週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2001年02月28日号
デイビッド カッパーフィールドのMGM公演
 今週は、22日から始まったマジシャンの大御所・デイビッド カッパーフィールドの MGM公演をレポートしてみたい。

 ラスベガスでマジシャンといえばランスバートンやシークフリッド&ロイが有名だが、世界的に見ればカッパーフィールドの方が格上だろう。毎年発表される米国の "芸能人長者番付" でも彼の名前は常に上位にランクされており、収入の面から見ても彼の実力と人気のほどがうかがえる。

 ランスバートンやシークフリッド&ロイがラスベガスに根を下ろし年間を通じて毎日公演しているのに対して(週2回の休演日はあるが)、カッパーフィールドは 2〜3ヶ月に1回のペースでラスベガスにやって来て 1〜2週間の短期公演を繰り返している。ラスベガスにいない時は世界の各都市を転々としている。
 それでもラスベガスを活動の中心に位置付けていることだけは確かで、この街における彼の存在感はランスバートンやシークフリッド&ロイに決して勝るとも劣らない。

 これまで長い間ラスベガスにおける彼の公演会場はシーザーズパレスだった。しかしシーザーズパレス内の改装工事など物理的な理由もあり、昨年の後半から MGMグランドへ舞台を移した。
 「シーザーズとの契約を完全に打ち切り MGMと長期契約を結んだのではないか」 との憶測が飛び交っているが、真相は定かではない。いずれにせよ今回のシリーズ (2/22〜3/07) は MGMグランドホテルのハリウッドシアターで行われており、次回 (4/05〜4/11)も同じ会場で行われる予定だ。

 MGMのハリウッドシアターは意外と狭い。座席配置にもよるが(座席の位置や数は可変式)、そのキャパシティーは 500〜700人で、同じMGM内にある巨大な EFXシアターに比べると3分の1程度の規模しかなない。ランスバートンやシークフリッド&ロイの会場に比べても半分程度かそれ以下だ。
 収容人数の小さな会場で公演を続けていてなぜ長者番付にリストされるのか不思議な感じがしないでもないが、ちなみに今回の公演のチケット単価は $97 で、これはシークフリッド&ロイとほぼ同額だ。おそらく観客数とは無関係の契約をMGM側と結んでいるのだろう。
 なお、彼はテレビにしばしば出演するためテレビ放映権などの収入も大きいようだ。ちなみに次回のテレビ出演は 4月3日で、CBS系の放送網で彼の新作マジックが全米中継されることになっている。

 さて今回の公演を観ての感想だが、相変わらず芸が多彩で "さすがマジック界の第一人者" という印象を受けた。手のひらから生きた金魚を出すような古典的な小技から、彼自身が一瞬にして消えたり、会場から選んだ客が宙に浮いたりする大技まで披露してくれる。
 会場から選んだ二人の若い女性の下着の色を入れ替えてしまうようなコミカルなパフォーマンスも忘れていない。また、生きたアヒルを消したり出したりするマジックで、同じ演技をスローモーションで再現し場内を爆笑の渦に巻き込むシーンも印象的だ。

 クライマックスはなんといっても終盤で披露される二つのマジックだろう。今回の公演のすべてがその二つに凝縮されているといっても過言ではない。
 一つは、カッパーフィールド自身が一瞬にしてステージから消え、地球の裏側のバリ島に行ってしまうという空間移動型のマジックだ。ステージに設置された大型スクリーンに、バリ島の砂浜で手を振る彼が "実況生中継" される。
 ちなみにステージから消える直前に彼は客席に向かってフリスビーを投げ、それをキャッチした客をステージの上にあげる。つまり、その人物がいわゆる "サクラ" ではないという意思表示だ。ステージに登場したその観客に対して彼はイニシャルを尋ね、そのイニシャルがその観客自身の手によってカッパーフィールドの腕に太いペンで大きく描かれる。その直後、カッパーフィールドは一瞬のうちにステージから消え、バリ島の砂浜から手を振るシーンが中継されるわけだが、画面には彼の腕に書かれたイニシャルが大きくハッキリ映し出される。
 「ステージのすぐ裏にバリ島のビーチを模倣したスタジオセットがあり、そこで映像を合成しているのではないか」 と誰もが思うことだろうが、そんな疑いの念を欺くかのように、カッパーフィールドは砂浜や波打ち際を歩くなど、合成映像ではないことを強調してみせる。さらにさまざまなパフォーマンスを見せてくれるが、これ以上のことは "見てのお楽しみ" としたい。

