週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2001年01月03日号
課題を残したカウントダウン花火


 12月 31日 11時 59分 50秒、20万人を超える群衆が見守る中、21世紀の到来を祝うカウントダウン花火がストリップ大通りの主要ホテルから一斉に打ち上げられた。

 南端に位置するマンダレイベイホテルを皮切りにカウントダウン花火は1秒ごとに次から次へと隣のホテルへ移り(実際にはかなりタイミングがずれていたが)、10秒後 、北端に位置する最後のストラトスフィアホテルに到達した瞬間、ストリップ大通りはおびただしい数の花火による光と音で埋め尽くされ群衆の興奮は頂点に達した。

 ちなみに花火の打ち上げ基地として選ばれたのは以下の13ヶ所。(南から北の順。元エルランチョとサハラ以外はすべて屋上からの打ち上げ。)

 ・ マンダレイベイ
 ・ エクスカリバー
 ・ MGM
 ・ モンテカルロ
 ・ アラジン
 ・ パリス
 ・ フラミンゴ
 ・ ベネシアン
 ・ トレジャーアイランド
 ・ スターダスト
 ・ 元エルランチョ (地上)
 ・ サハラの向かい側の空き地 (地上)
 ・ ストラトスフィア

 これまでにも単独ホテルによるカウントダウン花火は何度か経験しているラスベガスだが、各ホテルが一斉に打ち上げるというのは初めての試みで、観光客誘致をもくろむ官民一体となっての今回のイベントにはさまざまな方面から大きな期待と関心が寄せられていた。
 終わってみての結果としては、ラスベガスの露出度を高めその存在を世界にアピールするという意味ではまずまずの成功を収めたといってもよさそうだが、来年以降も恒例行事として継続するとなると (継続するかどうかはまだ未定)、今回のイベントはさまざまな課題を残したといえそうだ。

 まず率直に言って演出自体があまりパッとしなかった。地元マスコミの報道でも 「期待していたほどでもなかった」 というコメントが目立つ。
 その最大の原因は花火そのものにあったといってよいだろう。今回のイベントでは安全上の理由から、使用できる花火の種類がかなり制限された。打ち上げ現場 (ホテルの屋上) と群衆との距離があまりにも近いため、花火の殻や燃えかすの落下による事故を防ぐ必要があり、大輪のように大きく横に広がるタイプの花火を利用することが出来ず、機関銃のように直線的に飛ぶ花火ばかりが使用された (写真右)。この種の花火は落下する殻が少ない上、横方向にそれらが飛散しないというメリットはあるが、見栄えという意味では大きく見劣りする。
 そのような理由もあり、群衆が比較的少なくスペース的にも余裕があるストリップ北部の地域では大型花火の打ち上げも可能なようにあえて群衆から離れた地上基地が選ばれたが、それでもストリップの中心街にいる大多数の群衆からはそれらを見ることができなかった。

 打ち上げ基地の間隔も課題を残したといってよいだろう。隣接する13ヶ所のホテルから打ち上げられたものの、ホテル間の距離がかなりあるためか、ストリップ全体を見渡せる場所から見た際の花火の密集度は期待されたほどのものではなかった。これでは、世界的に有名なニューヨークでの独立記念日の花火大会などに比べかなり見劣りし、全世界にラスベガスの花火をアピールするにはやや心もとない。
 花火の種類も影響していると思われるが、もし翌年度もやる場合は発射基地のさらなる追加が望まれる。

 強風や雨天など天候に恵まれないのも困るが、今回のように天候に恵まれた場合も厄介なことになる。日本の花火大会などでもしばしば見られる光景だが、無風状態の場合、煙が現場に滞留してしまうという問題が発生する (写真左)。ひどい場合は次の花火がほとんど見えなくなってしまうこともある。
 アメリカの花火大会は短時間に集中的に打ち上げる傾向にあるため (独立記念日などの花火大会も15分ほどで終わってしまうのが普通)、日本の花火大会とは比べものにならないほどこの問題は深刻で、特に今回のラスベガスの場合は横方向に広がる花火をほとんど使用することができなかったため煙が一ヶ所に集中してしまい事態は悪化の一途をたどった。仕方がない問題とはいえ、なんらかの改善方法が期待される。

 あと、これはたまたま起こってしまったトラブルではあるが、マンダレイベイホテルの発射基地が打ち上げ開始直後に故障してしまった。故障後は1発も打ち上げることができず (右の写真は故障直前の様子)、ストリップ最南端を担う要となる発射基地だっただけに関係者の落胆はさぞかし大きかったことだろう。原因の究明が急がれる。

 「 13,000発 !」 という当局の事前発表などもあり、かなり派手な演出が期待されたが、花火の種類のためか、全体のイメージとしては 「1発の重みが軽かった」 という印象はぬぐえない。
 群衆が密集している繁華街で行わなければならないという極めて特殊な条件は理解できるが、今後課題を一つ一つ解決しさらなる改良が望まれる。
 エンターテーメント都市ラスベガスの名に恥じない派手な演出が実現できれば世界的なイベントに育つことは間違いないだろう。改良を重ね今後も継続的に開催されることを期待したい。


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