週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2011年 11月 30日号
前例なき夕刻のマラソン、交通規制による混乱は限定的か
ラスベガスマラソン、ウィンの前  今度の日曜日はラスベガス・マラソンの開催日。参加を予定しているランナーたちは最後の調整に追われながらも、当日のレースを楽しみにしているにちがいない。
 一方、そんなランナーたちとは逆に、当日の混乱を戦々恐々としている人たちも少なくない。ストリップ大通りの全面閉鎖で、業務や活動に支障が出る人たちだ。もちろん一般観光客も無関係ではなく、すでに読者から交通事情などに関する問い合わせがこちらに寄せられている。今週はこの問題について取り上げてみたい。(このページ内のマラソンの写真はすべて昨年以前の開催時のもの)

LVマラソン、マンダレイベイ近くのスタート地点  不安が広がっているのには理由がある。時間帯の変更だ。これまでのラスベガス・マラソンは、スタート時間が早朝で、正午までにはほとんどの交通規制が解除されていた。夜型の活動になりがちなラスベガスのホテル街の午前中は、車両の往来も歩行者も非常に少なく、多くの関係者にとって早朝スタートは都合がよかった。(右の写真で空が暗いのは、夜明け前のため)
 ところが今年から夕刻の開催となり (フルマラソン 4:00pm、ハーフマラソン 5:30pm スタート)、交通規制は夜間にまで及ぶというから関係者の不安はつのるばかりだ。
 バスもタクシーもストリップを走れないとなると、レストラン、ナイトショー、ショップ、アトラクションなど、広範囲のビジネスに影響が出かねない。

LVマラソン、ゴール付近の様子  マラソンというイベントも立派な観光資源と考えれば、露出度の高い夕刻のスタートは興行的に一理ある。これまでの日曜日の早朝という時間帯では、多くの人にとって、「寝ている間に終わっていた」 といったことになりやすく、地元民の間でもこのマラソンの存在感は決して高くなかった。
 そもそもランナーたちにとっても、ほとんどだれも見ていない早朝よりも、沿道から多くの声援を受けながら華やかなネオン街を走るほうが楽しいに決まっている。
 そんなこともあり、今回の夕刻開催に対しては特に大きな反対意見は出ていないわけだが、その一方で、世界に冠たる目抜き通り 「ザ・ストリップ」 が、交通のピーク時に全面閉鎖になるという事態に対しては、多くの関係者が頭を抱えている。ほとんど前例がなく、どのような混乱が起こり得るのか、状況の推測がむずかしいからだ。また観光客の間でも、「ナイトショーの会場にどうやって行けばいいのか」 といった不安が広がっている。
 ちなみに、大通りの全面閉鎖というと、年末のカウントダウン歩行者天国を思い浮かべがちだが、それとは事情が異なり、ほとんど参考にならない。なぜなら、歩行者天国では、歩行者が地上で道路を渡ることができるが、マラソンの場合それができないからだ。したがって、限られた数の歩道橋の効率的な運用が求められているわけだが、これに対しては一部の専門家が注意を喚起している。(右下の写真は、プラネット・ハリウッドの南端付近とコスモポリタンを結ぶ歩道橋)

コスモポリタンの前で撮影  交通の専門家などの研究によると、人でも車両でも、ほんの少し交通量が増えただけで、大渋滞が起こることがわかっている。そして一度渋滞が発生すると、交通量が減っても簡単には解消されない。
 この事実をイメージすることはむずかしいことではない。たとえば大渋滞している道路における任意の一地点を通過する車両の数、すなわち単位時間あたりの交通量は、スムーズに流れているときよりも渋滞時のほうが少ないことは容易に想像できるはずだ。
 つまり、交通量が多いから渋滞するのではなく、何かのきっかけで流れが悪くなるから渋滞が発生し (高速道路の見物渋滞などはまさにその典型)、結果的に視界に入る車両の数が増え、交通量が多いように見えるだけだ。もちろん本当に交通量が多くて渋滞する場合もあるが、ほとんど渋滞は交通量とは関係ないらしい。
 そんな理論を知っている人たちは、地上の横断歩道が使えないことによる歩道橋上でのパニック的な混乱を心配している。
 ちなみに、ここまで読んで、2001年、兵庫県明石市の花火大会のときに発生した歩道橋での大惨事 (死傷者258人) を思い浮かべた人も多いのではないか。

ベラージオホテルの前  さて地元警察はどのように考え、どのように対応しようとしているのか。さっそくラスベガス警察の Special Event Department をたずねてみた。
 結論から先に書くならば、当日の人出はそれほど多くなく、歩道橋が混雑する可能性はほとんどないと考えているようだ。
 ちなみにマラソンの参加者の数万人という数は、大型コンベンションや連休のときの混雑に比べれば大した訪問者数ではなく、各ホテルも満室になるほどの状況にはなっていないらしい。
 そして当日、ランナーたちはコースを走っているため、レース中の一般観光客の人出は通常の週末よりもかなり少ないと予想できるそうだ。また近年の歩道橋の増設により、すでに日頃から歩道橋の利用率は高く、地上の横断歩道の依存度は下がってきている (右上の写真はプラネットハリウッドとベラージオの間を行き来する際に渡る横断歩道)。
 以上のような理由から警察当局は、交通規制による歩行者のトラブルは限定的と予想し、歩道橋への流入制限などは特に考えていないとのこと。

LVマラソン、NYNY の前  むしろ彼らが心配しているのは、歩行者よりも車両のようだ。年末の歩行者天国でも車両は同じ問題に直面するが、閉鎖区間の規模がまったく異なるばかりか (ストリップ地区以外にもマラソンコースは伸びているため、広範囲の道路が閉鎖される)、年末カウントダウンに比べ知名度が低いため、マラソンの開催や道路規制のことを知らずにロサンゼルス周辺から車で来てしまう者も多いと予想される。結果的に裏道の渋滞や、ホテルにたどり着けないといったトラブルが多発する。
 ということで、道に不慣れな日本からのレンタカー族は、この日の運転は避けたほうがいいだろう。ちなみに警察によると、ストリップの道路閉鎖は、1:30pm ごろから始め、9:00pm ごろの解除を予定しているとのことだが、全区間を同時に行えるわけではないので、1時間前後の誤差は想定しておいて欲しいとのこと。

 さて気になるバスについてだが、ラスベガス一帯でバスを運行している公営組織 RTC (Regional Transportation Commission) の公式サイトによると、2:30pm ごろから 11:30pm ごろまで (警察の発表とやや異なるところが気になるが)、市内の広範囲でマラソンの影響が出るとしており、ストリップ地区を走る 2階建てバス "DEUCE"、および 2連結バス "SDX" も、その時間帯はストリップを大きく迂回して運行するためホテル街では利用できない。
 モノレールは平常通りの運行予定だが、行ける範囲が限られているので、大きな期待は禁物。やはりこの日は宿泊ホテルからあまり遠くへ出かけることなく、活動範囲を徒歩圏内に限定しておいたほうがよさそうだ。
 なお、オプショナルツアーへの参加に関しては、ごく少ない例外ホテルを除き、送迎車両の発着場所がストリップとは反対側の裏道につながっているため、特に支障なく参加できる。



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