週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2001年04月11日号
ダウンタウンに大きな波紋、RACE ROCK が閉店
 ダウンタウン地区の観光名所のひとつ RACE ROCK が、昨日 4月 10日、経営不振を理由に店を閉じた。(右の写真は地元テレビ局 Channel-8 のスタッフと、そのインタビューを受ける店の従業員)

 RACE ROCK はモータースポーツをテーマとした巨大レストランとして 1999年 11月に鳴り物入りでオープンしたものの、開業直後から一貫して客の入りが悪く経営不振の噂が常に絶えなかった。したがって今回の閉店そのものは関係者の間では比較的冷静に受け止められているが、まったく別の意味で地元商工会に大きな波紋を投げかけている。NEONOPOLIS 計画と無関係ではないからだ。

 NEONOPOLIS 計画とは、RACE ROCK のすぐ向い側の空き地に予定されているラスベガス市主導型の総合レジャーコンプレックスで、たび重なる着工の遅れはあったものの、現在は 2002年の完成を目指し工事が進められている。
 ただ、完成後の運営計画はほとんど白紙の状態で、「税金の無駄使いだ」 と指摘する声も少なくない。
( NEONOPOLIS に関する詳しい情報は週刊ラスベガスニュースのバックナンバー 2001 年1月 10日号を、RACE ROCK に関しては 2000年 1月 12日号をそれぞれ参照のこと)

 今回店を閉じた RACE ROCK 側のスポークスマンによると、「NEONOPOLIS 計画の遅れが閉店の原因。NEONOPOLIS が計画通り昨年完成していれば、当店前の人通りも多かったはずで、こんな結果にはなっていなかった」 と、市当局に不満をぶつけている。
 ちなみに同店は一昨日の 9日、「NEONOPOLIS がオープンすれば再び店を開けたい」 との再開業に含みを残した声明も発表しており、現在その声明文は店の前に張り出されている。

  現場に張り出されている声明文の全文 ← クリック
  現在の NEONOPOLIS の様子 (4月 10日午後4時撮影) ← クリック

 RACE ROCK の閉店が市当局や地元商工会に大きな波紋を投げかけている理由は、ただでさえ成功の見通しが暗い NENOPOLIS に対して RACE ROCK の不在が大きな打撃となるからだ。現在 NEONOPOLIS の周辺には RACE ROCK 以外にこれといったアトラクションは何一つなく、NEONOPOLIS 自体がよほど魅力的なものにならない限り、観光客の足をこの地に向けることは非常に難しいと予想されている。ちなみに大部分の観光客は電飾アーケードこと FREMONT STREET EXPERIENCE、つまり上の地図の赤い部分から出ようとしない。
 さらにまずいことに、このまま RACE ROCK が再開業せずに消え去ると、RACE ROCK の跡地をラスベガス市が再開発しなければならないことになりそうで、予算的な問題に直面するという。

 多くのアナリストらは今回の RACE ROCK の閉店にかかわらず、NEONOPOLIS の失敗を予言している。
 NEONOPOLIS 計画には地元商工会も資本に絡んでいるため一方的にラスベガス市ばかりが責められることもないが、市という行政が主体となっているという意味ではいわばこれは "第三セクター" 的な運営で、市や市長の責任は免れないだろう。
 第三セクターといえば、日本の宮崎シーガイヤの破綻が記憶に新しいが、どこの国でも行政主導型のプロジェクトはなかなかうまくいかないようだ。
 行政の主導無しに都市開発は不可能だが、市場原理に基づかない発想になりがちな役所の介入は極力避けるべきということか。まだ失敗が確定したわけではないが、少なからず税金が投入されているこのNEONOPOLIS 計画は、責任の所在も含めて今後さまざまな論議を呼びそうだ。

 それにしてもテーマレストランはよくつぶれる。RACE ROCK の閉店は 2001年2月 21日号のこのニュース "テーマレストランブームの終焉" で予言したばかりだが、すでにラスベガスからほとんどのテーマレストランが姿を消してしまっている。なにごとにおいても競争が激しいラスベガス。民間企業がやってもビジネスはむずかしいようだ。


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