週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2011年 01月 05日号
小鉢スタイルが自慢のコスモポリタンのバフェィ Wicked Spoon
 昨年12月15日に開業したばかりの大型カジノホテル・コスモポリタン。その中にある食べ放題のダイニング 「Wicked Spoon」 を取材した。
 場所は同ホテルの西館の2階。東館の地上に位置するカジノフロアからエスカレーターを使って上の階に行き、レストラン街などを通りぬけ西館に続く通路を進むと左手に見える。カジノの喧騒とは無縁の静かな落ちついた環境だ。

 冷たい感じになりがちな直線的なデザインと、暖か味のあるオレンジという相反する組み合わせが印象的な入口で (写真右上、クリックで拡大)、ディナータイムの料金27ドルを支払い店内に入ると、やはり内部も同じような基調。
 直線が都会的でクールな空間を創造しながらも、暖色系のカラーコーディネートが雰囲気を和らげているのか、冷たい印象はまったく受けない。高級感あふれるダイニングルームといった感じだ。

 料理の種類は他の高級ホテルのバフェィと同様、幅広いジャンルを網羅しており、その部分についてはすでに競争が行き着くところまで行ってしまった感じで特徴を探すのはむずかしい。
 しかしこの Wicked Spoon には他のホテルの店にはないこだわりのテーマがある。それはスプーン、小皿、小さなバスケットなどを使ったいわゆる小鉢スタイルだ。スペイン料理でいうところのタパスをイメージするとよい。
 つまり、他の店のように大きな容器に盛られた料理を、各自がトングなどを使って自分の大皿に盛りつけるのではなく、あらかじめ一口サイズに分けられた小皿を取ってくるという方式だ。もちろんすべての料理がそうなっているわけではないが、かなりの料理がこのテーマに沿ったカタチで陳列台に並んでいる。

 この小鉢スタイルには、テーブルの上が皿だらけになり置き場所がなくなったり、一口サイズよりもさらに少量を食べたい場合に不便、といった欠点もあるが、多くの人はこの方式を歓迎するのではないか。
 まずなんといっても、自分が大皿に盛りつけるよりも上品で美しい。視覚的に美しければ味もよくなるというもの。また必要以上に取りすぎることが少なく、無理して食べるような場面が減り、結果的にたくさんのアイテムを楽しめる。店側にとっても食べ残しが減るというメリットがありそうだ。
 さらに料理の陳列台の部分においても衛生的にも視覚的にもこの方式のほうがすぐれているように思われる。なぜなら、不特定多数の人が使うトングにふれる必要もなければ、料理が散らかることもないからだ。

 ただ、この店でこの方式がいつまで続くのか、心配がないわけではない。それは店側にとっての負担増、つまりウエィターやウェイトレスが皿を片付ける作業と、洗う皿の枚数が激増するからだ。また、調理現場でも盛り付ける作業などが増えていることは容易に想像できる。
 値上げという方法で、これらの問題を乗り切るのか、小鉢方式をやめるのか。料理のクオリティーが高いだけに、現在の料金で小鉢方式を維持することはむずかしいようにも思われるわけだが、なんとかこのまま頑張ってもらいたいものだ。

 さて個別の料理に関してだが、特徴的なのはカニだ。小鉢スタイルであるがゆえに、殻から身を取り出した状態で陳列台に並ぶ (写真右)。味が落ちるとの反論もあるかもしれないが、殻をむくという手間が一切不要というのはありがたい。
 もちろんカニ風味カマボコや缶詰ではなく、正真正銘のカニだ。ちなみに今回の取材時に出されていたのは、アメリカでは非常にポピュラーなダンジネスクラブ。タラバガニなどに比べると価格は総じて庶民的だが味は悪くない。
 なお少々残念なのは、味付けに選択肢がないこと。小鉢の中にはカニと一緒にレモンのスライスとカクテルソースがあらかじめ入っているので、醤油味で食べたくてもカクテルソースがどうしてもじゃまになってしまう。参考までに醤油は寿司セクションにある。
 カニ以外のシーフードとしてはエビ類や貝類が中心で、それらもかなりまともだ。数はそれほど多くないが、サケやマスなどを使った魚料理もあり、また小洒落た金属製のバスケットに入った小魚のフライなどは他のホテルでは見られないユニークなアイテムだ。なお取材時には生ガキはなかった。

 寿司に関しては、のり巻きが数種類ある程度なので大きな期待はしないほうがよい。ささやかながらシンプルな味噌汁もある。日本の味が恋しくなった際にはありがたく感じるはずだ。
 中華料理は思ったより数が少なく、シュウマイのたぐいが数種類と炒め物がある程度で、ヤキソバはなかった。ちなみに現場の担当者いわく、なるべく他の店にはない特色を出したい、とのことで、定番の焼きそばの代わりに、中華風の焼きうどんがあった。

 肉類は豊富で、種類も味もかなり高いレベルにあるといってよいだろう。焼き方も、ほとんど生に近いレアからウェルダンまで豊富だ。大きな塊からその場で切り取ってもらう際に希望の焼き方を申し出ればよい。なおこの店らしく、小さくスライスした肉があらかじめ盛りつけられた小鉢スタイルの肉料理もある。
 イタリア料理も手を抜いていない。ビザからパスタまで種類は豊富で、パスタ類が小鉢方式になっていたりするところは、なんともこの店らしい洒落た演出だ。なお、なぜかメキシカン料理はほとんど見当たらなかった。

 デザートはあまり大きすぎず、サイズ的にも見た目にもきれいで好感が持てるが、日本人の味覚としては甘すぎる感は否めない。
 アイスクリームやジェラートは、現場スタッフに好きなフレーバーを告げて盛りつけてもらう方式。こちらは日本人の味覚にも合いそうだ。
 なお、食べ物の話ではないが、箸はウエィターやウェイトレスに頼んで持ってきてもらうことになる。割り箸ではなく金属製の重そうな見慣れない箸だが、使ってみると見かけに反して軽くて持ちやすい。

 長くなってしまったが、とにかく小鉢方式は多くの人が気に入るのではないか。また料理のレベルも総じて高く、特に肉料理はライバル店を圧倒しており、行ってみて後悔するような店ではないはずだ。近隣のホテルに滞在の際はぜひ足を運んでみるとよいだろう。
 なお不景気が原因か、長蛇の列が出来るような気配もなく、並ばずに入れたということも付け加えておきたい。
 料金はブレックファスト(7am〜11am) が15ドル、ランチ (11am〜3pm) が19ドル、ディナー (5pm〜10pm)が前述のとおり 27ドル。なお、土曜日と日曜日はブレックファストとランチが連続になったブランチ (7am〜3pm)で 23ドル。子供料金は4歳から8歳まで一律10ドル、3歳以下は無料。すべて外税表示なので、これら料金に 8.1%の消費税が加わる。3pm〜5pm は料理の入れ替えなど、ディナーの準備タイムのためクローズ。
 アルコール飲料は別料金で、バドワイザー、ミラー、クアーズなどのアメリカの国産ビールも、コロナ、ハイネケンなどの外国産ビールも一律6ドル(小瓶)、各種カクテルが 12ドル。


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