週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2011年 10月 12日号
リビエラホテルがテーブルゲームで出血大サービス
 ここ数年の金融危機のあおりを受け、経営難に苦しむ老舗カジノホテル、リビエラ。(写真右)
 このたび経営陣が刷新され、再建に向けた新たな取り組みが始まったわけだが、カジノ運営において興味深い戦略を次から次へと打ち出している。
 一ヶ月半前のこのコーナー (761号) では、ストリップ地区唯一となるビンゴゲームの導入を紹介したばかりだが、こんどはテーブルゲームの人気御三家ともいえるルーレット、ブラックジャック、クラップスで独自色を打ち出してきた。細かい確率論まで気にするギャンブラーにとっては聞き捨てならない朗報なので紹介してみたい。
 なお、カジノに精通していない読者にとっては用語などがわかりにくいかもしれないが、今回のニュースはマニアックなギャンブラー向けということでご勘弁いただきたい。

 右の写真およびその下の写真は、ストリップ大通りに面した同ホテルのカジノの正面入口。新戦略をシンプルかつ大胆に宣伝しているあたりは、その意気込みの大きさがうかがえる。
 これらの宣伝文句、最近のラスベガスのカジノにおける一般的なルールを知っている者にとっては、「ホント? なにかワナがあるのでは?」 と思うかもしれない。たしかにルーレットの "Single O" などは、もし事実であれば、信じがたい出血大サービスといえるだろう。なにかワナのようなものがないか、さっそく現場を取材した。

 まずはそのルーレットから。カジノから足を踏み入れて、すぐに目に飛び込んできたルーレットテーブルの盤面に目をやると、そこには他のカジノと同様 "0" も "00" もある。
 「話が違う。宣伝に偽りあり!」 と思いながら、そのテーブルのディーラーにたずねると、「シングルゼロのテーブルはあっちだ」 と別のテーブルを指さされた。たしかに存在しているようだ。
 そのテーブルに到着。テーブルの上もウィールの中も、どこを見ても本当に "00" がない。正真正銘のシングルゼロの台だ。
 最低賭け金も5ドルからで (写真右)、一般ギャンブラーのプレーを制限しているわけでもなく、特にワナのようなルールは見当たらない。
 つまり 1台だけではあるが、本当に存在しているので、宣伝に偽りはないことになる。ヨーロッパのカジノや、ラスベガスのハイリミットセクションでは珍しい存在ではないが、ラスベガスの一般のカジノにおけるシングルゼロは、たぶんモンテカルロホテルやパリスホテルの開業時に見られて以来の十数年ぶりの出現ではないか。素直に歓迎したい。

 次にクラップス。これも宣伝に偽りはないようで、ポイントに関係なく常に 10倍までのオッズ賭けが認められていた。ストリップ地区の大多数のカジノホテルが 3-4-5 ルールを採用していることを考えると、これもかなりの太っ腹なルールといっていいだろう。
 なお、あまり賭ける人がいないのでどうでもいい部分ではあるが、フィールドベットの 2 と 12 の払い戻しは、それぞれダブルとトリプル。これも特に不利な設定ではない。
 ということで、ルーレット同様、クラップスにおいても競合カジノホテルに比べるとかなり良心的な設定になっているので、オッズ賭けに大きく張りたい者はぜひリビエラに足を運んでみるとよいだろう。

 さて最後はブラックジャック。宣伝では、シングルデックでも BJ 3:2、つまり 1.5倍払い戻してくれるということだが、果たして実態はどうか。
 シングルデックのテーブルはいくつか存在していたが、宣伝通りの 1.5倍のテーブルはたった1台。それでも存在していたことは事実なので、広告自体にウソはない。
 しかし手放しで喜ぶのはまだ早い。想像はしていたが、やはりこのテーブルには制限ルールがあった。ダブルダウンは 10 または 11 に限られているのと、スプリット後の再スプリットは認められていない。つまり、8-8 を分けたあとにまた 8 が来ても、それはスプリットできない。
 もちろん他のカジノ同様、サレンダーは無しで、ディーラーのソフト17 はヒット。こうなると、シングルデックの特色を生かした本格的なカードカウンター以外にはあまり魅力的ではないが、それでも大多数のカジノのシングルデックが 1.2倍で、なおかつダブルダウンに制限があることを考えると、多少は良心的なルールといってよいのではないか。
 余談になるが、シングルデックで BJ 1.5倍、どんな2枚でもダブルダウン可能 (ただしスプリット後のダブルダウンは不可)、ミニマム5ドル、というおいしいルールのテーブルがダウンタウン地区のエルコルテスホテルに存在している。

 いずれにせよ、これら一連の出血大サービス的なルールは、プレーヤーにとってはありがたい話なので歓迎したい。他のライバルホテルもこれに刺激され、ルールを良い方に変えてくれることを期待したいが、残念ながらリビエラの今回の行動が他のホテルに与える影響はほとんど無いか、限定的なものになるだろう。
 なぜなら、シングルゼロのルーレットテーブルに人が群がっていないからだ。モンテカルロやパリス以来の十年に一度の有利なテーブルが目の前にあるというのに、プレーしてる客の数は他のルーレットテーブルとほとんど変わらないという事実には、少々落胆させられた。
 勝率、つまり期待値においてハッキリした違いがあるというのに、ダブルゼロのテーブルでプレーしている者は、なぜシングルゼロのテーブルでプレーしないのか理解に苦しむ。その期待値の差が、プレー結果にどれほど大きく影響してくるのかわかっていないのか、それともただ単に、シングルゼロのテーブルの存在に気づいていないのか。もしくは、真の本格的ギャンブラーは、シングルゼロといえどもブラックジャックのカードカウンティングに比べてまだまだ不利であることを知っているので、賢い者はルーレットに近づかないということか。

 いずれにせよ、10倍オッズのクラップスも、1.5倍のシングルデックも、特に人が群がっているわけではなく、それらが客寄せになっていないことはたしかで、リビエラの経営陣としては複雑な心境だろう。カジノにとって勝率が高い従来ルールのテーブルでプレーしてくれる客がたくさんいることはうれしいニュースではあるが、せっかくの出血大サービスのテーブルが客寄せになっていないことはマーケティングとしては失敗を意味するからだ。「人気がないならやめちまえ」 ということにならないことを期待したい。
 最後に蛇足ながら右上の写真は、セクシーなダンサーが踊るいわゆるパーティー・ピット (このホテルでは "Crazy Girls Fashion Pit" と呼ばれている)。このセクションのブラックジャックは、6デックでも 10 または 11 しかダブルダウンできないという劣悪なルールだが、ここでプレーする客は少なくない。少々勝率は下がってもダンサーを見ながらプレーしていたほうが楽しいということか。最近どこのカジノでもこの種のピットが増えてきているので、純粋に期待値だけにこだわる者は、だまされないよう注意したい。



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