週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2010年 12月 08日号
変更続きの DEUCE と SDX の現在の運行状況
 今年すでに3回も取り上げてきた路線バスの話題 (バックナンバー688、689、707号)。今回で4回目という異例の事態となってしまったが、年末年始の観光シーズンを前に問い合わせが急増しているので、あえてこの話題を取り上げてみたい。(右の写真は、シティーセンターの前を走る2連結急行バス SDX。クリックで拡大表示)

 4回も書くことになってしまった最大の原因は、たびかさなる変更だ。走行する範囲や運行時刻のみならず、車両や路線の名称までもがコロコロ変わってきた。さらに値上げ、バスターミナルの引越し、運賃の支払い方法の変更なども混乱に追い打ちをかけてきた。
 そして、3月に始まったその一連の変更騒動も、やっと 11月7日に終息宣言されたが、その後もしばらく運行時刻の調整などが続けられ、このたびようやく落ちつきを見せてきた。

 バスを運行しているのは、RTC (Regional Transportation Commission) と呼ばれる公営企業。(右の写真は新たに完成したばかりの同社のバスターミナル)。
 短期間に何度も繰り返された変更によるドタバタ劇は、計画性のなさや、無責任な経営体質が原因と言われても仕方がないだろう。まさに "お役所仕事" だ。

 これまでの経緯を簡単に説明しておくと、ストリップ大通りを走る路線バス "DEUCE" (写真右) は、2階建てということもあり車窓からの景色が良いとの評判だったが、バス停の数が多いことや、つり銭がないなど運賃の回収方法に問題があり、結果的に停車時間が非常に長く、移動手段としての評価は最悪だった。そこに満を持して登場したのが2連結の急行バス "ACE"。(写真右下)
 しかし、その ACE デビューの際に、DEUCE の運行路線を縮めたため、古い観光ガイドブックなどを頼りに乗車する利用者が迷子になったりするなど、現場は大混乱に。

 結局 DEUCE の路線を元に戻すことになったが、今度は ACE の名称使用権に関して、同様な名前を持つタクシー会社からクレームが。
 ただちに、デビューしたばかりの ACE は Gold Line に名称変更されたものの、今度は、RTC 自身が他のエリアで Gold Line の名称を使っていたため混乱が絶えず、またもや名称変更を余儀なくされ、先月から SDX (Strip Downtown Express) に。
 さらに、24時間運行を基本としてきたが、路線の南端および北端部分はショッピングモールを訪れるための利用者がほとんどのため、モールの営業時間に合わせて運行時間やバス停の位置が変則的に変わることになった。 ちなみに南端にあるモールはタウンスクエアとラスベガスアウトレット、北端にあるのがプレミアムアウトレット。
 その他にも細かい変更が繰り返されてきたが、利用者にとって知っておくべきことは過去ではなく現在の状況なので、それを以下にまとめてみた。

  急行は2連結のバスで、現在のその名称は SDX。

  各バス停に停車するのは2階建てのバスで、その名称は DEUCE。

  DEUCE は24時間運行。運行間隔は、日中から夜にかけてのピーク時が12分間隔、深夜から早朝にかけての閑散時が21分間隔。その他の時間帯はその中間。詳しくはバス停に掲載されているが、渋滞時などは短時間に何台もやって来たり、逆に長時間なかなかやって来なかったりすることがしばしばある。

  SDX は午前9時前後から深夜0時30分前後までの運行。これら始発と最終の時刻は、当然のことながらバス停の位置によって異なってくるので、この午前9時前後と深夜0時30分前後というのは、だいたいの時間と考えるべき。運行間隔は、始発直後の約1時間と、最終直前の約1時間半が15分間隔で、あとは12分間隔。DEUCE と同様、渋滞時などは運行がかなり乱れることも。

  運賃は DEUCE も SDX も同じで、1回券 (正確には2時間券) が 5ドル (子供2ドル)、24時間券が 7ドル (3.50ドル)、3日券が 20ドル (10ドル)。30日券が 65ドル (30ドル)。子供の定義は 6〜17才。60才以上のシニアも子供と同料金。6才未満は無料。

  DEUCE は現金でも乗車できるが、SDX はプリペイドの乗車券のみ。乗車時の現金による支払いは時間がかかるため、DEUCE は各バス停での停車時間が非常に長くなりがち。なお、プリペイド乗車券は、各バス停にある自販機で買うことができる。ちなみに DEUCE でも、最近は車内で買える乗車券の種類が制限されてきており、プリペイドの乗車券のみに変更されつつある。支払いの部分に関して DEUCE と SDX で大きく異なる部分は、DEUCE の場合、現金にしろプリペイド乗車券にしろ、運転席の脇にある料金箱に通すルールになっているが、SDX ではそれがない。つまり SDX では停車時間を短くする目的で、料金箱などは置かず、乗客はとりあえず車内に乗り込み、あとからスタッフが検札に来る方式が採用されている。(DEUCE では、一区間で下車したりする者がいるため車内検札は困難)

