週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2011年 02月 09日号
スロットマシン、当局発表の統計ではストリップよりもダウンタウン
 今週は、カジノ業界を管轄するネバダ州当局が発表した統計をもとに、スロットマシンの地域別の払い戻し率などについて比較検証してみたい。
 今回検証するのは、ゴージャスな大型カジノホテルがひしめくストリップ地区と、昔ながらの小規模な老舗カジノが軒を並べるダウンタウン地区におけるスロットマシンの払い戻し率。
 そしてついでに、一般観光客にとってはほとんど無縁だが、地元民向けのカジノが点在する北ラスベガス地区および東ラスベガス地区のデータも比較対象として取り上げてみた。

 さて検証の前に、まず最初に 「カジノ」 の定義をはっきりさせておく必要がある。
 ネバダ州当局はさまざまな統計を発表しており、その中で 「カジノ」 という言葉が出てくるわけだが、それには大きく分けて2つの種類がある。「制限付き免許」 で運営されているカジノと、そうではないカジノ、つまり 「無制限免許」 で運営されているカジノだ。
 前者は、店舗の一部のスペースにスロットマシンを数台置いたりしているコンビニ、給油所、酒場などに発行される免許で、マシンゲーム15台までしか置くことができない。つまりブラックジャックやルーレットなどのテーブルゲームは御法度だ。
 後者は、無制限という言葉のとおり、設置マシンの台数に制限はなく、さらにテーブルゲームはもちろんのことスポーツの賭けも可能な免許で、一般観光客が目にするカジノはほとんどがこちらということになる。日本的な表現をするならば、前者が乙種免許、後者が甲種免許といったところか。

 ちなみに無制限免許を取得するためにはきびしいハードルがある。
 だれもが簡単に取得でき、大型カジノが街中に乱立してしまったのでは、業界も市民生活も混乱してしまうので、そのハードルはかなり高い。具体的には、201部屋以上の宿泊施設を持つことと、30席以上のバー、そして 60席以上のレストランを24時間年中無休で営業することが最低条件で、事実上、個人や中小企業の資金レベルでは参入できないようになっている。
 なお、この法律ができる1991年よりも前から存在していたカジノに対しては、いわゆる "Grandfather" (日本でいうところの既得権) が適用され、上記条件を満たしていなくても大型カジノを運営し続けることができるという例外規定があり、ダウンタウン地区などにはその種のカジノがいくつか存在している。

 前置きが長くなってしまったが、以下に示す統計はすべて無制限免許のカジノのみを集計したもので、「制限付き免許」のカジノは含まれていない。
 またストリップ地区の統計において当局は、年間売上7200万ドル以下の中堅カジノも含める統計と、含めない統計を発表しており、今回ここで示すのは含めないほう、つまり大型カジノだけの統計。理由は、一般観光客がほとんど行かないようなカジノは除外したほうが、より現実的な情報提供になるからだ。

ダウンタウン地区 (無制限免許のカジノのみ)
マシンの機種カジノ軒数設置台数収益 (x1000ドル)払戻率 %
1 セント・マシン162,919110,31488.88
5 セント・マシン1669116,17191.19
25 セント・マシン161,87362,58094.83
1 ドル・マシン161,00043,69595.36
Megabucks15625,06488.92
5 ドル・マシン12976,76194.49
25ドル・マシン161696596.76
100 ドル・マシン000-
マルチデノミ・マシン214,857122,75094.30

ストリップ地区 (無制限免許 年間売上 $72,000,000 のカジノのみ)
マシンの機種カジノ軒数設置台数収益 (x1000ドル)払戻率 %
1 セント・マシン238,481618,84788.26
5 セント・マシン231,51963,16790.63
25 セント・マシン234,465220,78391.87
1 ドル・マシン234,187271,81493.50
Megabucks2317628,48787.07
5 ドル・マシン2190066,66795.13
25ドル・マシン2115215,48396.88
100 ドル・マシン2114920,80895.03
マルチデノミ・マシン2317,5611,113,45293.89

北ラスベガス地区 (無制限免許のカジノのみ)
マシンの機種カジノ軒数設置台数収益 (x1000ドル)払戻率 %
1 セント・マシン102,62684,82690.66
5 セント・マシン104567,71495.14
25 セント・マシン955111,34696.58
1 ドル・マシン93308,59796.34
Megabucks6302,90186.83
5 ドル・マシン31255595.12
25ドル・マシン000-
100 ドル・マシン000-
マルチデノミ・マシン105,522129,70694.64
500ドルなど、その他-15-1,614-

東ラスベガス地区 (無制限免許のカジノのみ)
マシンの機種カジノ軒数設置台数収益 (x1000ドル)払戻率 %
1 セント・マシン295,675200,40590.40
5 セント・マシン241,42633,45795.50
25 セント・マシン221,74450,60996.94
1 ドル・マシン2188228,31296.49
Megabucks16484,53987.83
5 ドル・マシン12692,88895.82
25ドル・マシン000-
100 ドル・マシン000-
マルチデノミ・マシン3311,635334,35795.16
500ドルなど、その他-1935,577-

【補足説明】
カジノの軒数および設置台数は、2010年11月30日時点のもの。その他は、2009/12/01 から 2010/11/30 までの12ヶ月の合計。
払い戻し率とは、12ヶ月間における、そのマシンがプレーヤーに払い戻した金額の合計を、そのマシンに投入された金額の合計で割った数値。大きいほどプレーヤーにとって良いマシンということになる。
Megabucks とは、積立方式で超高額の特別賞が当たるように設定された特殊なマシン。くわしくは、このページの左フレーム内にある [JACKPOT速報] をクリックし、[プログレッシブ型スロットマシン] をさらにクリック。 ちなみにこの種のプログレッシブ型マシンは他にもあるが、当局は Megabucks だけを独自に集計している。
マルチ・デノミマシンとは、プレーの単価を自由に設定できるマシンのこと。技術の進歩によるメカ式から電子式への変化に伴い、最近急増している。
北ストリップ地区の [その他のマシン] において収益がマイナスになっているのは、母数が少ないところに、たまたま超高額のジャックポットが出たためと推測される。

【考察】
5セント、25セント、1ドルマシン、さらにマルチ・デノミなど主力のマシンにおいて、ダウンタウン地区のほうがストリップ地区よりも明らかに払戻率が高いことがわかる。「わずか数パーセントの差」 とも思えるが、長時間プレーした場合の結果としては、この差は非常に大きい。
マルチ・デノミマシンと並び、1セントマシンも最近急増しているが、1セントマシンにおいては、1セント単位で賭けることが可能というだけで、実際には1プレーに対して 1セントを数十枚賭けるようになっており、決して動く金額が小さいわけではない。
1セントマシンの払戻率は総じて低いので、1プレーに数十枚賭けてプレーするぐらいであれば、25セントマシンや 1ドルマシンでプレーすべき。1セントマシンは可能な限り避けるべきだろう。
Megabuck は積立金の負担が大きく、著しく払戻倍率が悪いことがわかる。ジャックポットに恵まれない大多数の人が負けていると推測できる。
25ドルマシンなど超高額マシンを除けば、1ドルマシンが一番有利であることがわかる。ちなみに 95% 前後の払戻率は、テーブルゲームにおけるダブルゼロのルーレット (盤面に 0 と 00 があるルーレット) のそれとほぼ同じ。
北ストリップや南ストリップなど、地元民向けカジノのほうが、総じて払戻率が高いことがわかる。
収益を設置台数で割ると、1台が1年間で稼ぐ金額がわかる。ためしにいろいろな機種でやってみよう。



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