんな彼が今回のショーで披露してくれるのは、ホワイトハウスで演じてオバマ大統領も驚いたという恐怖の人間切断 "The Operation" だ。
 人間切断はマジックショーの定番アイテムといってもいいほど、さまざまなショーで観ることができるが、彼の作品はそんじょそこらのものとは大きく異なる。
 箱に入った状態の人間を切り離し、再度合体させるというありふれたものではない。箱に入っていない立ったままの状態の人間をそのまま電気ノコギリで水平に切り (切断面からは "内臓" も見える)、分断後の上半身はそのまま両手を使って歩き出すというからなんとも不気味なマジックだ。
(2枚上の写真内で、白衣を着て背を向けているのがケビン、女性二人は看護師、緑の帽子と緑の手袋に緑のパンツ姿の人物が、ケビンのノコギリによって水平に切断される男。次の写真で診察台に横たわっているのが切断された上半身で、このあとすぐに両手を使って歩き始める。画面左のオレンジ色の小さな人物は、このあとの演技でチャップリンの人形の役を演じる男)
 もちろんタネがあるわけだが、その奇抜さにはだれもがビックリすることだろう。この人間切断だけでも Avant Garde を観に行く価値はあるが、さらに彼の最も得意とする代表作 "Floating Rose" と "Snow Animator" も最後に披露してくれる。
 前者は白い紙ナプキンが真っ赤なバラに変わり空中をさまようマジックで、後者は手のひらから雪が勢いよく吹き出すという奇抜かつ華麗なマジックだ。
(マジックショーの内容を詳しくレポートすると、「内容をばらしたら主催者に失礼」 などといった意見が読者から寄せられるが、最近の主催者は、内容を明かさずに秘密にしていることよりも、積極的に内容を明かしたほうが、「それを観たい」 と思う者が増え集客につながるというセオリーに基づき、広報資料の中でかなり細かく公開する傾向にあるので、ここではあえて隠さずに披露)

ジュリアナチェン at アバンギャルド  もう一人の看板マジシャン、ジュリアナ・チェンは幼いころ中国雑技団でアクロバットやジャグリングもこなしていたというオールラウンドなマジシャンで、中国、アメリカ、カナダ、ヨーロッパなどで数々の賞を受賞。さらに世界中のテレビ番組にも出演し、日本のNHKにも出たことがあるという大御所だ。
 彼女が披露してくれるのは手の中から次々と空中に向かってカードを撃ち出すマジック。どこにでもありそうな演技に思えるが、他のマジシャンによる同類のマジックとはスケールがまったく異なり、その内容はまさに驚異的。1回のショーで撃ち出すカードの総数は数百枚というから恐れ入る。

 その他には、ピンク色のチューブ状の風船を口から入れ、体内を通過させ、それをそのまま尻の穴から出すと茶色に変わっているというコミカルなマジックや、大砲を使って観客をハラハラさせるイリュージョンなど、幅広いレパートリーを持つ Ed Alonzo (このページの上から2枚目の写真)、司会役も務めながらとぼけた演技で会場を沸かす Michael Finney (同、3枚目)、さらに自分の手でさまざまな有名人の顔をスクリーンに映しだす影絵の名人 Sonny Fontana (同、4枚目) など、ジャンルの異なるパフォーマンスが楽しめるのがこのショーの特徴だ。
 会場はプラザホテルのカジノフロア内にある劇場で、公演は毎日 7:00pm 開演。チケット料金は $35.70 + 税。指定席ではなく、劇場の入口にいる案内人 (Maitre) の誘導によって着席する古典的な方式なので、悪い席に案内されそうになったら 5ドルか10ドル程度のチップを渡せば、いい席に案内してもらえるはずだ。
 会場は広くないので、ステージからの距離を気にするよりも、左右の位置関係を重要視したい。つまり奥行きがステージから離れていても特に問題にはならないが、左右に離れるとステージに対して角度的に劣悪な席になるので要注意だ。
 チケット売り場は劇場の入口に向かってすぐ左側。満席になることはまずないので (このショーに限ったことではないが)、事前予約などの必要はないだろう。



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