週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2001年05月16日号
金鉱見学ハマーツアー
 今週はオフロードカーの王者 "ハマー" (写真右) を利用した一風変わったオプショナルツアーを紹介してみたい。

 あの湾岸戦争でアメリカ軍が使用し一躍有名になったハマーは、一般市販車両としては世界最強のオフロードカーと言われており、そのパワフルな走りと豪快なフットワークはマニア垂涎の的となっている。そんなハマーを利用しての "砂漠爆走ツアー" を長年催行してきた Desert Fox Tours 社がこのたび新たに "Old Gold Mine & Off Road Treasure Hunt" というツアーを企画した。つまり "古い金鉱山をハマーで訪れ宝を発見しよう" というものだ。
("Mine" には、[地雷] 以外に [鉱山]、[鉱業]、[鉱石などを採掘する] という意味がある)

 アメリカの各州にはそれぞれニックネームが付けられている。ニューヨーク州が "Empire State"、カリフォルニア州が "Golden State" などはよく知られるところだろう。ここラスベガスがあるネバダ州のニックネームは "Silver State" だ。そんなことから 「ネバダ州は銀の産地、カリフォルニア州は金の産地」 と思い込んでいる人も多いようだが、じつはネバダ州は銀に勝るとも劣らないほど金が有名で、今でも金採掘はネバダ州の数少ない産業の一つとなっている。

 今回のツアーで訪れる場所は、1800年代の後半から金を追い求める人たちが移り住み、1920年頃に全盛期を迎えた金鉱の町 Nelson だ。ラスベガスから南東方向に約 60km ほど行ったネバダ州とアリゾナ州の州境付近に広がる Eldorado Canyon 地区の荒野にある。時間にしてラスベガス市街から約 40分の場所だ。
 ハイテクを駆使して金鉱脈を探し出すようになった現在、すべての者がより良い金鉱脈を求め他の地へ出て行ってしまったため、現在この Nelson は完全にゴーストタウンと化している。すでに数十年前から人影はおろか、この地に人が住んでいた形跡すらほとんど見ることができないほど何も存在しない。現在ここで当時のおもかげを残すものといえば、朽ち果てたガソリンスタンドの看板とそこにポツリと存在しているボロボロになった小屋ぐらいだ。

 こんな寂れた Nelson だが、最近はなぜか映画のロケ地として使われ始めており、昨年は映画 "3000 mile to Grace Land" の撮影でケビンコスナーがここを訪れたり、また、なぜかあのジャニーズジュニアもつい先日ここを訪れ何やら撮影していったという。

 といってもこの地に何も無いことは今でも変わりなく、周囲は見渡す限りサボテンが点在する荒野だ。しかしそんな荒野にまさかの長大トンネルが存在している。かつてのゴールドラッシュ時代に開拓者たちが金を求めて掘った穴だ。
 これが半端ではない。小高い丘の山腹に空けられた穴はこの Nelson の町の地下を縦横無尽に走るとてつもなく長いトンネルで、この中に入ってみようというのが今回のツアーのハイライトだ。

 トンネルの直径は約2メートル、長さは測定不能なほど長い。金は重い元素のため地下深い場所に存在していることが多いらしく、場所によっては垂直に掘られている部分もある。まるで迷路のようだ。
 鍾乳洞のように中が開けているわけではなく少々息が詰まるような狭い空間だが、30度を超す外の猛暑とはうって変わって内部はひんやりしており気温的には非常に心地よい。
 右上の写真はストロボを使ったため明るく見えるが、実際の内部は非常に暗い。トンネル内には電球もセットされているが、ところどころにローソクが用意されており、ガイド役がそれに火を付けて行く光景は当時を思い出させるようでおもしろい。

 さて気になる金だが、このツアーで一攫千金を期待するのはまったく不可能と考えた方がよいだろう。キラリと光る極めて細かい微粉状のものが付着した岩石を見ることはできるが、だからといってそれを持ち帰ってどうこうできるわけではないからだ。ダンプカー何台分もの岩石を砕いてほんの微量を産出するのが金の生産で、手のひらに乗る程度の石を持ち帰ったところで 0.01 グラムの金も取り出せない。ちなみに金の相場は現在 1グラム 1000円そこそこだ。どう考えても個人レベルでの採掘は割に合う仕事でない。ここは一攫千金を忘れ、あくまでも見学と割り切り、当時の人たちの金に対する執念のようなものを感じ取れれば目的達成と考えたい。

 トンネル見学以外には砂漠爆走を楽しませてもらえる。また、サボテンが広がる途中の荒野でも金探しが可能だが、前述の通りここでも一攫千金は期待しない方がよい。
 なお、興味深いのは金ではなく、かつて電気製品などに絶縁体として広く使用されていた雲母(うんも:マイカ)だ。この雲母を含む岩石がなぜかこの地にゴロゴロ存在している。かなり大きな雲母もあるのでそれを拾って手で 1枚1枚剥がしてみるのも楽しい。極めて微量の金が付着した石よりもこの雲母を持ち帰った方が記念になるかもしれない。ちなみに主催者いわく、今回のこのツアーで立ち寄るその場所は彼らの私有地のため岩石の持ち帰りOKとのこと。

 ツアーの所要時間は約4時間。催行最低人数は2名。料金は一人 $175。予約など詳しい情報は Desert Fox Tours 社, 電話 702-361-0676 (英語のみ) まで。


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