週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2001年03月21日号
ストリップにレンタルエレクトリックカーが登場
 最近ストリップ大通りを歩いていると、右の写真のような一風変わったスタイルの車を見かけることがある。 イベントの宣伝カーのようにも見えるが、じつはこれ、レンタルエレクトリックカーだ。

 電気自動車といえばすぐに環境保護を思い浮かべるが、ストリップ地区の大気汚染を心配する当局がエコロジー目的で導入したというわけではない。Star Cars Rentals という一民間企業による純粋なビジネスだ。

 今回同社が事務所を構えたのはリビエラホテルのすぐ南側にある焼肉レストランの駐車場だ。テーマホテルが密集するストリップの中心街から決して近くはないが、徒歩で行けない距離でもない。リビエラはもちろんのこと、スターダスト、サーカスサーカスなどからは目と鼻の先の位置にある。

 その現場へ行くとそこには派手な色のエレクトリックカーがずらりと並ぶ。その数全部で 36台。人の顔に扮した車もあれば、動物をイメージした車もあり、見ているだけで楽しい。まるで遊園地の乗り物のようだが、これがちゃんと公道を走れるというからなんともアメリカらしい (ナンバープレートは一般車両と同じ物を付けている)。はたして日本の警察はこんな車の市街地走行を許可するだろうか。

 ちなみに車両サイズは日本の軽自動車よりもかなり小さく、ゴルフ場の電動カートよりもやや大きいといった感じだ。
 現場スタッフの話によると、これで 5人乗りだという。たしかに前の座席に 3人分のシートベルトがあり、一段高くなった後部にも 2人分ある。しかし現実問題としてこれに大人 5人が乗ることはほとんど不可能だろう。参考までに車内の様子は [ ここ ] をクリックすると見ることができる。

 車内といってもゴルフ場のカートと同様、ドアがないので暖房も冷房も効かない。カーラジオもなければトランクもない。あくまでもストリップ上の短距離移動を目的としているとのことで、この車に快適さを求めてはいけないようだ。

 短距離といってもバッテリーは 1回の充電で約 100マイル (160km)もつという。ただその数字はあくまでも良好な走行環境での話であって、渋滞が激しく加速減速を繰り返さなければならないストリップではその半分程度を目安にした方がよいとのこと。いずれにせよバッテリーの残量計だけはちゃんと装備されているので、突然 "ガス欠" ならぬ "電気欠" に見舞われるようなことはとりあえずないことになっている。なお、最高速度は時速 35マイル (約56km/h) なので高速道路を走行することはできない。

 運転は極めて簡単だ。ゴルフ場のカートとほとんど同じと考えてよい。それでも国際免許の提示が求められるので、日本で運転免許を持っていない者が借りるというわけにはいかない。
 なお、一般のレンタカーと違い、オプションで加入できる各種保険はオファーされていない。したがって万一の際のことが気になるという者は、自身の責任と判断において、レンタカー事故などもカバーする海外旅行者保険などに加入しておく必要がある。

 レンタル料金は時間制で、1時間 $29、2時間 $49、4時間 $69、8時間 $89、24時間 $109 (税別) となっている。つまり長く借りれば借りるほど割引されるというわけだが、8時間以上借りる場合は一般のレンタカーの方が割安だ。4時間でも場合によっては一般のレンタカーの方が安いかもしれない。したがって料金的なことだけを考えると、この車を長時間借りる意味はなくなる。
 だからといって 1-2時間のレンタルで何ができるかと考えると、用途があまり見えてこないのも事実だ。ショッピングやホテルめぐりは目的地でゆっくりできなければ意味がないし、そもそもこの車にはトランクがないので時間に関係なくショッピングなどには不向きだろう。

 結局この車は "ストリップめぐり" に使うのがベストということになりそうだ。つまり各ホテルで降りてアトラクションなどをゆっくり見るという行動ではなく、ストリップ全体を把握する目的で端から端まで走りながら見学するというわけだ。窓がないので視界が広く観光に適しているばかりか、通常のレンタカーの運転に自信がない者でもこの車ならば大丈夫なので、そういった目的には非常に適している。
 ただできることならば夜間の走行は避けた方がよいかもしれない。道路沿いの無料アトラクションに気を取られた脇見運転事故があとをたたないラスベガスでは、速度が遅く車体も小さなこの車は追突される危険性が高いからだ。
 そしてなにより、夜間は目立たないため歩行者に振り返ってもらえない。「歩行者から注目を浴びることに快感を覚える人に利用していただきたい」 とは現場スタッフの言葉だが、まさにそれこそがこの車の最大の魅力だろう。

 これから摂氏 40度の猛暑を迎えるラスベガス。冷房が効かないこの車がはたしてどれだけ観光客からの支持を集めることができるか。経営者ならずとも大いに気になるところだが、開業後3週間を過ぎた現在のレンタル情況を見る限り前途は厳しそうだ。季節が良い 3、4、5月で利益を出せなければ夏を越すことはむずかしいかもしれない。

 営業時間は 9:00am 〜 6:00pm。予約は不要。VISA、Master、Amex は使えるが JCB は使えない。電話番号 702-734-3422。


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