週刊ラスベガスニュース バックナンバー   201年01月10日号
"NEONOPOLIS" に揺れるダウンタウン
 先がまったく見えない地域開発プロジェクト "NEONOPOLIS" で今ラスベガスダウンタウンは揺れに揺れている。

 NEONOPOLIS は 98年にラスベガス市とダウンタウン地区の商工関係者の総意により発足した地域開発プロジェクトで、電飾アーケードとしておなじみのフリーモントストリートエクスペリエンスの東端の空き地 (写真右: 右下手前の部分の角地) に大規模な複合エンターテーメント施設を建設しようという計画だ。

 ストリップ地区に客を奪われがちなダウンタウン地区のビジネス関係者にとっては、95年に完成した電飾アーケードにつぐ第二弾のビッグプロジェクトとして当初は大きな期待が持たれたが、その後、完成後の採算性などさまざまな問題が浮上し、工事が何度か中断してしまった。昨年の秋頃には計画そのものが頓挫したかのようにも思えた。
 しかし 「今さら引くに引けない」(ラスベガス市長 Oscar Goodman氏) との判断で地上部分の着工式が先月行われ、将来に対する方向が定まらないまま今日に至っている。

・ NEONOPOLIS の現時点の全容 (2001年1月9日 午後2時撮影) ← クリック

 実は地下部分はすでにほぼ完成しており、そこにはラスベガス市が 3200万ドルを投じて造ってしまった 600台収容の駐車場が眠っている。今さら引くに引けない理由はそこにあるわけだが、それでも地上部分の工事再開には反対意見が噴出した。いまだに完成後の見通しがまったく立っていないからだ。

 なんと驚くことに入居予定のテナントがいまだにゼロだという。つい数ヶ月前まで映画館経営として定評のある Mann Theatres がアンカーテナント(その商業施設の中心的役割を果たす大型テナント) として入居を決めていたが、その親会社の WestStar Cinemas 社が経営難に陥り Mann Theatres の入居計画は白紙に戻ってしまったという。その後は NEONOPOLIS 関係者の努力にも関わらず、アンカーテナントの候補が見つかっていないとのこと。
 アンカーテナントが決まらないことには客層や客足が読めず一般のショップなどは出店に踏み切れない。映画館などのエンターテーメント施設はもちろんのこと、客を呼び込むためにはレストランやギフトショップなどの出店も欠かせないが、現時点ではテナントが集まる気配が全くなく、完成後 NEONOPOLIS は廃墟ビルとなってしまう可能性すら出てきている。

 NEONOPOLIS 計画そのものに無理はなかったのか。今になって改めてそんな議論が浮上している。ラスベガス市などの話によると、ダウンタウン地区へ客を呼び込むための最大の問題は駐車場不足で、駐車場建設こそがこの計画の原点にあったという。
 たしかにダウンタウン地区はストリップ地区と違い各カジノホテルの周辺にオフィスビルなどもあるため駐車場を無料で開放することができず (ホテル客以外に無断で利用されては困るため)、多くのダウンタウン訪問者が比較的割安な路上のパーキングメーターを利用している。ところがパーキングメーターの場合、時間切れが気になりゆっくり食事やギャンブルを楽しめないという欠点があり、レストランやカジノにとっても問題は少なくなかった。
 そこで市は警察などの協力を得て、かつて午後8時から翌朝8時までだった無料時間帯 (その時間内はコインを投入せずに駐車可能) を午後6時から翌朝8時までに広げ利用者の利便を図った。またラスベガス警察も、コイン切れによる駐車違反に対してのみ、15日以内にその反則金を支払えば半額に($20が$10に) 割り引くという制度まで導入した。
 しかし慢性的なパーキングメーター不足という問題の解決策ではないため、結局、この議論は大規模駐車場の建設を伴う NEONOPOLIS 計画へと発展してしまった。

 ところが今になって 「ダウンタウンに駐車場が不足している」 という命題自体に疑問が投げかけられ、NEONOPOLIS の存在意義が問われ始めている。
 奇しくも NEONOPOLIS 予定地の目の前にかなり大規模な駐車場(写真右: テーマレストラン Race Rock が入居している建物) があるが、そこはいつもガラガラで週末の夜でも満車になることはほとんどないという。周辺の他の駐車場も同様のようだ。
 実は、ダウンタウンの各カジノホテルの駐車場は有料とはいえカジノ内でスタンプをもらえば無料になるため、たとえ格安でも有料駐車場は多くの来訪者にとって必要ないのである。またそのカジノホテルの駐車場もよほどのことがない限り満車になっていないのが現状で、仮に NEONOPOLIS の駐車場を無料にしてもその需要はほとんどないというのが関係者の一致した見方だ。

 そもそも多くの観光客はレンタカーを利用していない。駐車場を必要としているのは車でラスベガスにやって来るロサンゼルス周辺からの来訪者と地元民だ。もともと NEONOPOLIS 計画自体がそれら集団を意識してのもの、という話もあるが、地元民用の大型カジノが住宅地の周辺に次から次へと出現している昨今、ダウンタウン地区における地元民向けの駐車場需要が今後も伸びるという考えはもはや少数派だ。

 このようにさまざまな状況を分析すればするほど NEONOPOLIS 計画に無理があったことが浮き彫りになってくる。しかし今となって立案者などを非難しても建設的な結果は得られない。
 今後、反対派と推進派の間でさまざまな議論や責任問題までもが浮上してくるだろうが、「何もやらなければダウンタウンに将来はない」 という部分では意見が一致しているはずで、失敗であったと誰もが認めつつも、もうここまで来たら市長の言うように進めるしかないだろう。
 現在の第三セクター的な運営から完全に民間に身売りするという話も出ており、起死回生の打開策が見つかるかもしれない。いずれにせよ予定通りの完成とその後の成功を祈りたい。

 ちなみに現在 NEONOPOLIS の工事現場には先月の起工式の時にセレモニー用に組んだ鉄骨が立てられているだけで、上方向には何ら建造物が伸びていない。完成予定は 2002年2月だ。


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