週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2001年07月11日号
検証、ストラトスフィアの "生まれ変わった宣言"
 去る7月4日、人気低迷と業績不振に悩むストラトスフィアホテルは、アメリカ合衆国の独立記念日を祝う花火大会を開催すると同時に、自らの改造プロジェクトの成功を祝うセレモニーを地元メディアや関係者を招いて行った。
 事実上の "生まれ変わった宣言" とも受け取れる今回のセレモニーだが、今週は同ホテルのその変化の様子を現場レポートというかたちで検証してみたい。

 ストラトスフィアホテルはその前身であるベガスワールドホテル時代も含めて業績が順調だった時代がほとんどない。経営の行き詰まり → 身売り → 新オーナーによる再建、を何度も繰り返してきた。
 「場所が悪いので誰がやっても失敗する」、というのはもはや業界の定説で、現在も決して順調とは言えない。たしかに場所の悪さは誰もが認めるところで、ストリップの中心街から数キロ離れているのは大きなハンデといってよいだろう。

 そんな定説を覆そうと努力しているのが現オーナー Carl Icahn氏だ。トランスワールド航空やナショナル航空など航空業界の買収などに触手を伸ばしてきた知る人ぞ知る大富豪で、Icahn氏はすでにこのホテルの改造に昨年から 7500万ドル (約93億円) を注ぎ込んでいるという。以下がその改造プロジェクトの具体的な内容だ。

 ■ 24階建 1002室の別館の完成
 ■ 300席規模のカフェの新設
 ■ ツアーロビーの新設
 ■ プールの新設
 ■ 500席規模のバフェィの新設
 ■ 3700席規模の屋外アリーナの建設

 上から4つはすでに完成しており (別館はまだ一部が工事中)、下の2つは現在工事が進められている。以下がそれぞれの現在の様子だ。

■ 24階建 1002室の別館
 この別館は歴代のオーナーが資金難のため建設途中で計画を投げ出し、骨組みだけが完成したままの状態で4年間も雨ざらしにされてきたという物件で、このたびようやく Icahn 氏の手によって完成にこぎつけた。「爆破解体してしまうことの方が賢い選択」 という意見もあったようだが、放置されてきた物件を完成させたこと自体はとりあえず評価されてしかるべきだろう。これまでの本館と外観は同じで、建物自体の内容としては特筆すべきものはないが、客室スペースがやや広くなっている。

■ 300席規模のカフェ
 今回の一連の改良で一番評価したいのがこのカフェ "Lucky's" だ。24時間営業のこのカフェはラスベガス屈指の広さを誇るだけでなく、モダンなデザインを取り入れたテーブルや椅子と調和したインテリアも非常にすばらしい。また、テーマがラスベガスになっており、店内にはラスベガスゆかりの写真やいかにもラスベガスらしいカラフルで陽気な絵画が所狭しと飾られている。メニューも多彩で一般の洋食はもちろんのこと、ギョーザ、ワンタン、チャーハン、ヤキソバなどまでが用意されており、値段もそれぞれ $6〜$7 とストリップの中心街のホテルと比べるとかなり良心的だ。

■ ツアーロビー
 これまでこのホテルにはツアーロビーが存在しなかったが、今回かなり立派なものが出現した。ストリップの大型主要ホテルのツアーロビーと比べてもまったく遜色のない内容で、このホテルの格を考えると立派すぎるほどだ。オプショナルツアーなどのバスの発着場所や団体チェックインなどにすでに利用されており、日本からのツアー客などにとってはかなり便利になったといってよいだろう。

■ プール
 これはハッキリ言ってダメだ。ストリップの大型主要ホテルのそれと比べるとかなり見劣りする。カジノなどがある構造物の屋上部分に完成したこのプールは、スペース的にそれほど広くないばかりかヤシの木なども非常に少なく殺風景でつまらない。流れるプールなどがあるわけでもなく遊び心も感じられない。また、全体に占めるコンクリートの部分があまりにも多く、真夏のこの時期は照り返しが強すぎリラックスできる雰囲気ではない。とりあえず CABANA (南国風の個室テント) が6つ用意されているが、もっと木陰や芝生が欲しいところだ。なお、客室棟の8階の廊下からアクセスするようになっているので、水着のまま行くことができる。カジノを通って行かなければならない多くのホテルのプールに比べてこの部分だけは便利だ。

■ 500席規模のバフェィ
 これはまだ未完成(一部営業) だが、規模的にも内容的にもかなりまともなものになるものと思われる。ホテル側の説明によると、オリエンタル料理、メキシカン料理、イタリアン料理など各料理ジャンルごとにセクションョンを設け、それぞれ客の目の前で料理するオープンキッチン方式を採用するとのこと。この方式は最近増えてきているので決して珍しいことではないが、前宣伝を見る限りかなり立派なものになりそうなので大いに期待したいところだ。完全オープンまでにはあと1-2ヶ月要するという。

■ 3700席の屋外アリーナ
 従来存在していた北口付近で現在工事が進められている。完成は9月の予定だが、ずれ込む可能性もあるという。ホテル側の説明によると完成後はコンサートやボクシングなどの会場として利用するとのことだが、すでにマンダレイベイや MGMグランドに巨大な室内アリーナがあるばかりか、3700人規模であれば他のホテルの大型ボールルームも競争相手と考えるべきで、イベント誘致に成功するのかどうか少々心配だ。施設の貸出料金で勝負するということだろうか。夏や冬の厳しい気候を考えると屋外アリーナにどれほどの需要があるのか大いに気になるところだ。

 
 以上だが、「たったこれだけ」 と考えるとか、「これだけやれば立派」 と考えるかは意見が分かれるところだろう。それでも、とりあえず誰がやっても日の目を見なかったこのホテルにこれだけの変化を加えようとしていることだけはそれなりに評価してよいのではないだろうか。ただ、今後の結果がどうなるかは非常にむずかしいところで、このホテルの場所の悪さは大いに気になるところだ。今後の成功を祈りたい。
 


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