  ストリップ大通りは南北に走っているため、DEUCE も SDX も北行と南行があり、その路線の大半は重複している。しかし、北端と南端付近においては微妙に異なっている部分もあり、また、途中においても、DEUCE はラスベガスコンベンションセンターの前は走らず、SDX はリビエラホテルとサーカスサーカスホテルの前は走らないなど、完全に一致しているわけではない。それでも、一般観光客が訪れる主要目的地へのアクセスにおいては、途中のルートの細かい違いを意識する必要はない。

  北端側にあるバスターミナル "BTC" (Bonneville Transit Center) は、従来のバスターミナルが引っ越して新しく完成したものだが、郊外路線との接続などを目的とする施設のため、郊外へ行く用事が無い一般観光客は特にこの施設の存在を意識する必要はない。つまり下車したりすることなく、乗車したまま通過すればよい。

  SDX 路線の北端付近における意識すべきバス停は BTC の次に停車する Fremont Experience (ダウンタウンの電飾アーケード) と終点の Premium Outlet の2ヶ所。

  DEUCE 路線の北端付近における意識すべきバス停は BTC の次に停車する Fremont Experience だけで十分だが (Premium Outlet には行かないので)、行き(北行き路線) で下車するバス停と、帰り(南行き路線) に乗車するバス停は少し離れているので要注意。ちなみにその帰りのバス停は、電飾アーケードの東端の延長線上にある Fremont Street と Las Vegas Blvd. の交差点の左手前カド。

  多くの観光客が利用する SDX 路線の Fremont Experience のバス停も、行き(北行き路線) で下車する際と、帰り(南行き路線) に乗車する際では微妙に異なっている。行きはゴールデンナゲットホテルの前、帰りはビニオンズの前。

  路線区間全体のほぼ中央に位置するストリップ地区のホテル街において、SDX が停車するバス停は、北行がマンダレイベイホテル前、MGMグランドホテル前 (実際には少し北側にずれた巨大コカコーラのボトルが目印のショーケースモール前)、パリスホテル前、ウイン前の4ヶ所。南行がファッションショーモール前、ベラージオホテル前、エクスカリバーホテル前、マンダレイベイホテル前の4ヶ所。なお、DEUCE はほぼすべてのホテルの前に存在するバス停に停車。

  南端側にあるバスターミナルは "SSTT" (South Strip Transfer Terminal) と呼ばれている。

  SDX 路線の南端付近における一般観光客が意識すべきバス停は Town Square、Las Vegas Outlet、そして終点の SSTT。

  DEUCE 路線の南端付近における意識すべきバス停は Mandalay Bay、Town Square、そして終点の SSTT。ただし、SDX が運行している時間帯、つまり午前9時前後から深夜0時30分前後までは、SDX が Town Square および SSTT に行くことになっているため、DEUCE はこれらのバス停には行かず、手前の Mandalay Bay が終点となり、そのまま折り返して北行路線となる。

  午前9時前後など微妙な時間帯で、南行の DEUCE の終点が SSTT か Mandalay Bay かわからない場合は、その車体の正面の上部を見ればわかるようになっている。そこには、SSTT もしくは Ends at Mandalay Bay と目的地が電光表示されているはず。なお、これは余談だが、DEUCE においては、その広い側面を利用した広告フィルムが車体に貼られている車両が多く (写真右下)、その場合、窓にも貼られているので、車内から景色を撮影したりする際はやや気になることも。(景色がまったく見えないわけではない)

 以上、長々と書いてきたが、結論としては、一般観光客が路線バスを利用して行く目的地はほとんどの場合、北端のダウンタウン地区にあるプレミアムアウトレットおよび電飾アーケード、そして南端側のタウンスクエアおよびラスベガスアウトレットになるので、結局すべて SDX を利用すればよいことになる。
 なぜなら、タウンスクエアおよびラスベガスアウトレットは、DEUCE が運行している時間帯は深夜から早朝のためモールが営業していないので (ナイトクラブなどの例外はあるが) 行っても意味がなく、またプレミアムアウトレットは時間帯に関係なく DEUCE は行かない。そして電飾アーケードだけは DEUCE でも SDX でも行けるが (深夜はその限りではない)、DEUCE では所要時間が長すぎ (ホテル街から片道1時間以上) 利用する意味がほとんどない。
 したがって、DEUCE はホテル間の近距離移動、もしくは2階席に乗ってストリップ大通り全体 (おおむねマンダレイベイからストラトスフィアタワーまでの区間) をひと通り見て観光したい場合などに利用すればよいだろう。

 なお、マンダレイベイとタウンスクエアの中間付近にある有名なラスベガスのネオンサイン(国家歴史登録財に指定。写真右) は、残念ながら DEUCE でも SDX でも行くことはむずかしい。
 なぜなら、SDX はその地点を停車せずに通過してしまい、DEUCE は深夜以外、その地点まで行かずに手前のマンダレイベイで折り返してしまうからだ。深夜に DEUCE で行けないこともないが、ネオンサインから少し離れたところにあるバス停の周辺は真っ暗なのであまりおすすめできない。どうしても行きたい場合はタクシーで行くべきだろう。



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