週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2011年 04月 20日号
ストリップ大通りを見下ろせる一等地の2階にビアガーデン
 先月のこのコーナー (バックナンバー737号) で取り上げたシュガーファクトリー (写真右、クリックで拡大) の2階の屋外デッキ部分に、ビアガーデン "Chateau Gardens" がオープンしたのでさっそく行ってみた。
(楽しい雰囲気を出すために、このページに掲載されている写真は HDR合成および特殊な「アート」 処理機能を持ったカメラで撮影。画像処理ソフトなどによる撮影後の色彩の調整などは一切なし)

 場所はパリスホテル前の歩道沿いで、世界に冠たる目抜き通り 「ザ・ストリップ」 のほぼ中央。ラスベガスで一番の繁華街であり、世界屈指の一等地といっても過言ではないような場所だ。
 その2階というわけでロケーションは申し分なく、下を見下ろせば歩行者が行き交う雑踏や、宣伝カーなどさまざまな車両が行き交う片側6車線のストリップ大通り (写真右)、上を見上げればエッフェル塔 (写真右下)、そして道路の向こう側にはベラージオホテルの有名な噴水ショー (さらに1枚下の写真) が見える。

 「ここならリッチな環境でゆっくり夜遅くまでビールが飲める」 と思いきや、そうでもないところが、この店の油断ならないトリッキーな部分で注意を要する。
 なんと営業時間は午前10時から午後9時まで。朝からここでビールを飲む者がいるのだろうか。そして午後9時といえば、サマータイムを採用している今の時期は日没後まもない 「さぁこれからが夜だ!」 といった気分の時間帯だ。そんなときに店を閉めて商売になるのか。

 じつはこのビアガーデン、ナイトクラブ "Chateau" のバルコニー部分で、独立したビアガーデンとして設計されたものではない。
 つまりこの場所は、熱気あふれるクラブ内で踊り疲れた客が外に出て一息つくような場所とでも考えておけばいいだろう。
 したがって、午前中からの営業は、この施設の有効利用が目的で、早く店を閉めるのは、夜10時からナイトクラブに引き継ぐためだ。

 そのへんの事情は、ビアガーデンらしからぬ怪しげな色やカタチのソファーが置いてあったりする部分からも見て取れる (写真右)。
 また、営業規則などに関わる事情があるらしく、入店時には、午前中でもナイトクラブと同様に、どんなに高齢のおとなでも、年齢などを確認できる身分証明 (パスポートや運転免許証など) の提示が求められる。

 とにかく営業時間も雰囲気も常識はずれのビアガーデンではあるが、そんなことはどうであれ、これからの季節は、乾燥してのどが渇く猛暑。朝であろうが昼であろうが開放的な場所でビールが飲めることはありがたい。
 また、これは賛否両論ありそうだが、男性の目を楽しませてくれるウェイトレスの衣装も、なんとも明るく楽しくラスベガスらしくてよいのではないか。
 ということで、とりあえずビール好きは行ってみるとよいだろう。後悔するような場所ではないはずだ。

 ちなみにビールはグラスで出てくるドラフトビールが20種類、瓶ビールが10種類。
 バドワイザー、ミラー、クアーズなどの国産はもちろんのこと、サッポロ、ギネス、ハイネケン、ベックス、ニューキャッスル、コロナなど、世界各国の著名ブランドはひと通りそろっている。
 価格は銘柄によって 6ドルから9ドル。ピッチャーサイズでオーダーすると22〜34ドル。
 食べ物はサラダ、サンドイッチ、ピザが中心で、価格は8〜17ドルと、家賃が高い一等地としてはそれほど高くない。

 もちろん欠点や問題点がないわけではない。これからの季節は暑すぎて、快適な環境が保てなくなるおそれがある。冷たいビールをいくら飲んでも、真夏の日差しのほうが勝るだろう。
 座席の位置によっては、頭上にミスト装置が設けられており、霧が吹きかかるようになっているが (右の写真内の左下)、エアコンとはちがって効果は限定的と考えたい。

 冷たいビールをグイッと飲もうと、グラスを握った瞬間、それがプラスティック製であることに気づき、気分的にビールの温度が一気に上がってしまうのもいただけない。たとえ断熱効果が高く温まりにくいグラスであったとしても、唇に触れたときの感触が悪すぎる。
 酔った若者でごった返すナイトクラブの時間帯にグラスを割ったりするのを防ぐための安全対策のようだが、ビアガーデンの時間帯ぐらいはなんとかならないものか。ガラス製がダメなら金属製でもいい。

 もう一つ問題点を指摘させてもらうと、ストリップ側の壁の高さをもう少し低くするべきだろう。
 現在は1メートル以上あり、立ち上がれば下界の景色や噴水ショーを見ることができるが、ビールを飲みながら座ったままの状態ではほとんど何も見えない。転落事故を防ぐための安全策かと思いきや、その壁のさらに上方にも1メートルほどの高さのガラスが張られているので (右上の写真を拡大すると、かすかにそのガラスが見えるはず)、安全は壁が少々低くてもきちんと保たれている。
 壁とガラスの高さの比率を少し変えるだけで、良好な視界と安全の両方を確保できると思うと、せっかくの一等地の景色なだけに、それを生かしきれていないのはなんとも残念だ。ちなみに、この店の宣伝文句の中では、ライバルホテルであるベラージオの名前をあえて出してまで、噴水ショーが見えることをうたっている。

 最後に、午前中はほとんど客が入っていないので、営業時間が変わる可能性があることはもちろんのこと、このビアガーデン自体の存続も今後どうなるかわからないことをお伝えしておきたい。
 とにかくこの店の最大の問題は、上記の壁の高さに起因する逆方向からの景色だ。つまり、ビアガーデン内にいる客から外の景色が見えない不具合よりも、外界を歩く通行人からこのビアガーデンの存在がわかりにくいことのほうが問題が大きい。全部ガラス張りにするぐらいのことをしないと、ビールを飲んでいる客の存在が下からは見えず、今のままでは集客に対して致命的なハンデを抱えていることになる。地上に呼び込みのスタッフを置いたりしているが、彼らの力は限定的だ。
 ちなみに右上の写真を撮影したときは、2階のビアガーデンの壁ぎわの席に4組8人の客がいたが、外界からはその存在がまったく見えていない。
 ナイトクラブとしての使用時に、ある程度の密室性を保ちたいという目的があるのかもしれないが、この壁はどうみても高すぎてマイナス効果のほうが大きいだろう。ビアガーデンにはぜひ営業を継続してもらいたいので、早急の改良を期待したい。


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