週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2011年 03月 16日号
直球勝負のダンスショー "Sinatra Dance With Me"
 昨年末からウィンラスベガス (もしくはアンコール。両ホテルは同じ経営で近接) で、ダンス業界のカリスマ振付師と言われる トウィラ・タープ監修の、歌手フランク・シナトラをテーマにしたナイトショー "Sinatra Dance With Me" が始まっているので、おくればせながら紹介してみたい。
 ショーの内容はタイトルから想像できる通り 「シナトラ」 と 「ダンス」。つまりシナトラの曲に合わせて、パフォーマーたちがダンスを披露するというもので、それ以上のものでも以下のものでもない。

 多少はマジックやコメディーなど他の出し物があるのでは、と思ったら大まちがいで、すべてがダンス。それどころか、カクテルバーとダンスフロアを表現した舞台セットは最初から最後まで一度も変わること無く、またダンサーたちの衣装も、途中でジャケットやシャツなどを脱いだり着たりすることはあるものの、基本的には最後の一曲 「マイ・ウェイ」 でドレスやスーツに着替えるまではすべて同じ。つまり完全にダンスだけの直球勝負で、奇をてらった変化球などは一切ない。照明も特に変わったことはなく平凡だ。

 そのように説明すると、退屈でつまらないショーのように思われてしまうが、なんと最後は観客の全員が拍手喝采のスタンディングオベーション。
 その理由を求められても説明するのがむずかしい。観衆をひきつける何かがあるとしか言いようがないが、それが何かはよくわからない。
 シナトラをしのぶノスタルジックな観客側の心理と、曲とダンスが絶妙にマッチしているのかもしれない。20年ほど前、老齢の本物のシナトラのコンサートを観た経験があるが、その時よりも拍手が大きかったように思えるが、気のせいか。

 ちなみに歌自体は、デジタル技術を駆使してシナトラの声の部分だけをきれいに取り出したというだけのことはあって、本当にステージで本人が歌っているかのような臨場感があり非常にクリアだ。雑音ひとつ無いその澄んだシナトラのボイスに、ステージ上の生バンドが華麗な演奏を加え曲を奏でる。サックス 5人、トロンボーン 4人、トランペット 4人、ドラムス、ベース、ピアノが各1人の構成。
 ダンサーは、ブロードウェーでも活躍し、トニー賞にノミネートされたこともある者も含めた男女7人ずつ合計14人で、基本的には男女がペアで踊るシーンが大部分。衣装は男性が仕事帰りのようなネクタイ姿、女性もカジュアルな服装で、特にゴージャスな感じはまったくない。

 ラスベガスにふさわしい名曲 「ラック・ビー・ア・レイディー」、そして大ヒット曲 「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」 で始まり、最後は前述の通り全員がまじめな衣装に着替えて 「マイ・ウェイ」。
 ステージの背面にLEDと思われる小さなライトでシナトラの姿がぼんやりと映しだされ (この演出が何とも感傷的)、あとはニューヨークニューヨークのエンディングテーマに合わせた挨拶で幕となる。実測の正味時間は75分。
 ちなみに曲と曲の間にトークなどが入ることはまったくなく (語学的にハンデがある外国人にとってはありがたい)、激しい動きを続けるダンサーたちにとっては休む暇がなく非常に過酷だ。そのため途中で一度だけジャズの名曲 「テイク・ファイブ」 の生演奏で、ダンサーたちとシナトラ (声) は休憩を取る。

 客層はシナトラを知っている世代ということで中高年がほとんど。シナトラを知らない世代が見ても面白くも何ともないと思われるが、ダンスに興味がある者にとってはそれなりに見ごたえがあるだろう。
 会場は、ウィンとアンコールを結ぶ通路の途中にあるアンコールシアター。ステージに対して左右方向に極端に離れた席はなく、また床の傾斜も十分にあるため、どの席からでも良く見える。公演日時は日曜日を除く毎日 7:30pm、チケットは 95ドル + TAX。なお、短期間の契約のため、4月中旬頃までに終了してしまう可能性が高い。


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