 最後のマジックは会場から選んだ8人をステージの上にあげ、全員を一つのゴンドラに乗せ一瞬のうちに消してしまうという大技だ。消えた直後、その8人は客席の背後から登場する。
 これのタネあかしを知りたい者はステージに上がってみるのが一番よいだろう。つまり自分自身が消される立場になるということだ。観客からの選出は、カッパーフィールドが客席に向かって複数のピーチボールを投げ込むことによって始まる。 音楽が流れている間、観客は投げ込まれたボールをビーチバレーのごとく会場内でランダムに回し、音楽が終了した時点でボールを持っている者がステージに上がれるというわけだが、ボールがたくさんあるということと、会場が比較的せまいいということ、そしてステージに上がることをためらう者が多いためかボールの奪い合いなどにはならず、ボールを確保しようと思えば意外と簡単に確保できる。要領を心得ておけば選出される可能性が高いので、タネを知りたい者は頑張ってステージに上がってみるとよいだろう。

 個々のマジックそのものは他のマジシャンと似たり寄ったりといってしまえばそれまでだが、彼の名声など先入観があるためか、パフォーマンスがより洗練されているように思えた。ダンサーやジャグラーなどを芸の合間に入れたりすることはせず、約 90分間ほとんど最初から最後まで彼が主役を演じる。それでいて芸と芸の間のつなぎがスムーズなのはさすがといった感じだ。

 あえて難点を挙げるならば言葉の問題か。トークの部分がかなりあり、英語が苦手な者にとっては少々フラストレーションを感じる可能性がある。そういう意味では同じ料金を払うならシークフリッド&ロイの方がお勧めかもしれない。
 また、料金の高さも少々気になるところだ。会場のキャパシティーが小さいため $97 ぐらい取らないと採算が合わないことは容易に想像つくが、予算的にきびしい者にとってはランスバートン($55) やスティーブワイリック($41)、さらには格安ショーとして知られるリックトーマス($18)の方が満足感を得られるだろう。
 初めてラスベガスのナイトショーを観るという者も、いかにもラスベガスらしい華やかさを味わうことができるという意味で、広いゴージャスな会場で行われるシークフリッド&ロイの方が納得できるかもしれない。
 したがって、このカッパーフィールドのショーは、すでにほとんどのマジックショーを観てしまった者や、至近距離で高度なテクニックを観たいという者など、どちらかというとリピーターやフリークにお勧めといった感じだ。

 今回のシリーズの料金は前述の通り $97 (税込)、開演は 2/22 から 3/7 までの毎晩 8:00pm と 10:30pm の2回。チケットは MGMグランド内に数ヶ所あるチケット売り場で買うことができる。なお、3/3 (土)に限り 3:00pm の部もあり、マチネー割引が適用され $77 となっている。
 座席は全席指定だが、テーブル席などもあり映画館スタイルの配置にはなっていない。会場の奥行きが浅いため少々後方でも良く見えるので、前後の位置関係よりも左右を気にしながら席を選んだ方がよいだろう (チケット購入時に座席表を見せてもらえる)。極端に前の席はステージ全体を見渡せないのでお勧めできない。ただ、最後のパフォーマンスでステージに上がりたい者はあまり後方の席は避けた方がよいだろう。ビーチボールが飛んで来ないからだ。
 当日券の入手も十分に可能と思われるが、心配な者は電話で事前購入するとよいだろう (クレジットカード番号が必要。チケットの現物は当日現場でピックアップ)。電話番号は MGMチケットリザベーション 702-891-7777 まで (英語のみ)。
 なお、今回のシリーズ以降の公演スケジュールはこのラスベガス大全の [スポットSHOW] を参照のこと。


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